港の役割と種類
港ってどんな場所?
港は,船が安全に出入りし,停泊できる場所です。古くから,強い風や波を受けない自然の入り江や河口,島の陰など,地理的な条件のよい場所が港として利用されてきました。近代になって船が大型化すると,岸壁や防波堤を築き,船が停泊する場所の水深を深くするなど大規模な土木工事を行い,大きな港がつくられるようになりました。
港はまた,船で運ばれた人や物が出入りする場所でもあります。荷揚げをする施設など,陸上にもさまざまな機能が必要になります。そのため港は,船が安全に出入りし停泊する「水域」と,人や物の移動のための施設がある「陸域」がセットになっています。
日本には3800もの港がある
島国の日本には,およそ3800もの港があります。日本の国土の面積は世界第61位ですが,数多くの島があり,入り組んだ地形も多いため,海岸線は世界第6位の長さです。単純に平均すると,海岸線のおよそ9kmごとに港が1つある計算になります。
港は,大きく「漁港」と「港湾」とに分けられます。漁港は漁業に使われる港で,全国におよそ2800あります。管轄する省庁は,農林水産省の外局である水産庁です。いっぽうの港湾は,おもに人や物の出入りに使われる港で,その数はおよそ1000。国土交通省の管轄です。
実際に港を管理・運営するのは都道府県や市町村などです。地元の自治体が,港にどんな役割をもたせ町づくりをするか計画し,運用しています。
法律による港の種類
法律上,港には種別があります。漁港は,全体の4分の3が,地元の漁船のみが利用できる小さな「第1種漁港」です。「第2種漁港」は近隣の漁船も利用できるもので,全国の漁船が利用できる「第3種漁港」は108あります。水産振興上,とくに重要とされるのが「特定第3種漁港」で,13漁港(八戸漁港,気仙沼漁港,石巻漁港,塩釜漁港,銚子漁港,三崎漁港,焼津漁港,境漁港,浜田漁港,下関漁港,博多漁港,長崎漁港,枕崎漁港)が指定されています。
港湾では,およそ1000港のうち102港が,海上輸送網の拠点として「重要港湾」に指定されています。さらに,日本と世界をつなぐ「国際拠点港湾」が全国に18港あります。なかでも,とくに高い機能を備えるのが「国際戦略港湾」で,東京港,川崎港,横浜港,大阪港,神戸港の5港です。国際輸送のハブ港として,また国際輸送と国内輸送の主要航路をつなぐ港として,巨大な船の受け入れや荷揚げ施設の充実など,国際競争力の強化が進められています。