社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!
※このページに書いてある内容は取材日(2006年04月04日)時点のものです
パティシエの仕事は,ケーキ屋さんや,レストラン,結婚(けっこん)式場などで,ケーキやお菓子(かし)をつくることです。私(わたし)も,東京のケーキ屋さんで働いていました。でも今は,いろんなケーキ屋さんやレストランのために,新しいケーキやアイスクリームのメニューを考える仕事をしています。そういうこともパティシエの仕事の1つなんですよ。
私(わたし)が働いていたケーキ屋さんでは,7人くらいのパティシエが一緒(いっしょ)にケーキをつくっています。土曜や日曜日には,私(わたし)のお店と,もうひとつのお店を合わせて全員で30名近くのパティシエが1日に100個(こ)のウエディングケーキをつくっていました。材料の注文だけでもいろいろな種類の材料がたくさんあるので,数人で分担(ぶんたん)して担当(たんとう)するんですよ。パティシエになったばかりの人は,材料を大きな袋(ふくろ)から必要なだけ計って分けるようなカンタンな仕事をします。長く働いていて上手な人は,味つけや,むずかしいかざりつけをします。一番えらい人を「シェフ」といって,どんなケーキをつくるか決めたり,新しいパティシエさんに仕事を教えたりします。みんなで協力してはじめて,おいしいケーキをたくさんつくることができます。
お店があく前にケーキをつくるので,パティシエは,朝7:30とか,いそがしい時には6:00くらいからお店に来ています。早くてビックリしましたか?ビックリといえば,私(わたし)たちが使う小麦粉は,一袋(ひとふくろ)25kgもあります。たまごは,一度に33個(こ)も割(わ)って機械を使ってかきまぜます。ウエディングケーキなどの大きなケーキは,お皿もいれると20kgくらいあるんですよ。お店では,何人分ものケーキやお菓子(かし)を作るから,材料もたくさんあるし,できあがったケーキも大きくて重いのです。
ケーキの中でも一番大きくて,きれいなのが,結婚式(けっこんしき)にかざるウエディングケーキです。パティシエの中でも「つくりたい!」とあこがれる人がたくさんいて,私(わたし)もそうでした。生クリームをぬったり,上にのせる砂糖(さとう)の人形をつくらせてもらえた時は,すごくうれしかったです。どんなケーキにするか,お嫁(よめ)さんたちと何度も話し合ったり,つくるのに1週間くらいかかったりして大変ですが,できあがったケーキを結婚(けっこん)式場に届(とど)けると,みんなとってもよろこんでくれるので,うれしくて,何度でもつくりたいと思います。
ケーキづくりで一番むずかしいと思ったのは,生クリームをしぼったり,ぬったりすることです。すばやくしないと,しぼるときは手のあたたかさでドロドロにとけてしまうし,のばすときは固まってしまいます。だから,お店の仕事がおわったあと,残ったクリームをもらって,四角や丸のはっぽうスチロールにぬって,何回も練習しました。いつかすてきなウエディングケーキをつくるんだと思って,がんばりました。
子供(こども)のころ,母や姉のまねをして,クッキーを焼いたりしたことはありましたが,パティシエになろうと思ったことはありません。それよりも,英語を使う仕事や,図工みたいに何か物を作るような仕事をしたいと思っていたんです。なのに,友達にさそわれて,お料理とお菓子(かし)の専門(せんもん)学校を見に行ってみたら,すごく楽しくて,まよわず入学を決めてしまいました。それがわたしの,パティシエへの第一歩。でも,あとで家族に聞くと,幼稚園(ようちえん)のころは,アイスクリーム屋さんになりたいと言っていたそうです。楽しいと感じた道を選んだら,小さいころの夢(ゆめ)に近づいていたんですよね。びっくりしました。
1年で専門(せんもん)学校を卒業したあと,私(わたし)は,試験を受けて合格(ごうかく)したので10ヶ月間,フランスの学校に行くことにしました。リヨンという町です。実際(じっさい)に,町のケーキ屋さんで働いたりもしました。すごく楽しかったです。フランス語も,生活しながら少しずつおぼえることができました。フランスが日本とちがうのは,ケーキやお菓子(かし)が,特別なおやつではないことです。おいしいのに安くて,いつでもたっぷり食べられます。
もっとおいしいものはないか,どんなケーキをつくったらみんなに喜んでもらえるか,私(わたし)はいつも考えています。フランスで塩味のキャラメルを食べたらおいしかったので,日本でそのアイスクリームをつくったら,たくさんの人がファンになってくれました。とてもうれしかったです。それから,いつか,フランスのリヨンの町を紹介(しょうかい)する本も書きたいと思っています。おいしいケーキ屋さんの場所をたくさん書いて,読む人をワクワクさせたいです。
パティシエの仕事は,朝が早かったり,重いものを持たなければいけなかったり,なかなか上手にできなかったりして,大変です。だけど,おいしいケーキは,みんなを笑顔にできるから,私(わたし)はケーキづくりが大好きです。そして,大好きだから,がんばれるんだと思います。みんなも,自分が一番好きなことを,いつか仕事にして欲(ほ)(しいです。