仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1977年 生まれ 出身地 東京都
栗田くりた 美穂みほ
子供の頃の夢: トリマー
クラブ活動(中学校): バドミントン部
仕事内容
愛犬にたんが少ないトリミングを行う。
自己紹介
周りからは、よく天然と言われます。トリミングの仕事が好きなのはもちろん、仕事をしていないと落ち着かないせいかくあいまって、休日も仕事をすることが多いです。
出身大学・専門学校
メジログルーミングスクール

※このページに書いてある内容は取材日(2025年09月18日)時点のものです

愛犬をあずかり、美と健康をたも

愛犬を預かり、美と健康を保つ

わたしは、東京都足立あだちで「Trimming room Laugh(トリミングルームラフ)」というトリミングサロンをけいえいしながら、トリマーとして働いています。トリマーの役目は、お客さまからおあずかりした犬の毛やつめのカットやシャンプー、ブラッシングを行い、見た目を美しく整え、犬の美と健康をたもつことです。お客さまは、月に1回や2か月に1回など来店ひんはさまざまですが、愛犬のケアのために定期的にサロンに通ってくださいます。その、犬とのしんらい関係をきずきながら、せきにんを持ってトリミングを行っています。
もともとわたしはトリマーとしてペットショップで働いていたのですが、トリミングによって体調をくずすリスクのある老犬や病気のある犬は引き受けることができないケースが多く、もどかしい思いをしていました。そのけいけんから、より多くの犬を受け入れ、さいまでケアしたいと考え、トリミングサロンの立ち上げを決めました。
起業を決意してからすぐにじゅんを進めて、1年半ほどで開業することができました。最初は老犬や病気の犬のたんを少しでもけいげんしたいと、”どうがたトリミングカー“でえいぎょうをしていました。車でお客さまのごたくまで出向いて、車内でトリミングを行う形です。その後、お客さまからの要望もあって1年後にはてんもオープンし、どうがたてん、それぞれ半々のわりあいで活動しています。
げんざい、トリマーはわたしだけですが、むすめが社会人になったタイミングから、お金の管理や予約管理などトリミング以外のてきぎょうむすめたんとうしてもらい、にんさんきゃくでサロンをうんえいしています。むすめふくしょくせんもん学校に通っていたこともあり、ゆくゆくは事業をかくだいして、犬用の洋服やスタイのはんばいなどもしていきたいと考えています。

より多くの犬をケアするために

より多くの犬をケアするために

わたしは朝9時から仕事を始めています。1頭あたりにかかるトリミングの時間はシャンプーと全体カットを入れて2時間ほどです。犬のサイズやみのじょうたいによってはそれ以上かかることもあります。お客さまのご要望に合わせて、どうがたトリミングカーでのトリミングとてんでのトリミングを行っていますが、へいきんすると1日で5、6頭の犬をケアしています。お客さまの中には当店をしんらいして遠くにした後も予約を入れてくださる方もいて、どうがたトリミングカーで約15キロけんないまではうかがっています。
てんではトリミングだけでなく、ペットホテルのサービスも行っています。宿しゅくはくだけでなく数時間のおあずかりものうで、散歩に連れて行くサービスもていきょうしています。ペットホテルの予約が入っている日は、サロンにまり、朝まで犬を見守ります。
トリミングの仕事が好きで、より多くの犬にたいおうしたいという思いから、ついぼっとうしてしまい、20時や21時ごろまで仕事をする日も多くあります。はんぼうは、本来の長さよりも毛を短くするサマーカットが必要な夏と、お祝い事などが多いお正月です。加えて、わたしけいえいしゃでもあるため、12月の決算期もいそがしくなります。

