仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

富山県に関連のある仕事人
1978年 生まれ 出身地 富山県
松野まつの みどりみどり
子供の頃の夢: 医師
クラブ活動(中学校): 吹奏楽部
仕事内容
かんじゃさんの”できる”をやすため,生活リハビリを行う。
自己紹介
ちょうせんすることが好きな一方,しんちょうなところがあります。どちらかといえばおんこうせいかくです。休日はえいを見たり,読書をしたりしてごすことが多いです。仲間とカラオケに行ったり,ボウリングをしたりしてストレスを発散することもあります。

※このページに書いてある内容は取材日(2018年08月30日)時点のものです

かいふくちゅうかんじゃさんのお手伝いをする

回復途中の患者さんのお手伝いをする

わたしが今働いているのは,かいふくのリハビリテーションびょうとうです。たとえば,のうしゅっけつのうそっちゅう,大きなケガをされて救急車で別の病院に運ばれた方などが,かいふくしてきたらこちらに転院してリハビリを行います。もちろん,最初に運ばれた先の病院でもリハビリはするのですが,さらに続けて行うために,こちらに入院されるんです。入院かんじゃさんのびょうとうのほかにも,たくから通ってリハビリをする方のためのびょうとうもあります。
わたしは,かんじゃさんが食事やお,トイレをうまくできるようにお手伝いやどうをしています。退たいいんしておうちに帰ったときに必要になる動作や動き方がありますよね。たとえば食事をするときは,食べ物を口元に持っていって,口に入れて,んで,飲みこんでという動きが必要になります。また,一番大きいのがトイレの問題ですね。どの方も,トイレにだけは自分で行きたいとおっしゃいます。かんじゃさんがご自身でできることをなるべくやすために,お手伝いやどうをするのです。

退たいいんされるときのかんじゃさんのひょうじょうがうれしい

退院されるときの患者さんの表情がうれしい

以前,わかい方で,こちらに入院したときには,ほぼたきりのじょうたいで,ぼうこうにちょくせつ管を入れてふくろはい尿にょうするといったじょうたいの方がいらっしゃいました。その方はとにかく食べることが好きな方だったのですが,食事を飲みこむとはいえんを起こしたり,まったりしてしまうかもしれないということで,そのときは管で栄養をとっていました。しかし退たいいんのときには,自分でごはんを食べて,多少お手伝いは必要ですが,自分の力でトイレに行けるようになっていたんです。くるますわってご家族とお話をしたり,おのときは,鏡を見ながら,自分でひげをれるようになったりといった変化を見ると,かいふくのお手伝いができたと思います。周りのしょくいんとうまく協力ができたというのもうれしいですし,何よりもかんじゃさんご自身やご家族が,泣いて喜んでいらっしゃるんです。悲しいなみだではなく,うれしくて泣いている。そういう姿すがたを見ると,この仕事をやっていてよかったなと思いますね。

毎日リハビリを続ける中で,大変なこと

毎日リハビリを続ける中で,大変なこと

この仕事では,早番,おそばんにっきんきんと起きる時間がバラバラで,る時間も早くなったりおそくなったりと,すいみん時間がそくになってしまうことは大変ですね。またこの病院は,365日,休みなく毎日リハビリがあります。入院期間が長くなってくると,それがつらいとおっしゃる方もいらっしゃいます。かんじゃさんの気持ちの変化にも波があって,すごくやる気があってがんばれる時期もあれば,気持ちが落ちてしまって,「リハビリをしても前のようにはできないから,もういい」とおっしゃるときもあります。そういうときに軽々しくかんじゃさんに「リハビリをすればできる」とは言えなくて,ただ,かんじゃさんのお話を聞くことしかできないときもあります。そんなときは,やっぱりつらいなと思いますね。

「ありがとう」と言われる仕事

「ありがとう」と言われる仕事

たとえばどこかで買い物をしたときに,「ありがとう」というのは店員さんのほうですが,かいの仕事は,こちらが仕事をして,「ありがとう」と言ってもらえる仕事なんですね。そんな仕事はかぎられていると思うので,そこはりょくだと思います。自分がだれかの役に立っている,何かできているというごたえを感じることができる仕事です。
かんじゃさんにとっては,ここが人生の分かれ目というか,リハビリがうまくいっておうちに帰れるかどうかのぶんてんなんですね。わたしたちがそこをわすれてしまうと,おうちに帰れたはずの方も帰れなくなってしまう。せきにん重大ですが,よく言えば,だれかの人生にそこまで関われる仕事は,なかなかないと思うのです。だからこそ,そこを大事にしないといけないと思って日々がんばっています。
かんじゃさんにせっするときは,かんじゃさん一人一人,思っていることも感じ方もちがうので,あくまでもじんじんとして関わっているということをわすれないようにしています。ときには,その方にとってちょっときついかなということを,あえて言うこともあります。この人にはなかすようなことを言ったほうがいいなとか,今はこの人のお話を聞く時期だなとか,その方にあった声のかけ方やお手伝いの仕方をするようにしています。

のために何もできないくやしさからかいの道へ

祖父のために何もできない悔しさから介護の道へ

わたしはずっと,いっしょらしていました。が病気になってたおれてしまい,そのときに,自分には何もできなくてすごくくやしかったという思い出があります。その思いをかかえたまま,自分にも何かできないかと,かいの道に入りました。からしっかり学びたいと思ってせんもん学校に入学し,そこは卒業と同時にかくを取れる学校だったので,そのままかいふくとして働き始めました。今の病院には,せんもん学校時代に実習で来たことがあり,そのときからここで働きたいと思っていて,しゅうしょく試験を受けたんです。

中学生のころの毎日のごしかたが,今の仕事につながっている

中学生のころの毎日の過ごし方が,今の仕事につながっている

中学生のころは,音楽が好きですいそうがくに入っていました。他にもサッカーをしたり,読書をしたり,いろいろなことにきょうを持って,自分の好きなことをさがしているような日々でした。多感で,いろいろなことが気になってしまう中学生でしたが,そんな中学生のころのごしかたが,今の仕事にも生きているなと思います。
かいの仕事は,細かいことの気づきの連続です。かんじゃさんの気持ちの変化や,できるようになったことなど,ちょっとしたことに気づけるかどうかが,すごく大切になってきます。中学生のころは,クラスの友人同士のしんみつさの変化や,自分のしんきょうの変化など,わずかな差ですが,昨日はすごく楽しかったけど,今日は楽しくないのはなぜだろう,といったことを毎日考えながらごしていました。いろいろなことについて,ちょっとした楽しさや,細かいところを気にするような生活を送っていたのが,今の仕事にとってはよかったかなと思います。

今までしてきてもらったことをお返しできる仕事

今までしてきてもらったことをお返しできる仕事

かいの仕事は大変そうだとよく言われます。わたしも,ともだちから「大変じゃない?」と言われています。たしかに大変なこともあるのですが,それ以上に,楽しいことやうれしいことがあって,そして何より自分自身が成長できる仕事だと思うのです。みなさんも生まれてから,育ててもらってきた中で,多分周りの人からさまざまなお手伝いをしてもらってきたかと思います。かいは,いろいろできなくなってしまった方に,それをぎゃくにお返しできる仕事だと思っています。イメージにとらわれず,少し前向きに,かいってなんだろうと考えてもらえたらうれしいですね。
わたし自身は,かいの仕事のかっこよさを少しでも伝えられたらと思っています。外部の方だけではなく,いっしょに仕事をしているスタッフにも,かいってこんなにすごいところがあるんだよ,ということを知ってもらいたいという気持ちで毎日働いています。

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社