仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1973年 生まれ
おりじなるれさぴーちきんまいすたーオリジナル・レサピー・チキン マイスター
笠原かさはら 一樹かずき
子供の頃の夢: パン屋さん
クラブ活動(中学校): 野球部
仕事内容
おいしさでしあわせをつくるごと
自己紹介
休みの日は,子どもと遊ぶことが多いです。スケボーをしたり,冬はスキーへ行くなど活動的なことも好きですが,一緒いっしょに食べ放題のお店へ行ったりもします。普段ふだんは料理をあまりしませんが,母の日や家族の誕生日たんじょうびには,子どもと一緒いっしょにカレーをつくったりします。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2016年02月04日)時点のものです

自社商品のこだわりをお客様と従業員じゅうぎょういんに伝える

自社商品のこだわりをお客様と従業員に伝える

わたしはオリジナル・レサピー・チキン(OR)マイスターとして働いています。ORマイスターは,日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)が2013年に新しく作った制度せいどで,世界中で二人だけ,しかもわたしともう一名の日本人だけしかいません。普段ふだん従業員じゅうぎょういんのトレーニングを担当たんとうする部署ぶしょ所属しょぞくし、「オリジナルチキン」の調理ポイントやレシピ開発のこだわり、おもてなしの心(ホスピタリティ)を伝え、同時にお客様に向けてKFCのさまざまなこだわりを伝える「ブランドの伝道師でんどうし」としても活動しています。

1週間の大半は全国の店舗てんぽめぐ

1週間の大半は全国の店舗巡り

わたしは1週間のうち3〜4日は,全国の店舗てんぽたずねています。北海道から沖縄おきなわまで,KFCの店舗てんぽは全都道府県にあり,その数は約1,150店舗てんぽになります。各店舗てんぽおとずれ,従業員じゅうぎょういんにさまざまなアドバイスをして,素材そざいの生産から流通,店舗てんぽでの調理にいたるまでの,カーネルのこだわりと想いをもっと知ってもらうために,さまざまな活動をしています。また,小学生を対象とした「オリジナルチキン」の調理体験教室「キッズ・スクール」の開催かいさいや,小学校での出張しゅっちょう授業じゅぎょうを行うこともあります。
東京の本社にいるときは,出張しゅっちょう準備じゅんびをしていることが多く,そのほかにもイベントの企画きかくやその準備じゅんびをしています。さらに最近では,テレビや雑誌ざっしなどでORマイスターについて取り上げてくれることも多く,取材を受けることもあります。

移動いどうは多いが発見や楽しみも多い

移動は多いが発見や楽しみも多い

出張しゅっちょうのときは,店舗てんぽ店舗てんぽ距離きょりはなれているところもあり,移動いどう非常ひじょうに長くなることがあります。少し大変ですが,いろいろなところへ行ってたくさんの人に会えるので,とても充実じゅうじつしています。また,飛行機や電車の待ち時間を利用して,その土地ならではの名物を味わえることも楽しみになっています。出張しゅっちょう先で訪問ほうもんした店舗てんぽでは,従業員じゅうぎょういんからサインを求められることもあります。KFCの創業者そうぎょうしゃであるカーネル・サンダースと同じ格好かっこうをしていますから,とても目立つようですね。

子どもたちの最高の笑顔に感激かんげき

子どもたちの最高の笑顔に感激

わたしたちは,小学生とその保護者ほごしゃに,実際じっさい店舗てんぽでチキンの調理を楽しんでもらう「キッズ・スクール」を開催かいさいしています。参加者に楽しくフライドチキンのことを知ってもらおうと,話す内容ないようや話し方の工夫,クイズ大会をするなど,楽しいイベントとなるようにいろいろな企画きかくをしています。
イベントの最初の1時間くらいは,緊張きんちょうのせいかみなさんとてもおとなしいです。しかし,だんだん場が和み,いよいよチキンの調理が始まるというとき,生のチキンを目の前にした子どもたちは一斉いっせいに「ワァー」と大きな歓声かんせいを上げます。それから,自分で粉やスパイスをつけたチキンがきれいな色にがってくると,子どもたちはより一層いっそう喜んでくれます。そして,自分でげた「オリジナルチキン」を食べたときは,最高の笑顔を見せてくれます。「この仕事をやっていて良かったな」と思う瞬間しゅんかんの一つです。今は,こうしたイベントを全国の子どもたちにとどけられるよう,準備じゅんびを進めているところです。

楽しく,自信をもって働けることが大事

楽しく,自信をもって働けることが大事

世の中にはいろいろな仕事がありますが,自分一人で完結する仕事はほとんどなく,人とつながっている仕事が大半だと思います。わたしはORマイスターになる前,12年ほどいろいろな店舗てんぽの店長をしていました。そのとき一番大事にしていたことは,従業員じゅうぎょういんが楽しく,自信をもって働ける職場しょくばにすることでした。やりがいを感じられる仕事であれば,職場しょくばに来るのも楽しくなります。また,どうやってお客様に喜んでもらおうかと考えながら仕事をすると,当然,良いサービスもできるようになります。反対に,自分たちの仕事にほこりを持てない,働いていて楽しくないと思うと,それはお客様に伝わってしまいます。店長は2年〜3年くらいで店舗てんぽうつりますが,どの店舗てんぽでもつねに,従業員じゅうぎょういんが自分の仕事にほこりを持ち,前向きな気持ちで仕事ができるような環境かんきょうにしたいと,あれこれ試行錯誤さくごしていました。