「犬ファースト」で、たんの少ないトリミングを

「犬ファースト」で、負担の少ないトリミングを

わたしがトリミングサロンをけいえいするうえで大切にしていることは、「犬が安心してごすことができ、お客さまは安心してあずけられる場所」をつくることです。ペットホテルやサロンによっては、夜になるとスタッフが帰ってしまい、夜間は犬だけになってしまうこともあります。当店では夜間もスタッフがじょうちゅうし、犬だけにさせないようにしています。また、できるだけ家と同じかんきょうでストレスなくごしてもらいたいと考えているので、のびのびとごせるように、ケージを開放するなどのふうもしています。
トリマーとしてじゅつをするさいには「犬ファースト」をてっていしています。長時間のトリミングは犬にたんがかかりますし、犬の集中力も長くは続きません。そのため、できるだけぎわよく、スムーズに終えられるように心がけています。また、うことが好きな犬以外には、自分の「かわいい」という気持ちだけで必要以上にさわったり、しつこくかまったりはしません。それぞれの犬のとくせいや体調を見ながらじゅつを行い、犬にとって少しでもサロンが楽しい場所だと思ってもらえるように、日々気をつけながらトリミングをしています。

犬のたんけいげんを考えつつ、お客さまのご要望にもこたえたい

犬の負担軽減を考えつつ、お客さまのご要望にも応えたい

「犬ファースト」であることはもちろんですが、ぬしであるお客さまのご要望にもきちんとおこたえしたいと考えています。ときには、老犬や病気のある犬のトリミングを希望されるお客さまに対して、「犬へのたんを考えると、このままたいおうしてよいのだろうか」と思うこともあります。お客さまは「愛犬をきれいにかわいくしてあげたい」という思いからなのですが、犬にとって長時間のトリミングなどはたんになってしまいます。そうしたときはお客さまとのコミュニケーションを通じて、犬へのたんが少ないじゅつていあんし、ごかいいただくようにしています。
また、犬どうせっしょくにも気をつけなければいけません。たいかくちがう犬どうだと、たいかくにおびえてしまい、トラウマになってしまうケースも少なくないので、予約がかぶらないよう細心の注意をはらっています。
また、げんざいトリマーはわたし1人だけなので、犬を受け入れられる数にかぎりがあり、どうにか受け入れられる数をやせないかとさくしています。けいえいしゃとしては、しょうらいてきかくだいしたり、てんやしたりしたいとも考えるのですが、わたし自身トリマーの仕事が好きで、げんで働いていたい気持ちも強いので、日々なやみ、かっとうしています。

犬の変化とお客さまからのかんしゃの声が活力に

犬の変化とお客さまからの感謝の声が活力に

苦労や課題もありつつ、おあずかりした犬たちが心を開いてくれるようになったときや、お客さまからの「助かりました」というお声をいただいたときには大きなやりがいを感じます。
家では元気いっぱいに走り回ったり、はしゃいだりする犬も、当店でのトリミングのさいにはおとなしくおうとがんってくれます。また、かみつきやすいせいかくの犬に対しては、固定の仕方やじゅつの流れを変えると、落ち着いてトリミングをさせてくれるようになります。このような姿すがたを見ると、「心をゆるしてくれているのだな」とうれしく思います。お客さまの中には、「ここのサロンだと愛犬も安心している」という理由で、リピートを決めてくださる方もいます。犬たちのがんりのもと、日々のお手入れを続けることができていると実感しつつ、うちのサロンに通い始める前よりもわかわかしく、きれいになった犬の姿すがたを見ると、改めてケアの大切さにも気づくことができます。
また、どうがたトリミングカーの場合は、ぬしの方から、「どうがたトリミングカーが来てくれることで、サロンにあずけてトリミング後にむかえに行くという労力や、どうによる愛犬のたんけいげんされている」というかんしゃのお声をいただけることもはげみになっています。犬と日々うことでやされながら働くことができるのも、この仕事のりょくです。

