仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

神奈川県に関連のある仕事人
1972年 生まれ 出身地 岡山県
石上いしがみ 聰章さとあき
子供の頃の夢: パイロット
クラブ活動(中学校): バレーボール部
仕事内容
国内および海外にてホテルのPRをし、ホテル利用をそくしんするためのえいぎょう活動を行う。
自己紹介
体力には自信があります。風邪かぜをひくこともめったにありません。休日にはドライブをしたりバイクのツーリングで出かけたりすることがリフレッシュになっています。いろいろなご当地グルメをたんのうして、新たなおいしさを発見するのが楽しみです。

※このページに書いてある内容は取材日(2024年10月29日)時点のものです

旅行代理店にホテルのことを知ってもらい、利用につなげる

旅行代理店にホテルのことを知ってもらい、利用につなげる

わたしは、神奈川県のよこはまにある「ホテルニューグランド」というホテルで、えいぎょうマネージャーとして働いています。ホテルニューグランドはやました公園の目の前に位置し、正面客室からはよこはまベイブリッジや大さん橋のあるよこはまこうを一望することができます。旅行代理店などの業者の方にホテルニューグランドのことを知っていただき、お客さまの宿しゅくはくさきを手配するさいに利用していただけるようPRしていくのがわたしやくわりです。
ビジネスのしゅっちょうだんたい旅行など、大人数がどうして宿しゅくはくが必要になる場合、お客さまは旅行代理店を通して手配するケースが多いです。わたしの主な仕事は、そうしたお客さまの宿しゅくはくさきとしてホテルニューグランドを積極的に使ってもらえるよう、全国の旅行代理店の方に、よこはまにこういうホテルがありますよ、客室数やえんかいじょうせつはこんな感じですよ、ということを知っていただくことです。
よこはまエリアでホテルをさがすときにホテルニューグランドのことをすぐおもかべていただきたいので、なるべく一度だけではなく、定期的にほうもんして、ホテルとわたしのことを覚えていただけるように心がけています。ホテルの近くには「パシフィコよこはま」という大きなこくさい会議場もありますし、きんりんエリアで大きなイベントがかいさいされることもあります。そういうときはホテルに宿しゅくはくする方も多くなりますから、それに合わせたごていあんを旅行代理店の方にすることもあります。イベントに合わせたこういう計画は、大体、イベントの半年〜1年くらい前からじゅんを始めることが多いです。

合同商談会に出席するほか、地方しゅっちょうや海外しゅっちょう

合同商談会に出席するほか、地方出張や海外出張も

わたし自身は大体8時45分くらいに出社をして、午前中はメールチェックなどの作業を行います。午後からはえいぎょうの仕事でさまざまな場所に出かけることが多いです。
日本の大手旅行代理店の本社は主に東京にありますが、地方の旅行代理店をほうもんすることもあります。地方の場合はえいぎょうたんとうごとにエリアが決まっていて、わたしは東北と北海道をたんとうしています。地方しゅっちょうはだいたい月に1回で、1日につき10社、多いときは15社ほどをほうもんし、ホテルのごしょうかいをしていきます。また、たいわんかんこくなどアジアけんに海外しゅっちょうに行くこともあり、これは年に3回ほどです。
旅行業者向けの商談会に参加することも多いです。わたしたちのようなホテルと旅行代理店をつなぐ合同商談会というのがいきの観光協会などのしゅさいで定期的にかいさいされていて、そこに参加し、ホテルのことを知っていただきます。インバウンド(ほうにち外国人観光客)に関しても、海外の旅行代理店の方がそういう商談会に参加されていますので、ホテルのとくちょうなどを知っていただくいいチャンスとなっています。また、「ファムトリップ」というのですが、自治体たんとうしゃや観光協会の方がしゅさいし、海外の旅行代理店や事業者の方をんでよこはまのホテルをご案内するツアーもときどき行われています。そういったツアーでホテルのさつに来ていただいたさいにご案内するのもわたしの仕事です。

