※このページに書いてある内容は取材日(2020年03月19日)時点のものです
ユニクロの服をつくり,人々に届ける仕事
私はユニクロ・ジーユーを世界中で展開している株式会社ファーストリテイリングで,ユニクロの服をつくる「生産」という部門の責任者をしています。
服をつくるときは,まず,どのような商品をつくるか,そして,それをどれくらいの値段で販売するかを決めます。そのあとで,服のデザイン,使う素材や原料を決め,工場で生地の加工や縫製を行って生産し,できた服をお店に運び,みなさんが買うことができるようになります。
服づくりのいろいろな工程の中で,私がいる生産部門は,服をつくり,みなさんに届けるまでの工程を,具体的には,原料の管理,工場とのやりとり,どれくらいの量を生産するか,値段をどれくらいにするか,などを担当しています。
海外の工場での服づくり
良い服をつくる
服づくりは,たくさんの人たちと一緒にする仕事
海外で仕事をしたいという夢を実現
海外出張も多く,2週間に1回くらいは海外の工場やユニクロの海外の店に出かけています。このような海外での仕事は,高校生のときからの夢でした。
私が高校生の頃は,まだまだ海外は遠い存在でした。英語で流れるラジオを聴きながら,いつかは英語を使って海外の人と関わる仕事をしたいと考えていました。
大学では経済学部に進み,勉強やクラブ活動のテニス,アルバイトに忙しい日々を過ごしていました。特にアルバイトは,引っ越し屋,喫茶店,掃除,洋服の販売員など,いろいろな職種の仕事を経験しました。
そのときに,社会にはたくさんの仕事があり,そこで働く人にもさまざまな人がいるということを知り,そのことは今でも貴重な財産になっています。
「人に喜んでもらえる服をつくる」というやりがい
大学を卒業してから,服を仕入れて販売する会社に就職しました。その後,30歳のとき,ファーストリテイリングに転職しました。ファーストリテイリングに入社してからは,店の販売員や商品の企画,商品開発や生産の責任者などを経験してきました。
ファーストリテイリングでの仕事で一番印象的だったのは,1998年に東京で初の都心の大型店となる原宿店をオープンしたときです。ちょうどユニクロが全国に知られ始めた頃で,たくさんの人が店に訪れ,本当にうれしそうな笑顔でユニクロの商品を買ってくれていました。その時,「この仕事は,たくさんの人を笑顔にする本当にやりがいがある仕事だな」と実感しました。
それから今もずっと,たくさんの人を幸せにする服を届けたい,そのために頑張ろうという気持ちを持ち続けています。
日本のユニクロから世界のユニクロへ
日本でユニクロの人気が定着したあとで,次は,世界の人にユニクロの服を着てもらう事にチャレンジすることになり,私は,アメリカに赴任しました。
日本とは文化も暮らしている人も違う環境でしたが,アメリカの人たちも喜んでユニクロの服を買って着てくれるようになったのは,とてもうれしかったですね。
私たちの願いは,人々が手に入れやすい値段で,品質やデザインが優れている服をつくり,それを多くの人に着てもらうことです。それは簡単なことではありませんが,挑戦し続けることで一つひとつ実現してきました。その結果,買ってくださる人たちから,「ユニクロの服は良いよね」と評価してもらえるようになりました。
目標に向かって問題を解決し,それを乗り越えていくことは,大変なこともありますが,楽しいことに思えてくるものです。
より良い社会をつくりたい
私たちは,世界中でたくさんの服をつくり,販売している会社だからこそ,環境を始めとする社会のさまざまな課題に取り組む責任があると思っています。
服をつくる過程で,原料を無駄にしないこと,海外の工場とも協力して,工場での水や電気の無駄をなくすことなど,環境のことを考えた服づくりにも取り組まなければなりません。
また,ユニクロ・ジーユーの店ではお客様が着なくなった服を回収し,難民の方に届ける活動もしています。この,服のリサイクル活動には,たくさんのお客様にも参加いただき,毎年,多くの国の人たちに服を届けています。
このように,服づくりを通して,より良い社会をつくる活動に積極的に取り組み,企業として持続可能な社会づくりにも力を発揮していきたいですね。
知っていることが多いほど,選択の自由が広がる
私は小さいころの経験に,ムダなことはひとつもないと思っています。成功も失敗も,すべての経験が,みなさんが大人になるのに役立つものになるはずです。将来,なりたい自分になるために,ぜひ「知識を増やす」ことを大切にしてください。世の中にはこんなことがある,こんな仕事があるということを知ることは,自分がそれを選択するチャンスになります。知らなければ,それを選ぶこともできません。
勉強も知識を増やすための大切な手段です。ほかには,いつもと違うことをしてみる,自分が好きなものとちょっと違うものを探るのもおすすめです。いつも同じテレビやYouTubeを観るのではなく,違うチャンネルや番組を観てみると,新しいことに出合えるかもしれません。友だちも同じで,いつも同じ仲間と過ごすより,たまには全然違う友だちと話してみると違う世界を教えてもらえるかもしれません。
興味のあることからでいいので,いろいろなことを知ったり,体験したりできるように,ぜひ,自分から動いてみてください。