日本財団

海・川の仕事人

〈投と網あみ漁・屋形船〉
の仕事

東京都江戸川区
小こ島じま 一かず幸ゆきさん

私わたしは,東とう京きょう都と江え戸ど川がわ区くに住む漁りょう師しです。私わたしは150年続く伝でん統とう漁法の投と網あみの技わざを父から受うけ継つぎ,漁もしますし,講こう習しゅう会かいやイベントを開かい催さいして次世代に伝える保ほ存ぞん会かいの活動もしています。わが家は代々,東とう京きょう沿えん岸がんの浅い海や河か口こう周辺で漁をしてきました。私わたしは投と網あみ以外にも,クロダイ,スズキ,ハゼなどの魚をとる刺さし網あみ漁りょうや,筒つつでウナギやアナゴをとる漁などをしています。かたわら家族で,料理も楽しめる遊ゆう覧らん船せんの屋形船を経けい営えいし,私わたしは操そう船せんやガイドをしています。

投と網あみは広げると円形になる網あみです。すぼめた網あみを持って船の舳へ先さきに立ち,片かた足あしを軸じくにして体を回転させ,遠心力を利用して網あみを投げます。すると網あみは空中で円形に広がり,そのままの形で水中に落ちて,そこにいる魚を一いち網もう打だ尽じんにします。体の軸じくを保たもちながら投げることと,投げる前に網あみのもつれをさばいておくことがコツです。漁をするのは水深5,6mの浅場で,潮しおの流れがゆるい干かん潮ちょう時じが向いています。投と網あみ漁りょうには船を操あやつる人が必要で,私わたしは息むす子こと呼こ吸きゅうを合わせて漁をしています。

投と網あみ漁りょうは,江え戸ど時代から船遊びで行われてきました。船遊びのうち,投と網あみ漁りょうをする船を「網あみ船ぶね」といいます。お客さんを船に乗せて漁りょう師しが投と網あみを打ち,とれた魚を船上で料理して楽しませました。うちも網あみ船ぶねを営いとなみ,私わたしは10歳さいごろから父を手伝い投と網あみを覚えました。しかし海の埋うめ立たてや汚お染せんで,網あみ船ぶねという船遊びの文化は消えてしまいました。私わたしは投と網あみの伝でん統とうや東とう京きょうの漁業を残し,海の環かん境きょうの大切さを伝えることを使命だと思っています。そのために,昔ながらの網あみ船ぶねを復ふっ活かつさせたいと考えています。