仕事人

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神奈川県に関連のある仕事人
1984年 生まれ 出身地 神奈川県
松谷まつたに あつし
子供の頃の夢: プロ野球選手
クラブ活動(中学校): 野球部
仕事内容
電車の運転やりょかく案内をする。
自己紹介
明るく社交的なせいかくです。休日はスポーツ観戦や旅行に出かけて,ご当地グルメやお酒を楽しんでいます。
出身高校
神奈川県立六ツ川高等学校

※このページに書いてある内容は取材日(2020年09月28日)時点のものです

1日に,5〜10本の電車を運転する

1日に,5〜10本の電車を運転する

わたしは電車のうんてんです。とうきょうの都心からはね空港・よこはまうらさきぐちをつなぐ「けいひん急行電鉄」(以下,けいきゅう)につとめています。
どの駅にしゅっきんするかはうんてんごとに決まっており,わたしの場合はよこはまかなざわにあるかなざわぶん駅をきょてんとしています。しゅっきん時間やきん時間は日ごとに変わり,まりきんで夜と早朝の電車にじょうするきんも週に1〜2回あります。また,休日は週に2日です。きんの日は,その日,最初に運転する電車の発車こくよりも,50分ほど早めにしゅっきんするようにしています。
しゅっきん後,まずはせいふくえ,お酒が体に残っていないかを調べるアルコールけんを受けます。次に,かいちゅう時計のはりほうに合わせます。秒単位で行動するうんてんにとって,せいかくな時計はひつじゅひんです。さらに,その日のしょうじょうほうなどをかくにんし,助役(駅長代理)の前で心身のじょうたいほうこくします。安全第一のため,もしも不調がある場合は無理をせず正直にしんこくします。問題なければ,いよいよ出発です。
うんてんは,1日に5〜10本の電車を運転します。ほんてきには,始発駅から終着駅まで通して運転することはなく,ちゅうの駅で他のうんてんに交代します。例えば,しながわ駅発,さきぐち駅行きのかいとくが5つめのていしゃえきであるかなざわぶん駅に着いたら,かなざわぶんで待機していたわたしが,そこまで運転してきたうんてんに変わってみ,あとは終点のさきぐち駅までわたしが運転します。わたしさきぐち駅できゅうけいをとったあと,また別の電車を運転する……,といった具合です。つう列車をはじめ,かいとくや特急など,さまざまな種別の電車を,その日のじょう予定にしたがって運転します。きゅうけいや昼食は,一回のじょうが終わって,次の電車にじょうするまでの空き時間に,駅にあるじょういんひかしつなどでとります。きんの場合は,他の駅でみんをとり,よくあさきんそなえる日もあります。

ハンドルをにぎっている間はいっしゅんたりとも気をけない

ハンドルを握っている間は一瞬たりとも気を抜けない

うんてんは,こくひょう通りに電車を運転しなければなりません。そのためうんてんの頭には,各区間ごとの最高速度や,路線のどこにカーブがあってどこでげんそくすべきかなど,路線に関するあらゆるじょうほうたたまれています。これをまえて,「この先にカーブがあるから,そろそろげんそくしよう」,「ここから加速して,あの地点で最高速度に達しよう」といったように,げんそくのタイミングや速度を計算して運転を行っています。天候,時間帯,運転する電車の種別によってもちがってくるので,毎回,きんちょう感を持って運転しています。
最近の電車では,主にTがたのハンドル1本でそうします。手前に引くと加速し,前方にたおすとブレーキがかかるタイプが主流です。ハンドルをにぎっている走行中は,いっしゅんたりとも気をけません。ていしゃえきの少ないかいとくなどは,走行している時間が長いので,きんちょうが続きます。かいとくつう待ちなどでていしゃ時間も多いつう列車を運転するときは,すこし楽な気持ちになります。
人間ですから,運転中にざつねんが生じそうになることもあります。そういうときはきゅうけい時間やていしゃ中にざつねんをしっかりと頭から追い出し,気持ちをえて運転に集中するようにしています。ラッシュ時は,多いときで12両へんせいに千人以上のお客さまを乗せて走行しているので,命をあずかっているせきにんの重さを強く感じます。いついかなるときもを起こさないよう,安心・安全・かいてきを心がけて運転しています。

車両によってことなるブレーキの感覚

車両によって異なるブレーキの感覚

運転していてむずかしいと感じるのは,ブレーキそうです。京急では,えい地下鉄などの他社線とそう乗り入れを行っているため,全部で4つの鉄道会社がゆうする車両を運転しなければなりません。他社線の車両も,京急の区間では京急のうんてんが運転します。ほんてきそう方法にさほどちがいはありませんが,自動車や自転車と同様に,車両によってブレーキのかたせいがあるのです。そのため,電車にじょうするたびに,一つ目の駅にていしゃするさいに「この車両は,これくらいのき具合だな」と,ブレーキの感覚をたしかめるようにしています。
たとえ同じ形式の車両だとしても,走行きょや使用年数によって,車両のじょうたいはさまざまです。また天候のえいきょうも大きく,うんてんにとってブレーキそうえいえんの課題です。特に雨や雪の日はブレーキのきが悪くなるため,いっそう注意深く運転しています。いつも晴れていてくれればいいのですが,そうもいきません。うんてんになってからは,天気ほうをよくチェックするようになりました。

