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理学療法士

福辺 ふくべ 節子 せつこ さん

  • 生きる喜びと希望を
  • 「力のいらない介助」をスタンダードに

この仕事を始めたきっかけは何ですか

「ご自身が理学療法を受けたからですか」とよく質問されるのですが、そのときには将来自分がこの仕事をするとは、全く思ってもいませんでした。子どもが大きくなり、少し手が離れたので何かしたいと思い、男女差がない仕事と考えて理学療法士を選びました。大学3年のときに事故が原因で ひざから下を切断しているので、勉強を始めたときは整形外科系を中心に考えていましたが、徐々に脳卒中や脳性まひなどの中枢系の障害に興味が向き、脳の障害の理学療法をやりたいと思うようになったのです。就職した現場でいろいろな場面に遭遇し、その後、進路変更をしつつ今に至っています。

理学療法士になったきっかけは何ですか

  • セミナーで立ち上がりの指導

  • ベッドから車椅子(いす)へ移動

卒業後、 尼崎 あまがさき市の身体障がい者センターに勤務し、その後フリーの理学療法士として訪問リハビリテーションに関かかわっていました。対象者さんがセンターに来ているときは動くことができても、家に帰ると動けなくなってしまう。家でどのような生活をされているのかを知りたいと思い、訪問リハを始めました。現在はおもに介護施設などでの研修や、介護者向けセミナーで「力のいらない介助」を伝えています。私の介助の方法は“福辺流”といわれていて、相手を動かすのではなく動いてもらうもの。私自身が義足でバランスが悪く、膝が曲がらないということがあったため、相手の動きを引き出して、介助する側の力が少なくて済む方法を自然に行っていたのだと思います。それがみんなとは違う方法だということは、セミナーを開催するようになってから気が付きました。ちゃんと声かけをして相手とコミュニケーションを取りながら、相手の動きを感じ、相手に動いてもらう介助は、同時に「やろう」という気持ちになってもらう、心も動かす介助だと思います。

この仕事をやってよかったと思うことはありますか

対象者さんやセミナー参加者と接するごとに感じています。訪問をして利用者が変わる、セミナーをやって参加者が変わる、それは一目 瞭然 りょうぜんに分かります。セミナーで教えていて参加者が変化する瞬間があり、それがとてもうれしい。そしてその先にいる利用者が変わっていくのも分かります。セミナーをすると毎日気付かされることがあって、それを学んでいけることに喜びを感じています。

これからの夢や抱負は何ですか

この介助法が介護職・看護職・セラピストなどの教育の中で取り上げられるようになってほしいです。この介助は、相手の動きを引き出すだけではなく、対象者さんの「まだやることがある」「まだ生きていける」と気持ちを動かすこと、そして「歩きたい」「旅行に行きたい」という希望や思いをかなえるためのものでもあります。今は私の名前が付いていますが、将来は介助のスタンダードになってくれることを願っています。

高校生にアドバイスをください

いろんなことに興味を持って、たとえ失敗してもいいので自分がこうなりたい、こうしたいということを見つけて、やってみてください。理学療法士はとてもおもしろい仕事ですが、今は人数も増えてきて自分の確かな目標がないと、通用しない世界になっています。最初はどんなきっかけでもいいですが、目標を見つけてまずは取り組んでみる。やりたいことがあって、それを真に願えば、思いはかなうものだと私は信じています。

  • 高齢者に かかわる職種
  • 理学療法士/介護福祉士/作業療法士/社会福祉士/訪問介護員(ホームヘルパー)/ケースワーカー/医師/看護師/保健師/福祉用具専門相談員/介護ベッドや車椅子など介護用品メーカーで働くなど

仕事内容や必要な資格などは、自分で調べてみよう!