社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!
※このページに書いてある内容は取材日(2009年09月28日)時点のものです
私(わたし)の仕事は主に生花の販売(はんばい)と配達ですが,花束や花籠(はなかご)を作ることもします。また,冠婚(かんこん)葬祭(そうさい)や生け花教室のお花を準備(じゅんび)したり,個展(こてん)用のお花を仕入れたりして配達します。花は市場から仕入れていて,松山の市場からは月・水・木・金の午後に配達される予定ですが,相手先の都合もあって,夜遅(おそ)く配達がある時もあります。大阪(おおさか)の市場からは火・木・土に届(とど)きます。大阪(おおさか)から届(とど)く花は,品質(ひんしつ)保持(ほじ)のために朝8時くらいに宅配(たくはい)営業所(えいぎょうしょ)まで取りに行っています。店にはいつも20種類くらいの花があり,11月~5月は花が多いので,もっとたくさんあります。春と秋のお彼岸(ひがん),お盆(ぼん),年末,卒業・入学時期,母の日が忙(いそが)しく,仕入れる量も多くなります。店は母と二人で経営(けいえい)しています。
朝,8時から開店の準備(じゅんび)をします。まずお店の日誌(にっし)を見て配達や注文の確認(かくにん)をします。前もって予約されていた配達は開店の9時までになるべく配達するようにしています。花の手入れは毎日していて,花を入れている桶(おけ)を洗(あら)って,水を替(か)えます。傷(いた)んだり枯(か)れたりしている葉があれば取って,水切り(水の中で茎(くき)を切り直すこと)をします。水切りすることによって,花の持ちが良くなります。そして,水替(が)えが終わった花を店頭に並(なら)べます。昼からは,仕入れの準備(じゅんび)をしたり,電話で注文が入れば配達に行ったりします。葬儀(そうぎ)があれば朝から花を作って届(とど)けるので,とても忙(いそが)しくなります。18時30分の閉店後(へいてんご),次の日の準備(じゅんび)をしますが,葬儀(そうぎ)や結婚式(けっこんしき)があれば遅(おそ)くなります。
動物はお腹(なか)が空いたり痛(いた)い時には,吠(ほ)えたり鳴いたりしてくれますが,花は反応(はんのう)がない生きものなので管理が大変ですね。店内にある花は5日以内に販売(はんばい)するようにしていて,室内の温度は,夏は23℃以下に設定(せってい)しています。冬は花が傷(いた)むので暖房(だんぼう)をつけません。だから寒いですし,水替(が)えの時は水が冷たく手が荒(あ)れるので,ハンドクリームが手放せません!冷蔵庫(れいぞうこ)の中には暑さが苦手な花や,花を咲(さ)かせるのを遅(おく)らせたい花を入れていて9~11℃で管理しています。夏と冬では温度差があるので,水の量を変えて調整しています。水の中に栄養剤(えいようざい)や防腐剤(ぼうふざい)などを入れたこともありましたが,逆(ぎゃく)にダメになる花もあり,やっぱり地元・西条(さいじょう)市の名水「うちぬき」が合っているんだと感じました。それからは水の中には何も入れていません。火曜日が休みですが,大阪(おおさか)からの仕入れがありますし葬儀(そうぎ)の予定は急に入るので,休みにならない時もよくあります。電話が掛(か)かれば,すぐに対応(たいおう)できるようにしているのであまり遠出はできないですね。
お客さんに褒(ほ)めてもらうことや,喜んでもらえることが一番のやりがいです。結婚式(けっこんしき)であれば,新郎(しんろう)新婦(しんぷ)さんに喜んでもらえます。友達の誕生日(たんじょうび)やお見舞(みま)い用など男女問わず買いに来てくれます。母の日やお母さんの誕生日(たんじょうび)に花を買いに来てくれる子どもさんがいますが,小銭(こぜに)を握(にぎ)りしめて自分が持っているお金と見合わせながら花を探(さが)している姿(すがた)を見ると嬉(うれ)しく思います。西条(さいじょう)市の子供(こども)たちを観察していると大体青っぽい花を好んで買っていきます。面白いですよね(笑)。お客さんの笑顔が見られることが魅力(みりょく)ですね。ペーパーやリボンでラッピングすると花の保護(ほご)になりますし,見た目も華(はな)やかになり,花の色合いが綺麗(きれい)に見えるようになります。いつも花が美しく見えるように考えています。
仕事をする上で,人との触(ふ)れ合いを大事にしています。売ることは大切ですが,まずお客さんとのコミュニケーションを取れるように心がけています。気軽にお店に立ち寄(よ)ってもらえると嬉(うれ)しいです。そのためにも謙虚(けんきょ)に接(せっ)するようにしています。花は色合いや組み合わせで雰囲気(ふんいき)が変わるので,目的や場所によって花を選ぶようにしています。会議などであれば,赤など奇抜(きばつ)な色は避(さ)けてピンクやオレンジや黄色など柔(やわ)らかい色を選びます。クラシック音楽が花のために良いと聞いてお店でもかけていますが,私(わたし)もゆったりとした気持ちになり落ち着きます。
高校卒業後は,別の会社で働いていましたが,19歳(さい)で花屋になりました。小さい時は,「花が好き」とは思いませんでしたが,花屋になって何年か経(た)ってから花が好きになりました。学生の時,年末に実家のお店の手伝いをしていて,お客さんと話をするのが楽しかったですね。最近,男性(だんせい)の花屋さんも増(ふ)えてきました。生け花を勉強するために3年間(週に1回)教室に通いました。同じ花でも産地によって日持ちなどが違(ちが)います。ちなみに私(わたし)は桜(さくら)の花がとても好きです。新種の花がたくさん出ているので,雑誌(ざっし)や本を見て勉強しています。今まで,葬儀(そうぎ)が主な仕事だったので,これからは結婚式(けっこんしき)の仕事をたくさんしていきたいと思います。
子どもの頃(ころ)は,とにかく遊んでいる時が楽しかったです。友達がたくさんいたので学校に行くことも楽しみでした。でも,先生によく怒(おこ)られていましたね(笑)。みんなでソフトボールをしたり,川が近かったので川辺にあるグラウンドで野球をしたり,夏は川で泳いでいました。家の中で遊ぶことは少なく,外で体を動かすことが好きでした。子どもの頃(ころ)は祖父(そふ)にアナウンサーを勧(すす)められていたので,アナウンサーになりたかったですね。
時間は絶対(ぜったい)に巻(ま)き戻(もど)すことができません。私自身(わたしじしん),どんな時でも自分らしさを持って生活していこうと思っているので,皆(みな)さんにも「自分らしさ」を持って生活して欲(ほ)しいです。個性(こせい)を伸(の)ばしてください。新しいことをすることは難(むずか)しいですが,新しいことをすれば,今まで気付かなかった可能(かのう)性(せい)に気付くこともできます。今できることをしっかりやってもらいたいです。そして,ルールを守って色々(いろいろ)なことに挑戦(ちょうせん)してください。