日本財団

海・川の仕事人

コラム

05

海のかんきょうぜん

漁業や漁村のさまざまなやくわり

 りょうさんの仕事=漁業のやくわりは,ぎょかいるいをとったり育てたりして,わたしたちの「食」をささえることです。しかし漁業や漁村には,他にもさまざまなやくわりがあります。
 たとえば,しんせんうみさちが食べられる食堂や民宿でおとずれる人をもてなしたり,「食と命の学び」の体験学習や漁業体験をていきょうしたり,都市の人が海辺に親しむ場をつくってくれています。また,海の神事やでんとう行事,きょうしょくなど,日本らしい生活文化を守り伝えるという大切なやくわりもあります。
 さらに,海の自然をよく観察し,かぎりあるげんを守り続けるふう,努力も注目されています。最近では,「里海」のがた,サンゴしょうを守りやす活動や,海岸のひょうちゃくごみのせいそうなども活発に行われています。

りょうが始めた里海づくり

 おかやまけんぜん日生ひなせしょとうは,やす活動のさきけとして有名です。けいざい成長の時代,海のてやせんによって,日生ひなせではのほとんどが消えてしまいました。そこで30年ほど前,りょうさんたちが海草のアマモの種をまき,さいせいしようと立ち上がりました。
 この「里海づくり」を始めたのは,水深5mほどの浅い海で「つぼあみ」という小型ていあみ漁をいとなむ人たちでした。「毎日のみずげとあみの手入れで一日中海のそばにいて海を見ていたから,海のかんきょうが変わったことに気づき,げんいんだと気づいた」といいます。
 今,日生ひなせの里海づくりの輪は,消費者のだんたいやNPO,地元の学校などにも広がっています。りょうさんを中心に多くの人がアマモの種まきに参加して,海のかんきょうをよくしようと力を合わせています。

海のかんきょう活動で広がる人びとの輪

 日生ひなせだけではありません。日本の海辺のあちこちで,がた,サンゴしょうを守りさいせいさせる活動が生まれ,はばひろい人たちが参加しています。また,海岸ごみのせいそう活動も活発です。最近では,海をよごさないためにプラスチックごみをらそうという気運も社会全体で高まっています。めぐみを得るために利用しながらぜんもしていく,持続のうな里海づくりの輪は,ますます広がっていくことでしょう。

助成:公益財団法人 日本財団
協力:NPO法人 共存の森ネットワーク,愛南漁業協同組合
取材・執筆:大浦 佳代/イラスト:友永 たろ,川島 星河,広野 りお