仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

大阪府に関連のある仕事人
1992年 生まれ 出身地 大阪府
松山まつやま 森仁もりひと
子供の頃の夢: 獣医師
クラブ活動(中学校): 科学部
仕事内容
好きなロボット開発を通じて、ロボットの社会進出をお手伝いする。
自己紹介
新しいものが好きで、SNSで最新じゅつじょうほうさがしたり、好きなクリエイターの新作を追いかけたりするのが日課です。また、散歩が好きで日本の全ての道を歩きたいと思っています。

※このページに書いてある内容は取材日(2022年11月17日)時点のものです

はばひろい分野のロボットせいさくを手がける

幅広い分野のロボット製作を手がける

わたしつとめている「ヴイストンかぶしきがいしゃ」は、シンプルに言ってしまうと「ロボットを作っている会社」です。ロボットと言ってもはばひろく、例えば人とコミュニケーションをとることを主な目的とした「コミュニケーションロボット」も手がけますし、ロボットを使った研究をしている大学の研究室やぎょうの研究開発部門の方とか、そういった方たち向けにロボットのベースをていきょうしたりもしています。また、お客さまから「こういうロボットがしいです」というオーダーがきたらそれにもとづいてロボットを作ることもあります。最近は小中学校でもプログラミング教育がひっしゅうに入りましたので、先生方に活用していただけるような教材も手がけています。

メインの仕事はソフトウェア開発、それ以外のぎょう

メインの仕事はソフトウェア開発、それ以外の業務も

ヴイストンかぶしきがいしゃは自社開発のりょういきが広く、それぞれの分野でロボットに使うモーター1から、じっさいにそれを使って2足歩行するロボットまで、部品作成、デザイン、電子ばんせっけいなど、全部ふくめて社内でまかなえるたいせいになっているのが強みです。
ロボットをいくつかのようぶんかいすると、モーターやうでけいじょうこうぞうなどのメカの部分、電子ばんの部分、そしてそれらをじっさいに動かすためのソフトウェア、という3つに分類できます。わたしはその中でも、ロボットを動かすためのソフトウェアをたんとうしています。
ヴイストンかぶしきがいしゃは事業が小さい会社なので、社員は14人です。その中でも開発部隊は7人です。そのために、仕事のはんは広く、たんじゅんにプログラムするだけではなく、全体のせいひんかくや、じっさいにお客さまの要望を聞く仕事も行っています。

「心のケア」ロボットのじゅようの高まり

「心のケア」ロボットの需要の高まり

開発しているロボットの中には、こうれいしゃせつで使われるコミュニケーションロボットもあります。こうれいしゃせつでは利用者の方が時間をあましていることが多く、そのときにはコミュニケーションロボットの出番です。コミュニケーションロボットの中には赤ちゃんがたのロボットもあり、ちょっとほったらかされているとだんだんげんが悪くなり、泣いたりぐずったりする音声が流れるんですね。でもこれを「ヨシヨシ」とかまってあげると、げんが良くなって笑い声が流れます。
かいげんで必要なのは「どうあつかわれてもこわれない」ということです。せつ利用者の方がロボットを使おうとしたときにかいの方がずっと見ていないといけなかったりすると、結局、げんが大変になってしまいます。でもこのロボットだったら自由に使ってもらってもけんはないので、かいしゃたんけいげんにもなり、せつ利用者の方のせいしんてきなケアにもなります。このロボットは、今、じっしょう実験を進めているものですが、最近は、このような「人をやす」、「心をサポートする」ロボットのニーズもえています。

うまく動かすために実験をかえ

うまく動かすために実験を繰り返す

一日の仕事の流れは、時期によってやることはバラバラです。メールでお客さまからのお問い合わせが来ることが多いので、大体、朝は問い合わせのメールやていけいさきぎょうの方とやり取りをすることが多いです。日中のメインぎょうはロボットの開発になりますが、これも日によってやっていることはちがいます。パソコンに向かってプログラムしている時間もあれば、ロボットを動かす日もあります。やはりロボットは動かしてみないとうまくいったかどうかわからないうえに、1回動いたからだいじょうということはありません。ちょっとちがう場所に持っていって動かしたら全然ダメで、なぜか時間を置くと動く、ということもよくあるので、時間や場所を変えてかえためしながら、ロボットがきちんと動くか、プログラムのけんしょう作業をかえします。

