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  • 高 校

作家

鈴木 すずき 光司 こうじ さん

  • 徹底的に考えて書く
  • 家族には感謝の気持ちを持って

作家になったきっかけは何ですか

高校卒業後に、地元 浜松 はままつで1年間だけ電報配達をしながら過ごしていたときに、作家という職業を選択しようと決意して、翌年、上京して受験勉強に没頭しました。その1年間にすごい勢いで本を読んだし、小学校の ころから漠然と詩や小説を書いたりしていたから、自然と結びついていったんだろうと思うね。作家になるには、大学の文学部に行かなきゃいけないとか、哲学は絶対に押さえなくちゃいけないとかっていう思い込みがあって、哲学の本を読みあさったりしていました。それは、作家になった自分をイメージすると、今、何をすべきか、どんな勉強をすべきか、ということが自然と生まれてきたからですね。

作家として書くというのはどんな作業ですか

  • 子育て真っ最中のころ

  • 家族みんなで(1995 年当時)

とにかく僕は書く前に徹底的に考える。それが僕のスタイルなんですが、書くより思考している割合のほうが95%以上はないとまずいと思っていて、物理、数学、社会学なんかの本を読みながら、それを材料にしていろんなことを考える。さらに大きいのは、家族の存在。妻と娘たちからたくさんのエネルギーをもらっています。妻はいちばんの理解者ですね。僕は0歳から娘たちのおむつ替えから何から全部やっていたんだけど、ある程度大きくなると、子育てから教育になってくるんですよ。中学生の頃に勉強を教えるようになると、「哲学って何?」という娘の問いに答えたりディスカッションしたりしていたから、娘たちにいろんなことを教えてきた僕自身の体験が『エッジ』という小説にはちゃんと生きている。妻や娘たちは取材旅行に同行してくれることもあるし、妻と娘たちが読者になると思うと変な作品は書けないし、いつも感謝していますね。

挫折 ざせつしそうになったことはありますか

小説『リング』シリーズの大ヒットがあって、ラッキーだったと思うけど、それは本当に僕が書きたいものの方向とはあまり合っていなかった。次の作品の『ループ』で少し軌道修正できたとはいえ、『リング』が独り歩きしていたから、いまだにホラー色で見られるのは正直残念なことでもあります。これは挫折というより、自分がいちばん書きたいテーマと、違うところで脚光を浴びたことに対する“あがき”といったほうがいいかな。「これじゃ、 おれが理解されないじゃないか」という、ボタンを掛け違えてしまったっていう強い思いが残っています。

これからの夢は何ですか

とにかく軌道修正することに全力を傾けたい。このボタンの掛け違いがものすごい力になって、これまでにない小説が発表できているから、これは逆にラッキーだったとも思えるかな。ヒットしたシリーズを続ければ出版社も読者も喜んでくれるかもしれないけど、それは僕にとっては思考停止も同然。だからそれを捨てて、書きたいものを書く道を選んだんだ。軌道修正したい力をいい小説を書くことに換えていこうと思っています。

高校生にアドバイスをください

あまり早くから自分の進む道を絞らないほうがいい。得意ジャンルをいくつか持っていたほうが、のちにそれらが絡みあって、よりよい効果を生む可能性が高いからね。そして、なるべく多くの経験をすること。人に指図されるのではなく、自分で考え判断して起こした行動は、成功しても失敗してもその責任が自分に返ってくる。いろんなことにチャレンジして、急がずに本物の経験をたくさん積んで見識を高めてほしいですね。

  • 家族・家庭に かかわる職種
  • 弁護士/裁判官/家庭裁判所調査官/家事調停委員/保護司/民生委員/社会福祉士/児童相談員/児童福祉司/臨床心理士/ケースワーカー/スクールカウンセラー/作家など

仕事内容や必要な資格などは、自分で調べてみよう!