現場監督(海底トンネル) の仕事
時松 千夏さん (五洋建設株式会社)
東京港の中央防波堤地区と有明地区を結ぶ「臨港道路南北線」の途中にある大きな海中トンネルを造る工事で,現場監督の仕事をしています。このトンネルは,沈埋函という鋼製の枠にコンクリートを充填させた大きな箱を造って,船のように浮かせて運び,海の中に沈めて,それをいくつも繋げて作ります。今回,造っている沈埋函は,長さが134メートル,幅が27.8メートル,高さが8.35メートルという,巨大な箱です。それを7つ作って,一つずつ順番に沈めて,海の中で繋げます。
現場監督は,工事現場で作業が安全にスケジュールどおりに進むよう,前もって必要なものを準備したり,品質のチェックをしたり,現場で作業員に指示をしたりする仕事です。ケガや事故が起こらないよう作業員に指示を出したり、危険な場所を立入禁止にしたりするのも大切な仕事です。工事には多くの人が関わるため,安全な作業で図面どおり正確に品質のよいものをつくるために,現場監督の仕事はとても大切なのです。
沈埋トンネルの工事には,造船の技術も必要になります。沈埋函は,「ドライドック」という,船を造るためのドックで組み立てます。その後,密閉されている沈埋函を海に浮かべ,設置場所まで船でゆっくりと引っ張って運びます。沈埋函を海面から約20メートル下の海底に沈めたら,既に沈めてある沈埋函と,水がもれないようにしっかり繋げ,中からふたを外して開通させます。134メートルの沈埋函それぞれの長さの誤差は,プラスマイナス10ミリ程度。造るのは大きなものですが,とても精密な作業が必要なのです。