介護福祉士・介護支援専門員
坂野 悠己 さん
- その人らしい生活を支える
- −高齢者を元気にする介護−
大学卒業後,介護施設に就職。3施設で介護福祉士として勤務した後,現職場で施設長補佐となる。
仕事内容を教えてください。
主に施設に入居している高齢者の方に対して,その人らしい生活をしてもらえるよう介護をしています。
私の勤める施設では,できるだけ今までのように生活できることを目標にしています。食事は椅子に座って顔なじみと食べ,ときには外食を楽しみたい。なるべくトイレに座って自分で排泄したい。お風呂にゆっくり入りたい。そんな気持ちを大切にして,リハビリをしたり,介助方法を工夫したりしています。
例えば歩いたり座ったりするのが難しい方は,専用機械での入浴(機械浴)が一般的ですが,ここでは介助しやすく特注した家庭サイズのひのきのお風呂に1人ずつ入ります。自宅のようなお風呂で温泉気分を味わえると好評です。寝たきり,おむつ,機械浴を控えるこのようなやり方は,介護の世界ではまだ珍しいです。
この仕事を始めたきっかけは何ですか。
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高齢者の食事介助
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施設利用者を囲んで
大学在学中に祖父が末期のがんになりました。その手伝いで祖父の家に行き来している際,家に来ていたホームヘルパーさんの話を聞き,介護の仕事を知りました。大学は福祉系ではありませんでしたが,ちょうどアルバイトを探していたこともあり,深く考えずに介護施設でアルバイトを始めたのがきっかけです。
この仕事をやっていてよかったと思うことはありますか。
おむつをされていた方がトイレで排泄できるようになり,おむつがいらなくなって喜んでもらえたときや,機械浴だった方がひのきのお風呂に気持ちよさそうに入っているときです。介護の仕事をしていると,当たり前にしていたことが,いかに大切で幸せなことか気づかされます。介護が必要な方に,最期までその人らしい生活をしてもらえたとき,それを支えることができるこの仕事は,本当にやりがいがありすばらしいと感じます。
ワーク・ライフ・バランスについてどのように考えていますか。
行きたくない,辞めたい,と思ったことはありません。それだけやりがいを感じているからだと思います。私の場合,よい仕事をするには,①健康であること,②睡眠をしっかり取れていること,③食事をしっかりとっていること,④家庭円満が条件です。どれか1つでも欠けると仕事のパフォーマンスが確実に落ちます。
これからの夢や抱負は何ですか。
食事,排泄,入浴を基本とした当たり前の生活,その人らしい生活を支える介護のやり方が,日本の介護のスタンダードになればよいと思っています。医師は手術や診察等で,看護師は処置や健康管理等で高齢者を元気にしますが,介護はその人の「生活」をよくしていくことで高齢者を元気にするところに専門性があると思います。「介護の仕事って高齢者を元気にして,その人らしい人生の最期を支える,すごい仕事なんだ」と認知されるよう頑張っていきたいと思います。
高校生へアドバイスをください。
どんなことでもよいので目標を持つこと,その目標を達成するためにどうしたらよいか,自分の頭で考え,行動に移すことを大切にしてほしいです。結果として達成したかどうかよりも,その目標に向けて自分の頭で考え,行動し,たとえ失敗しても次を考え,試してみる。その経験は社会人になってから必ず役に立つと思います。
- 高齢者に関わる職種
- 理学療法士/介護福祉士/作業療法士/社会福祉士/訪問介護員(ホームヘルパー)/ケースワーカー/言語聴覚士/音楽療法士/園芸療法士/義肢装具士/福祉用具専門相談員/福祉住環境コーディネーター/生活相談員/医師/看護師/保健師/高齢者向け娯楽提供者/リハビリ・介護機器(杖・歩行器,介護用ベッド,褥瘡予防用品など)メーカーで働くなど
仕事内容や必要な資格などは、自分で調べてみよう!