仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1988年 生まれ 出身地 東京都
榎本えのもと 竹蔵たけぞう
子供の頃の夢: 旅人
クラブ活動(中学校): 卓球部
仕事内容
物流に関わる課題をかいけつする。
自己紹介
こうしんは強く,気になる場所や行ってみたいところにはいても立ってもいられずじっさいに足を運びます。食事や人に会うことも好きですので,すぐに行動するのが休日のモットーです。
出身高校

※このページに書いてある内容は取材日(2017年06月07日)時点のものです

日本でしゅっぱんされる数多くのしょせきざっの流通を組み立てる

日本で出版される数多くの書籍・雑誌の流通を組み立てる

わたしはトーハンというしゅっぱんそうごう商社にきんしている会社員です。トーハンは,本やざっを作るしゅっぱんしゃと書店・コンビニエンスストアなどの小売店をつなぎ,流通ネットワークをこうちくしているしゅっぱん業界のそうごう商社です。実はみなさんが本屋さんで手に取っている本やざっは,わたしたちのようなおろしうりの会社が間に入り,とどけられた商品なのです。げんざい日本には,約3,500社のしゅっぱんしゃと約13,500社の書店,約55,000店のコンビニエンスストアがあり,トーハンをふくむ21社のしゅっぱんはんばい会社でつないでいます。
日本で年間にしゅっぱんされるしんかんの点数は約8万点,ざっは約数億さつあり,毎日さまざまなしょせきざっがトーハンにとどきます。その中でわたしは,物流のたんとうをしていて,しょせきざっを仕入れ,書店やコンビニエンスストアに仕分けててんとどけるという作業の計画を立てる部門にしょぞくしています。
トーハンには,おけがわSCMセンター,あげセンター,東京ロジスティックスセンター等の6つの物流きょてんがあります。センターの中には,ベルトコンベヤがずらっとならび,書店ごとに「どの本やざっをどのくらい配る」というが出ていて,ちがいがないように仕分けをしています。

思いがけず起こる物流の課題をすみやかにかいけつする

思いがけず起こる物流の課題を速やかに解決する

わたしは東京都しん宿じゅく区にある本社きんで,物流の中でも主にざったんとうです。ざっ物流は,西にしだいあげと3つの作業所があり,なかでもわたしあげセンターでコンビニエンスストアのための物流をたんとうしています。ふだん本社にしゅっきんすることが多いのですが,朝8時ころ出社して,今挙げられている課題をかいぜんするためにデータの集計をしたり,げんたんとうしゃに説明をするためのりょうを作ったりしています。ほんてきに,毎日同じ作業をするルーティーンの仕事ではありませんので,課題が発生したらかいけつしていくという,ある種のじゅうなんせいしゅんぱつりょくが必要な仕事です。そのために,必要があればあげセンターに行き,調ちょうや計画を説明するための打ち合わせを重ねて,げんかいぜんしていくことがわたしやくわりです。特に急ぎの仕事がなければ,18時か19時ころには退たいしゃをしています。

楽しみに待っている読者のために,発売日にざっとどける

楽しみに待っている読者のために,発売日に雑誌を届ける

わたしたちと取り引きがある書店とコンビニエンスストアをふくめると約35,000店にものぼります。毎日多くのしょせきざっにゅうしますので,すぐにお店に向けてしゅっしなければいけません。かなりの量の商品数ですが,ほんてきにはにゅうしたら1日で作業を終えます。わたしたんとうしているあげセンターでは,コンビニエンスストアのベルトコンベヤ作業に200人以上の人がかかわっています。ざっの場合,げっかんだと毎月の1日,20日前後に発売される点数が多くいそがしくなります。また,しゅうかんだと月曜日,水曜日の作業はみつなスケジュールで進められています。その月の1日,20日が月曜,水曜と重なる場合,げんおおいそがしになるわけです。例えば,『しゅうかん少年ジャンプ』は月曜日発売と決まっていて,楽しみに待っている読者が全国にいます。わたしたちはそれに間に合うように,センターから遠くはなれた北海道や九州などのお店から作業を進めて,無事全国でいっせい発売できるように計画しています。

つねに課題がきないしゅっぱん流通は,せんもんせいが高い仕事

常に課題が尽きない出版流通は,専門性が高い仕事

多くのしょせきざっを日々流通させるため,物流の課題はつねに発生します。その中には,きゅうかいけつしなければいけない課題から,げんざい使っているせつが使いづらくなった場合はどのようにするかという長期的な課題までさまざまです。作業こうりつやコスト,せつのメンテナンスなどをそうごうてきに考えて,作業方法を変えるために,げんでテストをすることもあります。シミュレーションでうまくいっても,じっさいげんではなかなか思った通りのことができない場合もあり,課題はきません。げんで作業する人には,長年のしょくにんてきかんを持っている方も多く,新しい方法がなじまない場合もあります。その場合はどうすべきかなやむところです。一方で,おたがいにしきを出し合って考え,課題をかいけつできたときやげんの人たちと分かり合えたときは,仕事のやりがいを感じます。物流はせんもんせいが高く,ベルトコンベヤなどの機器やシステムについてくわしい社員は,社内でも少ないのがとくちょうです。わたしも社内で物流についてしつもんされることが多く,せんもんてきしきを生かせることが仕事のモチベーションにもつながっています。

