• 東京都に関連のある仕事人
  • 1975年 生まれ

    出身地 東京都

かんめんせいぞう はんばい乾麺製造・販売

関根せきね 康弘やすひろ

  • 仕事内容

    会社全体を見渡すだけでなく,会社のことをより多くの人に知ってもらうため,ブランド化を進める。

  • 自己紹介

    新しいことへチャレンジするのが好きで,行動が早い。

  • 出身高校

    駒澤大学高等学校

  • 出身大学・専門学校

    駒澤大学 経済学部

  • 【このページに書いてある内容は取材日(2016年09月14日)時点のものです】

関根 康弘


仕事人記事

東京23区唯一(ゆいいつ)乾麺(かんめん)工場

東京23区<ruby><rb>唯一</rb><rp>(</rp><rt>ゆいいつ</rt><rp>)</rp></ruby>の<ruby><rb>乾麺</rb><rp>(</rp><rt>かんめん</rt><rp>)</rp></ruby>工場

(わたし)は,東京都北区王子で「江戸(えど)玉川屋」という老舗(しにせ)製麺(せいめん)屋を(いとな)んでいます。昭和10年創業(そうぎょう)で,乾麺(かんめん)工場としては,東京23区で唯一(ゆいいつ)となっています。製麺(せいめん)事業をするには比較(ひかく)的広い土地が必要なため,他の工場は東京都の外へ(うつ)っていったのです。当社では乾麺(かんめん)の他に生(めん)や半生(めん)製造(せいぞう)し,自社ブランド製品(せいひん)も作っています。また,(おろし)だけでなく工場併設(へいせつ)直営(ちょくえい)店舗(てんぽ)やインターネットでの販売(はんばい)もしています。
取引先はいろいろありますが,東京23区のうち7区の学校給食の指定工場となっています。今は全国の学校給食のメニューに(めん)が使われていますが,実は(わたし)祖父(そふ)が「給食に(めん)を」という普及(ふきゅう)活動をしたのがきっかけで,給食に(めん)が使われるようになったのです。給食の主食に栄養価(えいようか)の高い(めん)を食べてもらいたいという思いからでした。また,昭和35年ごろに食糧庁(しょくりょうちょう)のモデル工場をやっていたご(えん)から,宮内庁(くないちょう)の食堂用の(めん)や,新嘗祭(にいなめさい)奉納(ほうのう)用の(めん)(おさ)めさせてもらっています。
(わたし)は最近父の後を()いで社長になり,主に営業(えいぎょう)広報(こうほう)担当(たんとう)して毎日走り回っています。会社のことをより多くの人に知ってもらうため,会社のブランド化を進めるべく,これからお話しするようないろいろな活動をしています。

朝は3時半に起きる

朝は3時半に起きる

基本(きほん)的には朝3時半に起きて5時には出社します。(おそ)いときでも5時に起きて7時までには出社しています。午前中は学校給食等の配送が中心で,人手が足りなければ(わたし)も車で配達します。給食は1か月分の予定があらかじめ組まれているほど計画的に進められているので,簡単(かんたん)変更(へんこう)することはできません。そのため,給食事業を最優先(ゆうせん)にして,打ち合せや商談など,他の仕事は午後からにしています。
夜は早ければ18時くらいには終わります。しかし,書類の準備(じゅんび)などで夜(おそ)くなったり,退社(たいしゃ)後に交流会に参加したりすることもあります。その場合も,次の日は朝が早いので,夜の21時か22時くらいには帰るようにしています。
また,自主的に参加している異業種(いぎょうしゅ)交流会では,さまざまな仕事の知り合いができ,多くの人と話ができます。異業種(いぎょうしゅ)間で一緒(いっしょ)に商品を開発することもあり,ビジネスチャンスにもなって刺激(しげき)になりますね。

