さまざまな漁法
とる漁業と養殖業
漁業には,天然の魚介を「とる漁業」と,「育てる漁業=養殖業」とがあります。日本では現在,「とる漁業」が生産量のおよそ8割を占めますが,生産金額ではおよそ6割。養殖業が4割となっています。
養殖業の多くは,波の穏やかな湾内や入り江で行われています。大きく分けると,えさを与えて育てるものと,日光や海中の栄養分にたよるものとがあります。前者には,クロマグロ,マダイ,カンパチ,ブリ,サケ類,ウナギ,エビ類などがあります。後者には,ノリ,ワカメなどの海藻類,カキ,ホタテガイなどがあります。
沿岸漁業は魚介の種類も漁法も多様
とる漁業は,沿岸漁業,沖合漁業,遠洋漁業に分けられます。沿岸漁業は,陸に近い海域で行われる漁です。沿岸の海は川から運ばれた栄養分に富み,海底の地形も岩場や砂地,干潟など多様です。そのため,とれる魚介類の種類は豊富で,漁法もさまざまです。
代表的な漁法が,全国各地で営まれている定置網漁です。魚の通り道に箱型の網を固定し,中に入った魚をとります。季節ごとにさまざまな魚がとれ,ときには大きなマンボウやジンベイザメが入って話題になることもあります。
そのほかに,一本釣り,素潜り漁,カーテンのように網を張って泳いでいる魚をとる刺し網漁,海底で網をひき回してカレイやタイ,エビやイカをとる小型底びき網漁,船で袋状の網をひいてシラスをとる船びき網漁などがあります。
規模の大きな沖合漁業,遠洋漁業
沖合漁業はおもに日本の排他的経済水域(海岸から200海里=370.4キロメートル)内で行われ,遠洋漁業は世界の公海が舞台です。漁の規模は大きくなり,漁船も大型で多くは急速凍結システムを備えています。回遊魚のアジ,サバ,イワシ,カツオ,サンマ,マグロなどをとります。魚の群れを巨大な網で囲い込む巻き網漁,サンマの群れを光で誘導してすくいとるサンマ棒受網漁,底びき網漁など網を使う漁法のほか,カツオ一本釣り,マグロ延縄漁など釣りの漁もあります。マグロ延縄漁は,200キロメートルもの長いロープ(延縄)に釣り針を何千本もつけたスケールの大きな漁法です。