現場監督(海外) の仕事
原田 萌さん (鹿島建設株式会社)
海外,シンガポールで,集合住宅と商業施設が合わさった複合施設を新築でつくる工事の現場監督をしています。2万5千平方メートルを超える敷地に高級住宅667戸とショッピングモールやスーパーマーケットができる予定で,日本円で数百億円にのぼる,大きなプロジェクトです。完成は2022年の予定です。私はこのプロジェクトでは住宅部分の工事を担当しており,施工計画や仕上げの計画を立て,専門のスタッフを束ねて工事を進めていく,マネジメント(管理)の仕事をしています。
シンガポールは多民族国家で,建設現場にもシンガポール人,中国系,インド系,マレーシア系,フィリピン系など,さまざまな人種・文化の人たちが集まります。それぞれに気質や得意なこともバラバラなので,気をつかいつつスタッフを束ねています。また,現場監督が何でもやる日本と違って,シンガポールでは分業制が進んでいて,それぞれの職種が細かく分かれています。図面をつくる人がいて,それをチェックする人がまた別にいます。ですから,「誰に何をいつ頼むか」を事前にしっかり計画してプロジェクトを進めるようにしています。
今回の工事には,「PPVC」という新しい工法が使われています。日本ではまだ例のない工法で,まず工場でコンクリートの箱をつくり,内装まで完全に仕上げてしまいます。そして,できたそれぞれのパーツ(モジュール)をトレーラーで現場に運んで,クレーンで吊って組み立てます。重いモジュールは38トンにもなるため,吊るのにも特別なクレーンが必要です。また,工場でモジュールを組み立てるため,建設現場での手直しが基本的にできません。初めての工法で苦労も多いのですが,チャレンジする気持ちで取り組んでいます。