ヒーロー気分を味わえることも

ヒーロー気分を味わえることも

沿えんせんや駅で,小さなお子さんに手をってもらえることがあり,そんなときはヒーローになった気分です。いつの時代も電車のうんてんは,子どもたちにとってあこがれのそんざいですよね。またホームなどで,お客さまから「今日の運転はかいてきでよかったです」と声をかけていただけることもあります。うんてんはお客さまとちょくせつコミュニケーションをわす機会が少ないため,そんなときはとてもうれしく感じます。
運転席からは季節ごとに変わる景色を楽しめます。うら半島のせんたんに近い場所まで来ると,晴れた日には海やさんがよく見えます。運転中はつねに気がっているものの,そうした美しい景色が目にんでくると,わくわくするような気持ちになります。

しょうからマンツーマンでどうを受ける

師匠からマンツーマンで指導を受ける

わたしが生まれる前,父は京急のうんてんをしていました。そのえんもあって,高校を卒業する時期に父から「この会社を受けてみたらどうか」とすすめられ,わたしも京急で働くことになりました。そのとき初めて「入社したからには,花形であるうんてんを目指そう」と考えるようになったのです。
入社して1年目は駅でのぎょうを,2〜3年目はしゃしょうつとめました。そして入社4年目に,いよいようんてんになるためのけんしゅう期間に入ることができました。4か月の学科こうしゅうに始まり,筆記試験,6か月ののうこうしゅうと続きます。けんしゅう期間に入ってから,うんてんとしてひとちするまでには,最短でも10か月はかかります。
のうこうしゅうの期間は,どうやくせんぱいうんてんからマンツーマンでどうを受けます。京急では,どうやくのことを「しょう」,教わるほうを「」とんでいます。しょうの運転する車両に同乗し,運転のノウハウを教わります。ちゅうからは,しょうどうを受けながら,自らハンドルをにぎり,実地に運転を学びます。初めてハンドルをにぎったときは,しょうに手をえてもらいました。こうしてしょうに見守られながら時間をかけて運転じゅつみがき,試験官が同乗して行うのう試験にごうかくすれば,晴れてうんてんとしてデビューできるのです。わたしはいま,うんてんとして14年目。そろそろベテランのいきに入ってきたと感じています。

てい関係のつながりは家族のよう

師弟関係のつながりは家族のよう

仕事をするうえで,いちばん大切にしていることは健康管理です。季節を問わず,うがい,あらいは欠かしません。また,時間のそくきんだからこそ,しっかりとるようにしています。そのおかげで,これまでぼうしたことは一度もありません。
また,しょくの仲間とのコミュニケーションも大切にしています。うんてんの仕事はほんてきに一人で行いますが,一人のうんてんがすべての電車を運転できるわけではありません。仲間の力を合わせることで,京急全体が運行できているのです。うんてん間のチームワークをえんかつにするため,しょくきゅうけい時や月に一度のけんしゅううんてんが集まるときには,なるべく他のうんてんと会話をするようにしています。
わたしが新人だったころ,仕事上のなやみや相談ごとを,しょうをはじめとするせんぱいがたに聞いていただきました。いまはわたしも,しょうとなってこうはいうんてんどうする立場にいます。自分のしょうにしていただいたように,の相談には積極的に乗るようにしています。こうしたてい関係のつながりは京急のでんとうとして昔からずっと続いており,しょういっしょに旅行に行くなど,家族のようなつきあいをしています。

子どものころの京急の思い出

子どものころの京急の思い出

小さいころは,電車が大好きな子どもでした。京急沿えんせんに住んでいたため,京急はいちばんなじみ深い電車でした。両親に連れられ,がわけんうらにある水族館「京急あぶらつぼマリンパーク」へ行ったときのことを,今でもよく覚えています。当時,マリンパークのり駅であるさきぐち駅へ向かう,「じょうしまマリンパーク号」という電車が走っていたんです。終着駅で,うんてんさんに電車の正面についていたヘッドマークを外してもらい,ヘッドマークを持ったわたしうんてんさんとでいっしょに写真をってもらった思い出があります。そのころは,まさか自分が京急のうんてんになるとは思っていませんでした。
小学校から中学校にかけては,野球にんでいました。いまも野球が大好きです。よこはま生まれのよこはま育ちなので,もちろんよこはまDeNAベイスターズのファンです。野球をやっていたおかげで,元気な声であいさつができるようになりました。大人になったいま,そのしゅうかんを子どものころに身につけられてよかったと思っています。

気持ちのいいあいさつができる人になろう

気持ちのいい挨拶ができる人になろう

一日はあいさつで始まり,あいさつで終わります。家庭も学校も会社も,みんな同じです。あいさつわすことで,人間関係がよくなり,おたがいに気分よくその日をごすことができます。また相手の声の調子で,体調の変化にも気づくことができます。みなさんも,気持ちのいいあいさつができる人になってください。京急でも,全員がきちんとあいさつわしています。おかげで毎日,気持ちよく仕事に取り組めています。
どんな仕事もそうですが,特に電車のうんてんを目指す人は,健康管理に気を配ってください。多くの人命をあずかる電車のうんてんにとって,何よりもいちばん大切なのは安全運転です。それには心身の健康が欠かせません。みなさんも,はや,早起きをしゅうかんして,生活リズムを整えるようにしてください。また,健康のために体を動かすことも大切です。スポーツ,学校の部活動,外遊びなどで体をきたえるようにしましょう。

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取材・原稿作成:尾関 友詩(ユークラフト)・東京書籍株式会社