負のスパイラルを乗り()える

負のスパイラルを乗り<ruby><rb>越</rb><rp>(</rp><rt>こ</rt><rp>)</rp></ruby>える

社長になる少し前,会社の経営(けいえい)が大変だった時期がありました。何から手をつけて良いのか分からず,気持ちも落ち()んで,会社もさらに(しず)んでいくという負のスパイラルでした。
そのとき,東京都の補助金(ほじょきん)に関するアドバイスをいただいたんです。手続きは大変でしたが,自分の会社の強みは何なのか,しっかりと見つめ直すことができました。補助金(ほじょきん)を使った事業は信用が高まるので,資金(しきん)()りも楽になり,多くの関係者からの助言や支援(しえん)もいただけるようになりました。そして,新製品(せいひん)の開発やコラボ商品の計画,地域(ちいき)イベントへの参加や自社イベントの企画(きかく)などを進めてきたわけです。しかし,プロモーション活動は成果が出るのに時間がかかり,お金ばかりが出ていきますので,社内の理解(りかい)を得ることが(むずか)しく,結果が出るまではつらかったです。最近は,ようやく効果(こうか)が目に見えるようになり,みんなが応援(おうえん)してくれています。
多くの人に(めん)づくりを知ってもらい,食べてもらうということが,社長としての(わたし)の大事な仕事になっています。いくつかの補助金(ほじょきん)事業を()て,最近ではクラウドファンディングというインターネットで資金(しきん)(つの)る事業も行なっています。会社の趣旨(しゅし)賛同(さんどう)し,製品(せいひん)化を心待ちにしてくれる人たちが()えるという意味でも,画期的な取り組みだと思っています。

(めん)である強み

<ruby><rb>麺</rb><rp>(</rp><rt>めん</rt><rp>)</rp></ruby>である強み

最初の補助金(ほじょきん)事業で開発を始めたのが「ウニ(がら)入りカルシウム強化(めん)」というものです。この(めん)は,栄養価(えいようか)が高くておいしいだけでなく,環境(かんきょう)問題の解決(かいけつ)にも貢献(こうけん)している画期的な(めん)なんです。
鹿児島(かごしま)では,「(いそ)焼け」という問題があり,海岸に生えているコンブやワカメなどの海藻(かいそう)をウニが食べすぎてしまうため,食用に向かないウニを駆除(くじょ)しています。そのウニの(から)を高温で焼いて粉にして,(めん)に練り()んでいるんです。この粉は非常(ひじょう)にカルシウムが豊富(ほうふ)で体内への吸収(きゅうしゅう)(りつ)もよく,特にカルシウムを必要とする子どもたちや高齢者(こうれいしゃ)傷病者(しょうびょうしゃ)の方にお(すす)めです。栄養素(えいようそ)だけなら薬やサプリメントでも()れますが,(めん)を食べ,食事をしたという実感とともに栄養も()ってもらえるのがこの(めん)の強みであり,しかも当社の乾麺(かんめん)なら保存(ほぞん)もできます。環境(かんきょう)問題への取り組みでもあり,商品でもあるということに,やりがいと喜びを感じます。
他にも八丈島(はちじょうじま)明日葉(あしたば)を使った「あしたばうどん」,足立の小松菜を使った「あだち菜うどん」,伊豆(いず)七島のテングサを使った食物繊維(せんい)の多いものなど,栄養豊富(ほうふ)な地元食材を生かして環境(かんきょう)・社会面でも貢献(こうけん)できる(めん)づくりを進めています。

効率(こうりつ)の対極にある(めん)づくり

<ruby><rb>効率</rb><rp>(</rp><rt>こうりつ</rt><rp>)</rp></ruby>の対極にある<ruby><rb>麺</rb><rp>(</rp><rt>めん</rt><rp>)</rp></ruby>づくり

祖父(そふ)にも父にも言われてきたことは,「いいものはいい」ということです。玉川食品が東京23区最後の乾麺(かんめん)工場として残れた主な理由は自社ブランド品を持っていたことですが,その主力が東京都地域(ちいき)特産品にも認定(にんてい)されている「満さくうどん」です。創業(そうぎょう)当時から続く職人(しょくにん)技術(ぎじゅつ)経験(けいけん)が味に反映(はんえい)されるように守ってきた,極端(きょくたん)な機械化を()けたゆっくり丁寧(ていねい)(めん)づくりの集大成です。92℃以上のお湯で粉をこねる「湯捏(ゆごね)」,通常(つうじょう)の4倍の24時間をかける「熟成(じゅくせい)乾燥(かんそう)」は,手間暇(てまひま)はかかりますが美味しさを引き出すには欠かせない,(わたし)たちのこだわりです。
食品を(あつか)う以上,安心・安全は当然ですが,やはりその上にあるおいしさを追求していきたいです。大量生産には向きませんが,単価(たんか)は上がっても「いいもの」を作り続けることを大切にしていきたいと思っています。実は昨年,大口の注文が入ったところに,テレビでも紹介(しょうかい)されて,「満さくうどん」が足りなくなってしまったんです。急きょ,周囲の人たちにもお願いして,「満さくうどん」の生産を()やしました。この経験(けいけん)もあって,これからはもっと自社ブランド製品(せいひん)や直売所販売(はんばい)比率(ひりつ)を上げていけたらなと考えています。

