仕事人

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東京都に関連のある仕事人
出身地 群馬県
てれびばんぐみぷろでゅーさーテレビ番組プロデューサー
尾関おぜき 憲一けんいち
子供の頃の夢: 医師/学者/作家
クラブ活動(中学校): テニス部
仕事内容
おもしろいテレビ番組を作る
自己紹介
好奇心(こうきしん)旺盛(おうせい)。子どものころから,いろいろな事に興味(きょうみ)があり,今の仕事にも生かされていると思っています。

※このページに書いてある内容は取材日(2016年07月22日)時点のものです

『ブラタモリ』を制作(せいさく)

『ブラタモリ』を制作

(わたし)は,NHKでテレビ番組プロデューサーの仕事をしています。プロデューサーとは,テレビ番組の企画(きかく)から,制作(せいさく)スタッフや出演者(しゅつえんしゃ),費用の調達,制作(せいさく)の進行など,番組の全体を管理する責任(せきにん)者です。また,制作(せいさく)した番組の宣伝(せんでん)も行います。そのため,メディアに出演(しゅつえん)することもあり,放送業界に(かぎ)らず,多くの人と仕事をしています。
番組をつくるためには,企画(きかく)力だけではなく,それを周りに伝える熱意と説得力も必要です。(わたし)手掛(てが)けた番組の代表作は『ブラタモリ』。タモリさんがふらっと町を歩いて,さまざまな気づきや発見をしていく番組です。

最初の仕事は,町の魅力(みりょく)(さい)発見

最初の仕事は,町の魅力の再発見

(わたし)は,NHKに入ってから,ディレクターとして青森に配属(はいぞく)され,さまざまな業務(ぎょうむ)をこなしながら番組制作(せいさく)の流れを学んでいきました。地方局では,報道(ほうどう)からスポーツ,そして「のど自慢(じまん)」まであらゆるジャンルの番組を経験(けいけん)します。 そこで,ある番組のコーナーを企画(きかく)することになり,青森の用水路にテラピアという熱帯魚が生息していることを取材したのです。なぜ,寒い冬の青森に熱帯魚がいるのかという素朴(そぼく)疑問(ぎもん)からでした。水族館の飼育員(しいくいん)さんに(たず)ねると,青森の用水路は熱帯魚が住みやすい環境(かんきょう)だと言うんですよ。青森市内にはたくさんの温泉(おんせん)があり,用水路や川にも流れているので水温が一年中高いんです。(おどろ)きましたね。最初は(だれ)かが熱帯魚を放流したと思うのですが,住みやすくて繁殖(はんしょく)したというわけです。(わたし)は,熱帯魚の話題から,市内には想像(そうぞう)以上にたくさんの温泉(おんせん)があり,用水路や川にも流れているんだという内容(ないよう)企画(きかく)にしました。
町の観光スポットなどを取材することが一般(いっぱん)的なんですが,スタッフや視聴者(しちょうしゃ)からは「こんな企画(きかく)は初めてだ。町の魅力(みりょく)(さい)発見したよ。」と声をかけられました。番組作りには,いろいろなやり方がある,こんな切り口もある,という手がかりをつかんだ経験(けいけん)でした。

『熱中時間』の制作(せいさく)に熱中

『熱中時間』の制作に熱中

東京に(もど)ってからは,BS放送で趣味(しゅみ)に熱中している人を取り上げる『熱中時間』という番組を制作(せいさく)しました。仕事としてお金を(かせ)いでいるわけではなく,趣味(しゅみ)に熱中することで毎日を充実(じゅうじつ)して生きている人たちを取材した番組です。例えば,クモの巣を集めている女性(じょせい)がいました。クモの巣を採集(さいしゅう)して,スプレーをかけて固めて部屋に(かざ)っているんです。研究者にもそのような人はおらず,しかも趣味(しゅみ)で集めているというのは面白いなと思いました。また,高校のころから路線バスが好きで,就職(しゅうしょく)してからもそのバスで通勤(つうきん)し,老朽(ろうきゅう)化して廃車(はいしゃ)になるときに買い取り,大型免許(めんきょ)も取得して,そのバスでコンビニへ買い物に行っている人もいました。好きなことをそこまで極めるのかと思いますが,実に魅力(みりょく)的な人たちです。何よりも私自身(わたしじしん)が,面白くて取材にも熱が入りました。すると不思議なもので,視聴者(しちょうしゃ)はクモの巣やバスには特に興味(きょうみ)がないのだけど,それを趣味(しゅみ)にして熱中している人が面白いと評判(ひょうばん)になりました。テレビ番組というのは,(みな)が知っていることを取り上げなくても,面白くできると手ごたえを感じましたね。

『ブラタモリ』誕生(たんじょう)秘話(ひわ)