ホテルの外に出て、お客さまとホテルをつなぐことができる仕事

ホテルの外に出て、お客さまとホテルをつなぐことができる仕事

ホテルのげんでの仕事は、来てくださるお客さまを受け入れるぎょうがメインとなります。お客さまによろこんでいただける、笑顔えがおを見られるのはもちろん大きなよろこびですが、わたしたちえいぎょうの仕事は、ホテルの外でも多くの人とせってんをつくり、お客さまとホテルをつなぐことができる数少ない仕事で、これがいちばんのりょくだと思います。
いろいろな場所に出向いてたんとうの方とお会いしていくのですが、わたしの名前を覚えてくださる方がえ、何かあったときにわたしとホテルの名前を思い出して問い合わせをくださることがあります。ときには旅行代理店の方などのいろいろな方といっしょにホテルの集客のために協力することもあります。こうやって外につながっていくことができるのが、ホテル内の他のぎょうとは大きくちがうところだと思います。
また、しゅっちょうで国内外のいろいろな場所に行くことができるのも、楽しみの一つです。しゅっちょうで、じっさいにホテルに宿しゅくはくされるお客さまの地元をおとずれることで、その土地の文化やしゅうかんのことなどを知ることができることもあります。それをまえて、例えば「朝食メニューにこういうものを加えられませんか」と、げんていあんしたりすることもあります。

ホテルニューグランドのりょくを伝える

ホテルニューグランドの魅力を伝える

ホテルニューグランドは1927年に開業した、いわゆる「クラシックホテル」とばれるホテルです。ホテルである以上、せつが古くなるとお客さまにはいろいろと不便なことも出てきてしまいます。長いれきを持つホテルの中には、建物全体を建て直すところもありますが、ホテルニューグランドの場合は古い建物を大事に使い続けながら、横に新たな建物を建てるという形でそんぞくをしています。それは、古い建物をぐことで、このホテルへの愛や思いをいっしょぐことができるのではないか、「変わらないもの」があるということのりょくも知っていただけるのではないか、と思っているからです。
新しいホテルが周辺にどんどんできている中、わたしたちのホテルにはれきがあり、新しいものと古いものをゆうごうさせた「他にはないもの」がここにあります。そのよさを知っていただくためには、じっさいにホテルをおとずれ、体験していただくことがいちばんです。そのためにも、わたしたちえいぎょうは旅行代理店の方々にホテルニューグランドのことをきちんと知っていただき、ホテルとしてのりょくかいしていただいたうえで、宿しゅくはくされるお客さまにごしょうかいしていただくことが大事です。できれば旅行代理店のたんとうしゃの方にも、ホテルニューグランドのことを好きになっていただきたい、とも思います。そのきっかけになる立場ですから、重要な仕事だと感じています。

なるべく「人」に会いに行く

なるべく「人」に会いに行く

げんざい、ホテルニューグランドに宿しゅくはくされる海外のお客さまの中で、いちばん多いのはアメリカの方です。ホテルニューグランドのすぐ近くに大きな客船がていはくする港があり、アメリカをふくむ海外へのクルーズ旅行への発着やこうの場所になっています。そうした客船に乗ってきた方々がよこはま宿しゅくはくされたり、とうちゃく後に少し日本を観光して帰られたりするために使われています。京都やかまくらのような観光地とはちがう目的で宿しゅくはくされる方が多いため、旅行代理店の方にこうしょうするときも、そういった点を中心にお話しします。ちなみに、古い建物が当たり前のようににちじょうにあるヨーロッパの方々にはわたしたちのホテルの「れき」はPRポイントにならないため、苦労するところです。
セールスえいぎょうたんとうは、たんとうごとに達成しなくてはいけないきんがく目標が決められています。旅行代理店にえいぎょうをして、どれだけけいやくしてくださるか、宿しゅくはくしてくださるかがわたしたちの成果となります。具体的に目標と結果が見えるという点では、プレッシャーもあります。そのため、なるべくわたしたちのホテルを選んでいただけるよう、さまざまなふうをしています。
例えば、旅行代理店をほうもんするときはなるべく「人」に会いに行くようにしています。ただ会社をほうもんするというのではなく、たんとうしゃその人に会いに行くようにする。そのほうがわたしたちの思いも伝わりますし、深くかんけいせいをつくることで、ビジネスにつながるようなほかのたんとうしゃしょうかいしていただけることもあります。そうやって人と人とのつながりを広げていくことをしきしています。お客さまの顔と名前をなるべく覚えたり、お客さまが今何を思っているか、どんなものを求めているかというのをお話の中で感じ取ったりできるのは、ホテルに来られるお客さまとせっするしょで働いていたときのけいけんが生かされているからだと思います。