家業を()いで

家業を<ruby><rb>継</rb><rp>(</rp><rt>つ</rt><rp>)</rp></ruby>いで

祖父(そふ)が昭和10年に始め,父が社長であった会社の3代目として,会社の後を()ぐことは小さい(ころ)から意識(いしき)していました。創業者(そうぎょうしゃ)一族に生まれて,なぜ自分がやらなければならないのかと思った時期もありましたが,今はこの仕事を心から楽しんでいます。サラリーマンも経験(けいけん)したのですが,そのときに人間関係や仕事の仕方を学ぶことができました。何事もなるべく笑顔で,人に言われる前に仕事を進めるという姿勢(しせい)はこの(ころ)から続けています。
(わたし)は社長として対外的な活動を主にしていますが,弟は職人(しょくにん)としての(わざ)(みが)いています。職人(しょくにん)高齢(こうれい)化は製麺(せいめん)業界でも問題になっており,伝統(でんとう)(わざ)を引き()(わか)い人材が求められています。製麺(せいめん)業という仕事自体があまり知られていないので,会社のアットホームな雰囲気(ふんいき)や,学校給食を担当(たんとう)していること,「満さくうどん」や「ウニ(がら)入りカルシウム添加(てんか)(めん)」といった特徴(とくちょう)的な製品(せいひん)紹介(しょうかい)するなどして,求人にも力を入れています。

礼儀(れいぎ)を学んだのは子ども時代

<ruby><rb>礼儀</rb><rp>(</rp><rt>れいぎ</rt><rp>)</rp></ruby>を学んだのは子ども時代

子どもの(ころ)から先行()げ切り型というか,思い立ったときのスタートダッシュは早かったです。ただ,その分失速も早く,長続きしないところがありました。新しい活動は大好きで,よく行動力があると言ってもらいますが,それも小さい(ころ)からかもしれません。ただ単にせっかちなだけというところもあるのですが。
少年野球をやっていて,野球はうまくなかったけれど,礼儀(れいぎ)を教わることができたのはよかったです。コーチに(おこ)られて(つら)いと思うことも多く,練習後は(つか)れた体で嫌々(いやいや)グランド整備(せいび)をしたものでした。でも今になって思えば,そうして身についた挨拶(あいさつ)後片付(あとかたづ)けなどの習慣(しゅうかん)は,当たり前だけれど大切なことで,ありがたく思っています。当時のコーチとは今でもお付き合いがあり,大切な人生の先輩(せんぱい)として一緒(いっしょ)に楽しい時間を()ごさせてもらっています。

大好きだと思うことにチャレンジしよう

大好きだと思うことにチャレンジしよう

(わたし)(めん)づくりについて少しでも多くの人に知ってほしいという思いで仕事をしています。そして,(わたし)が生まれ育った東京は消費地であるだけでなく,生産地でもあるという思いもあります。どちらも大好きで大切な思いです。そして大好きな仕事をしていると,自然と笑顔になります。
(わたし)は子どもたちの笑顔と笑い声が大好きです。自分の子どもにも言っていることですが,これから大人になる(みな)さんは,とにかく自分の好きなことをやってください。仕事にするのでもいいし,趣味(しゅみ)にするのでもいい。大変なこともあるかもしれないけれど,自分自身が心から(うれ)しい,大好きだと思うものに取り組んでください。

  • 取材・原稿作成:東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫

私のおすすめ本

  • 夜は,待っている

    糸井重里

    コピーライターの糸井重里氏の著書。東日本大震災の後に厳選された225の「ことば」が収められています。写真も豊富で読みやすく,喜びの表現,あたたかいことばなどが,ぎっしりと詰まった1冊。

  • 星新一ショートショートセレクション

    星新一

    星新一の代表的な作品が収められているシリーズ。一つひとつの話は短いが,子どもが読んでも大人が読んでも楽しめる深い内容です。考えさせられたり,怖い話があったりして新鮮な気持ちになります。どの話からでも読める本です。