仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

岐阜県に関連のある仕事人
1980年 生まれ 出身地 岐阜県
池井いけい 知里ちさと
子供の頃の夢: ファッションデザイナー アパレル店員
クラブ活動(中学校): テニス部
仕事内容
お客さまの要望を聞いて、必要なシステムのていあん・開発を行う。
自己紹介
仕事もにちじょう生活も「何とかなる」とおもんでごしています。20代でヨガにはまり、けっこん、出産をた40代からはウエイトトレーニングにちゅうです。
出身大学・専門学校
東海大学 開発工学部

※このページに書いてある内容は取材日(2024年04月15日)時点のものです

新しいじゅつ使してシステムをせっけい

新しい技術も駆使してシステムを設計

わたしは、かぶしき会社電算システムという会社で、システムエンジニアとして働いています。システムエンジニアの仕事は、コンピューターを動かすためのシステムをせっけいすることです。わたしたちがせっけいするシステムは実にさまざまで、例えば、商品をこうにゅうしたりサービスを利用したりした人が、料金をはらっておりを受け取れる自動せいさんに使われているシステムや、パソコン上の作業を、ロボットを使って自動化するようなシステムなどを手がけています。
最近では、文字やぞう、音声などを自動的につくることができる生成AIなど、新しいじゅつが次々と登場し、電算システムでは、そうしたさいせんたんじゅつを活用したシステムの開発にも、力を入れています。また、はばひろい分野のお客さまかららいをされるため、ぎょうてきかくに行うシステムをせっけいするには、それぞれの分野で行われている仕事のないようせんもんてきな用語など、多くのことをかいしなければなりません。最新のじゅつを用いて社会をより便利にするシステムをせっけいするために、システムエンジニアにはつねに社会の流れにアンテナをっておくことが求められます。

お客さまの思いがじつげんするまで

お客さまの思いが実現するまで寄り添う

システムをせっけいするときは、まずお客さまから、どんな場面でどのように動くシステムがしいのかを具体的に聞き取ります。そして、聞き取ったないようじつげんするための方法やじゅつを考えて、システムをせっけいします。せっけいしたないようは、“仕様書”とばれる書類にまとめ、仕様書にもとづいてシステムに必要なプログラムを組み立ててもらえるよう、プログラマーにを出します。そのため、一日の仕事はまずお客さまからとどくメールをかくにんし、スタッフにその日に行う作業ないようへんこうてんなどを伝えることから始まります。
プログラムの組み立てが始まったら、仕様書通りに進められているか、決められた日にちまでにできあがるかなど、作業全体を管理するのもシステムエンジニアの仕事です。つくったシステムは、できたところからじっさいに動かしてみて、せいじょうに動くか、ちがいがないかなどをしっかりとチェックします。お客さまにもかくにんしてもらった後、さらに希望を聞いて、しゅうせいかいぜんを加えることもあります。

紙の教科書をもとにデジタル教科書をせいさく

紙の教科書をもとにデジタル教科書を制作

電算システムでは、2010年から、パソコンやタブレット、スマートフォンなどのデジタルたんまつで見ることができる「デジタル教科書」の開発をスタートしました。わたしも2020年からその仕事にたずさわり、毎年、小学校から高校まで、たくさんの学校で使われるデジタル教科書を開発しています。
デジタル教科書のせいさくにあたっては、まず紙の教科書にけいさいされている文章や写真がそのままデジタルたんまつで見られるように、システムにみます。さらに、教科書をせいさくしている会社の希望を聞いて、ないようをより分かりやすく伝えるためのアニメーションや動画、音声などが流れるようにしたり、タッチすると文字やぞうかくだいされるようにしたりと、紙の教科書にはないないようけも加えていきます。紙の教科書では1ページ分でも、デジタル教科書にすると、必要な音声や写真など、じゅんするデータはぼうだいになります。紙の教科書にけいさいされているないように加えてこうしたデータをむために、プログラミング言語による“コーディング”という作業を行って、プログラムを組み立てます。最後に、できあがったものがすべて正しく動くかをテストし、全ページを完成させます。

新学期に間に合うように、早くせいかくに作業をじっ

新学期に間に合うように、早く正確に作業を実施

デジタル教科書は、元になる紙の教科書がわたしたちのところにとどいてから開発が始まります。新しい教科書は9月ごろにとどき始め、4月から始まる新学期に間に合うように完成させなければいけないため、1~2月が最もいそがしくなります。どんなにいそがしくてもミスが起こらないように、手作業ではちがいが起こりそうなむずかしいしょの作業には、コンピューターで自動的にめるようなプログラムを取り入れるなど、こうりつてきせいかくな作業ができるように、ふうしています。しかし、どんなに気をつけて開発しても、テストをすると思ったように動かないこともあり、毎回、むずかしさを感じます。失敗した部分は、うまくいかなかったげんいんぶんせきし、もう一度プログラムを組み直してかいぜんします。
さらに開発のちゅうでも、社会の動きなどを受けて、教科書のないようが最新のじょうほうへんこうされるときがあります。そうした場合でも、4月の新学期におくれるわけにはいかないため、完成予定の時期が近づくと、作業はいつも時間との戦いです。きんちょう感はありますが、すべての教科書が予定どおり完成したときには、大きな達成感があります。