『ブラタモリ』誕生秘話

これまでの積み重ねもあって,ぶらりと町歩きすることから何か見えてくるのではないかという視点(してん)で,ディレクターと新番組の土台を作ったんです。それが『ブラタモリ』です。はじめはNHK周辺から始めました。明治神宮から表参道,渋谷(しぶや)駅の辺りです。深夜放送でしたが,面白いとかなりの反響(はんきょう)がありまして,シリーズ化しようということになったんです。
町歩き番組や旅番組はたくさんありますが,『ブラタモリ』は,観光スポットには行かない,グルメスポットにも行かない,というルールを作りました。そのために,地味な内容(ないよう)になってしまう(おそ)れもあり,一部の人にしか受けないという意見もあったのですが,(わたし)は先ほどの『熱中時間』の手ごたえから,視聴者(しちょうしゃ)に受け入れられるのではないかと思ったのです。趣味(しゅみ)やオタク的な文化が日本では成熟(せいじゅく)していますからね。自分が面白いと信じているものですから,熱意をもって周りを説得しましたよ。番組をつくる人は,「この企画(きかく)はいける」という感覚を(だれ)もが持っているはずなんです。一方,その感覚が時代に合うかというタイミングもあります。もちろん,タモリさんが出演(しゅつえん)してくれるというのは大きな説得材料でした。「君がそれほど言うのなら,やらせてみるか」と言われたときは,(うれ)しかったですね。

想定外の面白さ

想定外の面白さ

『ブラタモリ』は歴史番組や地理番組などと名乗ったことは一度もないんです。タモリさんが町を歩きます。何かが見えてきます。これは何だろうなと言っていることが結果として地理や歴史の何かにつながるという面白さだと思っています。今日は,ある歴史を取り(あつか)った番組ですと言えば,視聴者(しちょうしゃ)(かぎ)られますが,今日はどんな発見があるのだろう,タモリさんが何を話すのだろうという点が多くの視聴者(しちょうしゃ)をひきつけ,一緒(いっしょ)に番組を見ながら参加して推測(すいそく)するという楽しさに(つな)がっているのではないでしょうか。
また,土木の関係者からも面白いという意見をいただきました。もちろん,土木ということをキーワードにした番組ではありません。ところが,たまたま結果として,土木技術(ぎじゅつ)が町づくりに生かされていることをタモリさんが話すことで,その魅力(みりょく)(さい)発見していたのです。(わたし)としては思いがけない反響(はんきょう)があって(おどろ)いています。 多くの番組は,どんな人に観てもらいたいかということを想定して作るわけですが,『ブラタモリ』は想定していない視聴者(しちょうしゃ)(そう)へ広がり,結果として,より多くの人に観ていただけるようになりました。

進行はアドリブで!?

進行はアドリブで!?

『ブラタモリ』では,制作(せいさく)技術(ぎじゅつ)スタッフのためにシナリオは準備(じゅんび)していますが,タモリさんやアナウンサーには見せていません。全くのアドリブです。ですから,想定していた流れから外れてしまうこともあります。その場合もアドリブを大事にして,新しいことを発見していくという“ときめき”を大事にしたいと思っています。
番組を始めたころは,タモリさんはお昼の番組に出ているイメージが強かったものですから,こんなに町歩きが好きで,博識(はくしき)な人なんだというギャップと,アドリブが番組の魅力(みりょく)になりました。

番組制作(せいさく)醍醐味(だいごみ)

番組制作の醍醐味

テレビの仕事で面白いのは,たくさんの人と会えるということです。そして,あらゆる職業(しょくぎょう)の人と(せっ)することができます。取材でたくさんの人と(せっ)すると,例えばスポーツをしている人はどんな気持ちなのか,研究している人はどんな場所でやっているか,何を目的に行動しているのか,など,たくさんの感覚に()れることができます。専門家(せんもんか)であれば,何年もひとつのことに集中して仕事をしますが,テレビ番組の制作(せいさく)は,次々(つぎつぎ)と新しいことに関わる仕事です。そして,ディレクターを始め,出演者(しゅつえんしゃ)など多くの人と一緒(いっしょ)に番組を作ります。1人だけで仕事は完結しません。たくさんの人と関わり,たくさんの人と出会う。それがテレビの仕事の醍醐味(だいごみ)ですね。

キーワードは“好奇心(こうきしん)

キーワードは“好奇心”

(わたし)は,小さなころからいろんなことに興味(きょうみ)がありました。今,仕事をしているうえで,それが全く無駄(むだ)になったとは思いません。例えば切手を集めたり,ラジオを作ったり,プラモデルを作ったり,恐竜(きょうりゅう)が好きになったり,自転車が好きでサイクリングに()ったり,いろんなことに夢中(むちゅう)になりました。それが何のためになるのかという理由はいらないと思います。そして,好きなことを職業(しょくぎょう)にしなくても良いと思います。(わたし)は,当時好きでいたこと,夢中(むちゅう)になっていたことの感覚を今でも覚えていて,それが今の仕事につながっています。(みな)さんもたくさんの事に好奇心(こうきしん)を持ってください。何かに熱意をもって取り組んだ経験(けいけん)は,将来(しょうらい)にもつながっていきますよ。

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夏目漱石
100年以上前の東京が舞台の小説です。主人公の三四郎は熊本から東京の大学に入るために上京してきて,新しい世界に触れていきます。当時の東京は明治維新の後,急速に西洋の影響を受けて変わりつつありました。三四郎の日常の大学生活を通して,地方と東京や,古い日本と新しい日本の違いがズレが描かれていきます。大きな事件が起こる話ではありませんが,読み返すたびに新しい発見があるので,旅に出る時など持ち歩いています。

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社