複数ふくすうの試験をてORマイスターに

複数の試験を経てORマイスターに

わたしは大学を卒業後,日本KFCに入社しました。KFCの店舗てんぽでアルバイトをしたこともなく,当初は店舗てんぽで働くとは思ってもいませんでしたが、入社4年目で店長試験に合格ごうかくし,さまざまな店舗てんぽで店長として働くことになりました。
そして,社内で新たにORマイスター制度せいどができるという知らせがきたとき,「ぜひやりたいと」手を挙げました。あまり知られていませんが,KFCでチキンを調理するには「チキンスペシャリスト」という資格しかくが必要で,上位からS,A,B,Cというランクがあります。おいしいチキンを安心して食べてもらえるよう,会社が決めた資格しかくです。資格しかくを持っている人は日本全国で約6,000人いますが,Sランクの人はそのうち1%ほどしかいません。ORマイスターになるにはSランクの資格しかくが必要です。「チキンスペシャリスト」の試験も大変でしたが,ORマイスターの試験はもっと大変でした。ORマイスターの試験では,チキンのことや店舗てんぽ経営けいえいなど,さまざまな知識ちしきを問う筆記試験と,調理の実技じつぎの試験がありました。そして,面接めんせつ試験を受け,「ORマイスター」の認定にんていを受けることができました。KFCブランドの「顔」として活動することに,今まで以上に大きな責任せきにんを感じながら日々ひびさらなる勉強を重ねているところです。

自分でなんでもやる子どもでした

自分でなんでもやる子どもでした

中学まで野球をやっていたので,放課後はほとんど毎日練習をしていました。何でも自分でやる子どもで,親からは手がかからない子だと言われていました。自分で何でもやるという性格せいかくは,大人になっても変わらず,会社に入って仕事をするようになってから役立つこともありましたが,こまったこともありました。全て自分でやってしまうと,自分の身動きがとれなくなることがありますし,きちんと仕事をまかせてあげないと後輩こうはいを育てることもできないのです。自分から行動するという積極せいも大事ですが,人にたよること,信頼しんらいして仕事をまかせることも必要だということを,会社に入ってから学びました。

20年来のゆめがようやくかなった

20年来の夢がようやく叶った

これから成長していく中で,いろいろな人と関わりを持っていくと思います。その中で,相手を気遣きづかい,思いやる「おもてなしの心(ホスピタリティ)」を特に大切にしてほしいです。心は目で見ることはできませんが,筋肉きんにくと同じで,きたえていくと強くなります。たとえば,落ちているゴミを拾うとか,席をゆずるとか,小さなことでも良いので,気遣きづかう、思いやりの気持ちを持って生活して心の筋肉きんにくをつけていけば,どんな仕事にいてもうまくやっていけると思います。
また,勉強でもスポーツでも,習い事でもなんでも一度失敗しても,なかなか上手くならなくても,あきらめずにやっていくことはすごく大事です。わたしは,大学のころからずっと留学りゅうがくしたいと思っていましたが,なかなか実現じつげんできませんでした。最近になって,会社の留学りゅうがく制度せいど応募おうぼしたところ,オーストラリアへ3ヶ月留学りゅうがくする機会を得ることができました。20年来のゆめがやっとかなったのです。みなさんも,あきらめずにベストをくしていれば,きっと希望はかなえられると信じて,頑張がんばってほしいです。

ファンすべてを見る

(北海道 中1)
(宮崎県 小4)
(千葉県 小6)
(東京都 小6)
(山口県 中1)
(愛知県 小5)
※ファン登録時の学年を表示しています

私のおすすめ本

宮本 直和
松下幸之助,稲森和夫をはじめとする日本を代表する偉大な経営者の根底にある「思い」の哲学は,まさに創業者であるカーネル・サンダースに通じるものがあります。事業をしていく上で一番大事なことは“思い”だと皆さん言っています。その“思い”をいかに伝えていくかということが段階を踏んで書かれていて,参考になります。理念(心,思い)を高めるためのヒントも書かれています。
高野 登
著者は,元リッツカールトン日本支社長だった人物。この本も,思いやり,気遣う心などが根底にあります。お客様,相手自身が気づいていない望みとは何かを常に考え,思い,感じることにより,本当の「ホスピタリティ,おもてなしの心」を育てていくヒントが書かれています。仕事だけでなく,普段の生活においても人と接する際に大切にしたいことが書かれており,感銘を受けました。

もっと知りたいこの仕事人

取材・原稿作成:株式会社ユニバーサルデザイン総合研究所/東京書籍株式会社