じっさいに使われているところを見られるよろこ

実際に使われているところを見られる喜び

わたしは毎年、小学校、中学校、高校で使われる約30書目のデジタル教科書を開発しています。そのため、2人の息子むすこわたしが開発したデジタル教科書をじっさいに使っています。息子むすこたちに「このデジタル教科書はママがつくったんだよ」と話したり、じゅぎょう参観などで学校へ行ったさいに、児童・生徒のみなさんがデジタル教科書を使って勉強している姿すがたを見たりすると、とてもほこらしい気持ちになります。学校の先生と話したさいも、「デジタル教科書には、じゅぎょうないようそくするじょうほうがたくさん取り入れられていて、とても助かっています」と言ってもらい、この仕事をしていてよかったと心から感じました。
今、学校では紙の教科書とデジタル教科書の両方が使われていますが、これからはデジタル教科書が使われる機会がより多くなるかもしれません。最近のデジタル教科書には、自分の読みやすい文字の書体や色、はいけいしょくなどを選ぶことができたり、漢字ののオン・オフを選べたりといった、多くの人にとって使いやすくなるようなふうが次々と取り入れられています。わたしも、じっさいにデジタル教科書が使われる場面をそうぞうしながら、より便利なデジタル教科書を開発していきたいです。

開発にたずさわるスタッフのチームワークを高める

開発に携わるスタッフのチームワークを高める

デジタル教科書を開発するためには、プログラマーだけでなく、音声やぞうなど必要なじょうほうを作成する人、できあがったページがせいじょうに動くかかくにんする人など、1つの教科書に10~20名ものスタッフがたずさわります。そうしたスタッフをチームとして束ね、お客さまとの間をはしわたしすることが、システムエンジニアの大切なやくわりです。
そのため、お客さまと打ち合わせをするときには、希望を聞きもらさないように、かくにんしたいことをまとめて話すようにふうしています。スタッフにをするときも、お客さまの意図がしっかりと伝わるように、分かりやすい言葉で説明をします。
どんなシステムも、すべてのスタッフが一丸とならなければ、いいものをつくることはできません。全員のやる気を高めるためにも、まずはわたし自身がマイナス思考にならないように心がけ、スタッフには前向きになれる言葉をかけるようにしています。また、つねに「ありがとう」のせいしんを持ってせっすることを大切にしています。

パソコンとの出会いからシステム開発の道へ

パソコンとの出会いからシステム開発の道へ

わたしが学生のころは、まだパソコンが広くきゅうしておらず、たくにパソコンがある人も少ない時代でした。しかし、わたしの父はもともと機械が好きだったため、いち早くパソコンをこうにゅうし、わたしにも「好きなときに使っていい」と言ってくれました。最初のころはゲームをするくらいでしたが、どんどんパソコンをさわるのがおもしろくなっていきました。
高校生になると、インターネットを通じて多くの人とじょうほうこうかんや交流ができるさまざまなサービスが登場し、会ったことがない人や遠くに住む人たちとコミュニケーションができることにしょうげきを受けました。そこで「わたしもこんなことができるものをつくりたい」と思い、システムの開発を学ぶことができる大学へ進学することに決めました。
電算システムにしゅうしょくした後は、まずシステムをつくるために必要なプログラムを組み立てられるようになれるよう、プログラマーとしてけいけんを積みました。仕様書を見ながらプログラムを組み立て、動作をかくにんするテストをクリアしてのうひんするというシステム開発の流れをかいし、1人でできるようになってからシステムエンジニアになり、お客さまの思いをカタチにするためのシステムせっけいを行っています。

好きなことから人生の道を見つけよう

好きなことから人生の道を見つけよう

わたしがパソコンのおもしろさを知ってシステム開発の道へ進んだように、しょうらい、進む道が分からないとなやんでいる人は、まず好きなことやとくなことを見つけることから始めてみてもいいかもしれません。
システム開発の仕事については、「けい科目がとくじゃないとできないのではないか」「だんせいが多いのではないか」などといったイメージをいだいている人も多いですが、この仕事はとく科目もせいべつも関係ありません。電算システムでは、わたしのようにじょせいもたくさんかつやくしていますし、ぶんけいの勉強をしてからプログラマーやシステムエンジニアになった人もいます。システムエンジニアの仕事は、お客さまから聞いたじょうほうからどんなシステムが必要かを考えるそうぞうりょくや、多くのスタッフに伝えるための国語力が必要なので、ぶんけいの人もかつやくできる仕事だと思います。
必要なスキルはしゅうしょくしてからも十分に学ぶことができるため、「パソコンを使った仕事にきょうがある!」「やってみたい!」と思ったら、ぜひシステムエンジニアの仕事にチャレンジしてほしいと思います。

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取材・原稿作成:船戸 梨恵(クロスワード)・岐阜新聞社 /協力:株式会社 電算システム