世界をつなぐ海上物流
輸出入を支える海運
日本では,生活に欠かせないエネルギーや食料の多くを輸入に頼っています。数字を見てみると,2017年の日本のエネルギー自給率は9.6%,食料自給率は38%でした。
輸入品はどのように運ばれてくるのでしょう。その99%以上が海上輸送,つまり船に積まれて運ばれてきます。海上物流なくして,わたしたちの生活は成り立たないのです。
残りの1%足らずは,飛行機による空輸です。半導体などの電子部品や医薬品,鮮度が重要視される花や生鮮食品などが,飛行機で運ばれます。全国の港湾と空港で,貿易額(輸出と輸入の合計金額)がもっとも高いのは,成田国際空港です。
さまざまな貨物船
船は,ありとあらゆる物を積んで運びます。貨物船の形や機能は,運ぶものによってさまざまです。たくさんのコンテナを積み木のように積むコンテナ船,自動車を運ぶ立体駐車場のような自動車船。原油を運ぶタンカーは船倉のタンクがいくつかの区画に区切られていて,数種類の原油を運ぶことができます。液化天然ガス(LNG)を運ぶLNG船は,甲板に巨大な半球が並ぶユニークな姿のものもあります。
鉄鉱石,石炭,トウモロコシや大豆などの穀物など,貨物を梱包せずそのまま積む貨物船は,ばら積み船,あるいはバルカー,バルクキャリアなどと呼ばれます。積荷の種類によって専用の船が造られ,荷揚げ用のクレーンやベルトコンベアを備えた船もあります。
物流に革命を起こしたコンテナ
1970年にアメリカで発明されたコンテナは,物流に革命を起こしたといわれています。コンテナ誕生以前,貨物の形や大きさはバラバラで,船に積み上げられる量は限られ,運搬中に破損することもありました。また,港での荷揚げや船から船への移し替え作業にも手間がかかりました。コンテナは,そういった問題をすべて解決し,物流を飛躍的に効率化させました。
コンテナは,貨物を入れる鋼鉄やアルミ製のじょうぶな箱です。サイズは世界共通で,幅は8フィート(約2.4m),長さは20フィート(約6.0m)もしくは40フィート(約12.1m)です。船上に積み重ねて大量輸送ができ,荷揚げ作業もクレーンで効率的かつ短時間に行えます。さらに,港からコンテナごと鉄道やトラックに積み替えられるので,中身を移し替える必要がなく,スピーディーに運搬ができます。
日本では1971年に東京港の品川に初めてコンテナターミナルが作られました。コンテナで運ばれる貨物は食品や生活雑貨が多いことから,全国のコンテナ取扱本数の4割が,人口の多い首都圏の東京港と横浜港に集中しています。