子どものころから変わらない、行動力とけいぞくりょく

子どものころから変わらない、行動力と継続力

わたしは、おさないころから何でも自分で決めてそく行動するタイプでした。何を言われてもあきらめきれないせいかくということもあり、自分でけつだんすることが多かったです。
また、学校には1日も休まずに通い、放課後はいつも友達と外で走り回っているような活発な子どもでした。部活動でも運動部にしょぞくし、小学校から高校までバドミントンひとすじでした。今もついつい仕事にぼっとうしてしまうのですが、当時もレギュラー入りや都大会出場という目標に向かってんでいたので、昔から変わっていないかもしれません。
そして何より、とにかく動物が好きな子どもでした。家では動物をうことができなかったので、近所の犬やねこの愛犬といつもっていたことを覚えています。物心ついたときにはすでに動物が好きだったようで、ようしょうの写真は犬をっこして写っているものばかりです。

愛犬や家族のそんざいが、この仕事を目指すきっかけに

愛犬や家族の存在が、この仕事を目指すきっかけに

外に出たら近所の犬やねこうなど、動物といる時間が多かったようしょうごしたこともあり、気づいたときには、動物関係の仕事にきょうを持っていました。トリマーという仕事を選んだ理由も、動物が好きで、動物に関係する仕事にきたいという思いからです。
一人らしをして自分で犬をはじめたこともきっかけになりました。愛犬をむかれた当初は、自分でカットするじゅつがなく、トリミングサロンにお願いしていたのですが、知らない場所でカットされる愛犬のたんやわらげたいと考え、トリマーを目指すことにしました。
おさないころからいっしょに動物をかわいがっていた妹のえいきょうも大きいかもしれません。実は妹のほうが先に犬に関わる仕事にき、好きなことを仕事にする姿すがたげきを受けました。妹はげんざい、ドッグトレーナーの仕事をしていますが、おたがいにせったくし、それぞれのしきを共有し合いながら、よき相談相手にもなっています。

必要なのは動物が好きな気持ち

必要なのは動物が好きな気持ち

トリマーになるためにかくひっではありませんが、しきじゅつは必要です。トリマーとして働くための方法は、いくつかあります。まず一番多いのが、トリマーの養成スクールやせんもん学校に通い、しきじゅつを身につけるパターン。次に、かくしゅとくするパターンです。トリマーに関するかくはいくつかありますが、国家かくではなく、いずれも民間だんたいによるものです。わたしは「JKCこうにんトリマーライセンス」というかくしゅとくしました。通信こうしゅとくできるかくもあり、子育てが落ち着いた方や別のキャリアからてんしょくする方は、この方法でかくしゅとくするケースが多くなっています。さらに、ペットショップやペットサロンなどで働きながら、せんぱいのトリマーからじゅつを教わるパターンもあります。この場合は、見習いから始めて、実地で働きながらトリマーとしての力をつけていきます。
どの場合もトリマーとしてデビューするまでにけいけんを積む必要があります。げんかつやくできるようになるまでに時間もかかり大変な仕事ですが、動物が好きな気持ちがあれば、なんさいからでもちょうせんすることができます。

大切なのは、「好き」なことを続けること

大切なのは、「好き」なことを続けること

みなさんにお伝えしたいのは、本当に好きなことが見つかったら、それを続けてみてほしいということです。わたしおさないころから動物が好きで、動物に関わる仕事にきたいとゆめていました。実は、ゆめをかなえるためにトリマーのせんもん学校に通ったものの、一度せつしてしまったけいけんもあります。でも、ゆめあきらめきれず、ペットショップで働きながらトリマーのかくしゅとくしました。みなさんの中にも何かを目指してちゅうせつしたり、気持ちが変わってしまったりする人もいるかもしれません。しかし、好きなことを続けていればきっと、やりたい仕事につながると信じています。
そもそも、好きなことを見つけるのがむずかしいという人もいるかと思います。そんなときは、外に出ていろいろなけいけんをしてほしいです。インターネットでなんでも調べられる時代ですが、けいけんこそが自分の「好き」をさがす一番の近道だと思っています。そして、ちょっとでも好きだと思ったことやきょうを持ったことは、ふかりしてみてください。好きという気持ちは、必ず未来への道につながっていくはずです。

もっと知りたいこの仕事人

取材・原稿作成:楳園 麻美(Playce)・岡﨑 量子(Playce)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