「ロボカップジュニア」出場からロボットにのめり

今の仕事にいたのは、ぐうぜんようが大きいです。小学校の低学年のころは動物や植物などせいぶつけいのほうにきょうがあったのですが、ある日、大阪の日本橋という電気街にロボットのせんもんてんができたんですね。2005年ごろだったと思います。そこへたまたま父親に連れて行かれたのですが、そこで「ロボカップジュニアという大会があるので出てみないか」とさそわれたんです。「ロボカップジュニア」は、19さい以下の子どもたちをたいしょうとしたロボットコンテストなのですが、さそわれたので出場してみたところ、スルスルとその年の世界大会まで行けてしまいました。そうすると、大会をきっかけに友達が全国にたくさんできて、毎年その大会に出るようになりました。すっかりロボカップとロボット作りにはまってしまい、大学も理工学部の機械科に進み、ずっとロボットを作り続けて今にいたります。

お客さまが使いやすく、のあるロボットをていきょうする

お客さまが使いやすく、価値のあるロボットを提供する

仕事をするうえで一番大切にしているのは、「お客さまにとって一番使いやすく、お客さまにていきょうできるものを」という部分です。ロボットについて、日々いろいろなご相談をいただくのですが、例えば、お客さまが大学の先生であればロボットのことをよくわかっていますし、話もスムーズです。しかし、最近はロボットの活用分野がはばひろくなっているので、「全然ロボットのことはわからないけれどやってみたい」というお客さまも多くなっています。でもそうすると理想とげんじつの差というのが大きいこともあります。そういうときは「お客さまが求めているのはこういうことだと思いますが、でもそれは大変ですよ、うまくいかないですよ」というようなことは、ちゃんとお話しさせていただきます。そしてできるだけ、そのお客さまが最終的に一番を感じていただけるような形に持っていく、ということを心がけています。

日々しきをアップデートしていく大変さ

ヴイストンかぶしきがいしゃではロボットを作る場合に、ほんてきには社内で完結できるたいせいになっています。しかし、プロジェクトによっては他のぎょうにも入ってもらい、ふくすうぎょうで1体のロボットを作るというケースもあります。そういったときにはシステムがふくざつになり、場合によっては自分が全くけいけんのないシステムを組み入れ、組み合わせて使えるようにしなければいけない、というじょうきょうもあります。そういう場合は、じゅつてきなことよりも、他のぎょうとの調整の部分で苦労する、というところが実は多いです。
また、ロボットに関するじゅつは日々新しいものが出てきているりょういきで、特に最近は人工のうからみ、毎日、じょうしきわっているようなじょうきょうです。研究者の方たちはそういったじゅつを研究して発表してひと区切り、というようなじょうきょうですが、わたしたちはそれをじっさいせいひんとしむ作業が必要になる。いつまでも新しいことをどんどん勉強して学んでいかないとついていけないのですが、でもわからないことだらけなんですね。それが大変です。

ロボットせいさくにはさまざまなしきが強みとなる

ロボット製作にはさまざまな知識が強みとなる

今、これを読んでいる人の中でロボット作りにきょうを持っている人がいたら、ロボットという分野でも、そうでない分野でも、はばひろりょういきのものにれてほしいなと思います。かりにロボットというジャンルの中だけでも、さまざまな方向にふかりすることができます。今はインターネットで調べたらたくさんのじょうほうかんたんに手に入る時代ですので、世の中にどんなものがあるんだろう、ということをたくさん知ることは、しょうらいに向けて強みになっていくんじゃないかなと思います。
ロボットというものはおそらく、みなさんが思う以上にはばひろく使われています。見た目もバラバラですし、目的やりょういき、分野によって使われているじゅつや思想も全くちがってくるものなんですね。一見関係ないようなものとも結びついていて、例えば「ロボットとてつがく」という研究をされている大学の先生もいます。じっさいに生きているさいぼうを使ったロボット、いわゆる「生体部品」という分野の研究も進んでいます。人工のうやロボットが小説やえいの題材にもなっています。こんな時代だからこそ、世の中にどんなものがあるかを広くたくさん知ってほしいなと思います。

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取材・原稿作成:リーブルテック/川口有紀(フリート)/東京書籍株式会社