自分の目でげんを見ることが課題かいけつの近道に

自分の目で現場を見ることが課題解決の近道に

しゅっぱん物流についてはまだまだ勉強をしている最中ですが,食品の物流を見る機会があり,多くの気づきや発見を得ることができました。食品物流ならではのふうを今の仕事に役立てられるのではないか,と考えると気持ちががりました。やはりわたしの仕事において大切なのは,物流のげんです。じっさいに自分の目でげんかくにんすることを大切にしています。げんちょくせつ足を運び,じっさいたんとうしている方たちと話すことは,課題かいけつの近道だと思っています。自分の目で見てにんしきすることで,頭の中で考えていたときとはちがう課題かいけつ方法を見つけ,新たな発見をすることがあります。また,作業方法をより良くしたりへんこうしたりする場合は,げんじょうきょうせいかくあくした上で,へんこうあんを作ることが大切です。ちょくせつげんの方々と顔を合わせることで,しんらい関係をきずいていけると思っています。

大学3年生の時のぐうぜんの出会いが今につながっている

大学3年生の時の偶然の出会いが今につながっている

しゅうしょく活動をしていた大学3年生のころは,せんもん商社にしゅうしょくしたいと考えていました。トーハンと出会ったのは,商社について調べているときにぐうぜん見つけてきょうを持ったからです。そのころは,そもそもどういう仕事がしたいということもなく,入社試験を受けたのですが,さいようたんとうしゃの方がいろいろ話を聞いてくれて,こういう人たちといっしょに仕事をしたい,と思ったのがきっかけです。入社をしたら,えいぎょうたんとうになるのかなと思っていましたので,物流をたんとうすることになりおどろきました。今,入社6年目になりますが,6年間ずっと物流にたずさわっています。最初の2年半はおけがわセンターでしょせきの物流,その後1年間はざっの返品作業,そしてげんざいしょどうになり,ざっの送品作業をたんとうして1年半がたちました。はじめは何もしきがなく,まさに一から学び,もがきながらいろいろ教えてもらって,仕事を学んでいるところです。しょせきざっの両方の流れがだいぶ分かってきたという感じですが,物流の仕事はおくが深く,もっとたくさんのことを学び,より良い物流をこうちくしていきたいです。

本を読むのが苦手だったからこそ,おもしろさに気づけた

本を読むのが苦手だったからこそ,おもしろさに気づけた

実は子どものころは,本を読むのが苦手だったというおくがあります。特に,読書感想文は大の苦手でした。「エルマーと16ぴきのりゅう」(福音館書店)も読むことができなくて,必死で16ひきのりゅうの名前を書いたことを覚えています。読書が好きになったのは中学生のころ。朝の10分間読書で,たまたまおもしろい本を見つけて,そこから本を読むようになりました。とにかくゲームが好きな子どもで,放課後は部活のたっきゅうみ,家に帰ったらゲームをするという毎日。勉強は得意ではありませんでしたが,社会が好きで特に日本史にはきょうを持っていましたね。昔からもんを持ったら,とことん調べることが好きで,それは今の仕事にも役立っていると思います。

好きなことを見つけて,早いうちにしょうらいを考えてほしい!

好きなことを見つけて,早いうちに将来を考えてほしい!

わたし自身,子どものころからやりたいことを見つけたり,熱中したりすることが苦手でした。でも,だれでも自分が好きなものや大切にしたいものは何かしら持っていると思います。そういうものをすぐに見つけてしまう人もいれば,わたしのようになかなか気づくことができない人もいるのではないでしょうか。一度立ち止まって,今,好きなものは何だろうとか,やりたいことは何だろうと考えてみてください。それは,大人になっても変わらずに,ずっと自分の人生についてまわるものです。わたしももう少し早いうちに,自分のしょうらいのことを考えておけばよかったと思うことがあります。自分のやりたいことやしょうらいについてしんけんに考える時間を少しでも持つと,しょうらいせんたくが大きく広がると思います。

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私のおすすめ本

小路幸也
『東京バンドワゴン』シリーズでお馴染みの小路幸也さんの名作。生きていると,時には自分ではどうすることもできなかったり,突然何かを背負って生きなければならないことが起きたりすることもあると思います。そんな時にみなさんならどうしますか? この小説には2人の小学生と2人の大人が登場します。4人がそれぞれ向き合っていかなければならない現実を前に,何を思い,どう行動するのか。4人の「思い」を是非見届けてください。私はこの本を読み返す度に,こういう大人でありたいなと常々思います。
宮下奈都
『羊と鋼の森』で2016年本屋大賞に輝いた宮下奈都さんのエッセイ。5人家族の宮下家が北海道トムラウシで過ごした1年間の記録が宮下さんのまっすぐな言葉で綴られています。宮下さんの紡ぐ物語には様々な人の「日常」が描かれていて,そのそれぞれが特別で,大切な,かけがえのないものだというメッセージが込められています。そんな誰よりも「日常」を描くことを大切にしている宮下さん自身の1年間の「特別な日常」を感じてみてください。

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株式会社トーハン
取材・原稿作成:東京書籍株式会社