江戸
小紋師
藍田
愛郎
さん
仕事内容を教えてください
江戸小紋は歴史のある日本の伝統工芸品の1つで、型染めという技法で染められたものです。一見すると無地のようですが、近づいて見ると小さな白い点で繊細な柄が表現されていて、染めにかかる手間と、その美しさから現在は貴重品とされています。僕は、師匠である江戸小紋師・藍田
正雄
親方の工房で、小紋染めをしています。作業を簡単に説明すると、板に白生地を張って型紙を置き、染料を染み込ませないための
防染糊
を載せていきます。ここは型紙を移動させて柄をつなげていく、いちばん大切な作業。そのあと天日干しをして、染めの色糊を載せ、20~30分蒸し、洗い流して染め上がり。最後にむらがあればそこを直して仕上げになります。洗い落とした防染糊の部分が白く残り柄になります。柄にもよりますが、
反物
1反を染めるのに10日から1か月はかかり、糊や染料の配合、へらなどの道具も自分で作る、
全
て手作りの仕事です。
なぜこの仕事を選んだのですか
-
いちばん緊張する型付け
-
親方の藍田正雄氏と共に
自分で何かを作り上げる仕事、一生やっていける仕事に就きたいと思っていました。でも、それが見つけられずにいた大学卒業間近の
頃
、母から工房見学を勧められたのがきっかけですね。親方のところへ弟子入りしていた母は、兄と僕の成人式に自分で染めた江戸小紋で着物をあつらえてくれたんです。みんなから着物を褒められていい気分でしたが、特にこの仕事に関心はありませんでした。ですから工房見学も、とりあえず行ってみるという気持ちだったのに、親方から「明日から来なよ。できるよ」と声をかけられ、その日にこの仕事に入ることを決めました。僕を受け入れてくれて、やる気にさせてくれた親方のおおらかな人柄に引き付けられ、「この人だ」と思えたからです。親方と出会えたことは、本当に幸運でした。
挫折
しそうなとき、どうやって乗り越えましたか
もう毎日が挫折のようなものですね。
全
ての作業はとても繊細で、季節、環境、自分の体力や心境の変化までもが反物に現れてしまいます。当然、失敗することもありますが、その失敗を生かして次はどうするか、よく考えて勉強して練習して、また新しい反物に向かっていく。それを繰り返しています。
これからの夢や抱負は何ですか
親方の「藍田」という姓を名乗らせてもらっているので、その名を絶やさず、次の世代へ残していきたいです。そして、広く若い人たちにも着物の温かみや、江戸小紋のよさを伝えていく努力をしていきたいと考えています。伝統を受け継ぎ、広めることは自分一人ではできることではありません。全ての素材を作ってくださる方々への感謝の気持ちを忘れずに、ほかの着物に負けない、江戸小紋を作り続けていきたいです。
職人を目指している高校生にアドバイスを
どんな職種でも、実際の仕事は現場で覚えるものですから、コミュニケーション能力が必要となります。まずは、自分から伝えなければ、相手に受け入れてもらえません。自分の長所も短所も理解してアピールする力を付けておく、
日頃
からきちんと
挨拶
をする、人と話をするといったことを意識的にやっておくのがいいと思います。そして、好きなことを見つけ、一つ一つ確実に積み上げていけば、大きな夢へとつながると僕は信じています。
諦
めずにやっていくこと。目の前のことを一生懸命やれば、
誰
かがちゃんと見ていてくれるものです。
- 衣生活に
関
わる職種
- テキスタイルデザイナー/テーラー/パタンナー/スタイリスト/カラーコーディネーター/ファッションモデル/和裁士/クリーニング師/靴デザイナー/シューフィッター/アパレルメーカーで働くなど
仕事内容や必要な資格などは、自分で調べてみよう!