ドラマをきっかけにホテルの世界へ

ドラマをきっかけにホテルの世界へ

高校生のときに、地元のきってんでのアルバイトをきっかけにせっきゃくぎょうきょうを持ちました。お客さまに水を出したり、オーダーを取ったりという作業が楽しく、「こういう仕事が向いているのかも」と思い、しょうらいの方向を考え始めました。そんなとき、当時テレビで『HOTEL(ホテル)』というホテルをたいにしたドラマが放送されていたのをきっかけに、ホテルでの仕事にきょうを持ちました。ドラマではホテルの仕事のはなやかな部分がたくさんえがかれていて、「こんなところで働けたらおもしろそうだな」と思い、ホテルについて学べるせんもん学校への進学を決めました。
せんもん学校を卒業した後にホテルニューグランドにしゅうしょくし、ベルボーイやフロントぎょう宿しゅくはく予約のぎょうなどをて、9年前に今いるえいぎょうしょはいぞくされました。ホテルで働く人には、わたしのようなせんもん学校を卒業した人もいますが、最近は大学の観光科出身という人もえています。また、海外のお客さまとせっすることが多いので、あるていの語学力はひっとなります。そのため、語学けいの勉強をされてきた人も多いです。もちろん、それらと全く関係ない学校や学部を卒業してしゅうしょくする人もいます。

運動部できたえた体と、きらいではなかった英語学習

運動部で鍛えた体と、嫌いではなかった英語学習

出身は岡山県のくらしきで、わたしが子どものころはまだとても自然がゆたかなかんきょうでした。毎日いろいろな子たちと遊んだり、いきのソフトボールチームに参加してきんりんの学校の子たちとも交流をしたりと、人とコミュニケーションを取るのは好きな子どもでした。中学校、高校ではずっとバレーボール部でしたが、ホテルの仕事もえいぎょうも体力が必要な仕事なので、スポーツで体をきたえていたのは、今でも役に立っているかもしれません。また、高校に入ってから勉強は苦手になっていったのですが、なぜか英語だけはきらいになりませんでした。ホテルの仕事は最低でも英語はひっになりますから、せんもん学校でも英語を学びました。それが苦ではなかったという点でも、この仕事に向いていたのだろうと思います。

語学学習と海外体験は自分のざいさんになるはず

語学学習と海外体験は自分の財産になるはず

今、仕事の中で日々実感していることなのですが、これからはグローバル化がさらに進んでいくと思います。英語だけでなく、さまざまな言語をしゅうとくすることで、さらに自分の「強み」になるのではないかと思います。ぜひ、そこをしきしていただきたいと思います。
また、海外に出てぶんれることは、自分自身のざいさんになるはずです。わたし自身、しゅっちょうでさまざまな国をおとずれることで、今まで知らなかったようなしゅうかんや文化を知ることができ、海外からのお客さまとせっするときによりきめ細かなたいおうができるようになった気がします。チャンスがあれば、積極的に海外へ足を運んでほしいと思います。

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私のおすすめ本

東野 圭吾
あまり読書はしないのですが、ホテルが舞台になった話題の作品だったため手に取り、映画版も鑑賞しました。さまざまな人が行き交うホテルが舞台となり、ミステリーを絡めつつ、ホテルマンの凛(りん)とした仕事ぶりやお客さまへの向き合い方、裏方の動向などが盛り込まれ、娯楽作品としてとても面白かったです。実際とは異なる部分も多かったのですが、ホテルを作品の舞台にしてくださるのは大歓迎です。

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取材・原稿作成:川口 有紀(フリート)・東京書籍株式会社/協力:横浜銀行