日本財団

海・川の仕事人

〈水産加工〉の仕事

愛媛県愛南町
西にしぐち ひろしさん
(株式会社武久海産)

ひめけんあいなんちょうで,イワシのまるし,アジやサバのものなど,塩を使った魚の加工品をつくっています。あいなんちょうの海では,とくにひんしつのよいウルメイワシがとれます。このウルメイワシを使ったまるしがうちのかんばん商品です。まるしやものには「しおからい」イメージがあるかもしれませんが,塩は魚の味を引き出すわきやくだとわたしは考えています。わたしが目指すのは,しおからくなく,あぶらがのって,ふんわりしておいしいまるしです。

しんせんしつのいい魚を仕入れることが,加工のほんです。魚のよしあしをきわめる目も必要ですが,りょうさんにもせんを落とさない魚のとり方,市場への運び方をお願いしています。せんのほかにも,魚のないぞうに食べた物が入っていると苦くなりますし,あぶらがのっていないとおいしくありません。いい魚を求めて遠くの市場に行くこともありますし,いい魚がなければその日の加工の仕事をお休みにすることもあります。

まるしづくりでは,塩かげんが最大のポイントです。長年のけいけんとカンがものをいいます。塩の量と塩水につけておく時間は,その日に仕入れた魚の量,種類,サイズなどをもとに決めます。また,遠くの市場で魚を仕入れた時は,加工所まで運ぶのにかかる時間も計算に入れて塩かげんを決めています。魚にほどよく塩が回ったかどうかは,見た目と味でわかります。ちょうどいい塩かげんは魚が教えてくれるんです。

助成:公益財団法人 日本財団
協力:NPO法人 共存の森ネットワーク,愛南漁業協同組合
取材・執筆:大浦 佳代/イラスト:友永 たろ,川島 星河,広野 りお