仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1963年 生まれ 出身地 東京都
小日向こひなた 清隆きよたか
子供の頃の夢: 新聞記者
クラブ活動(中学校): バレーボール部
仕事内容
食品に関わるいろいろな会社の手助け(飲食店や食品工場のえいせいてんけんや食品のけんなど)をする会社のけいえいを行う。
自己紹介
根がなおせいかくだと思います。好きなものは落語をはじめとしたお笑いで、にも行きます。スポーツ観戦も大好きです。西せいライオンズのねっきょうてきファン、プロレスマニアです。げんざいのマイブームは、ぶつぞうはいかんおんせんせんとうめぐりです。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2025年09月03日)時点のものです

しょうしゃのみなさんに日々安心して食事をしていただくための、えんしたの力持ち

消費者のみなさんに日々安心して食事をしていただくための、縁の下の力持ち

わたしは、食品えいせい管理に関わるサービスをていきょうする「BMLフード・サイエンス」という会社で社長をつとめています。会社は、東京都しん宿じゅくにある本社のほか、全国に5つの事業所と4か所のけんセンターがあり、約460名のじゅうぎょういんが働いています。
「食品えいせい管理」は、食品のせいぞうていきょうを行うせつなどで、食品へのぶつこんにゅうしょくちゅうどくなどの食品ふせぐために行うものです。当社は、しょうしゃのみなさんが飲食店で安心して食事をしたり、こうにゅうした食品を安全に食べたりするためになくてはならない、えんしたの力持ちのようなやくわりになっています。
わたしたちがていきょうするサービスは、大きく2つに分けられます。1つ目は、食品えいせいのコンサルティングです。ぎょうやお店の課題に対して、せんもんてきしきじゅつをもとにアドバイスやえんをします。例えば、飲食チェーンの各てんやホテルのちゅうぼう、食品を作っている工場へ行ってえいせいじょうたいてんけんしたり、良好なえいせいじょうたいたもつための方法をていあんしたりします。さまざまな食品にる食品ひょうこうもく(原材料、栄養成分、アレルギー品目など)のかくにんひょうあんの作成もわたしたちの仕事です。
2つ目はけんです。食品そのものや食品をあつかう人がしょくちゅうどくげんいんとなるさいきんやウイルスを持っていないかをけんし、しょくちゅうどくのリスクをらします。また、作られた食品がどれくらいの期間にわたって安心して食べられるかをけんし、しょうげんしょうげんせっていするためのデータとしてお客さまにごほうこくすることもあります。
食品は、食に関わるあらゆるぎょうたいのお客さまにとって大きなリスクになるため、飲食店や食品会社、食事をていきょうするせつえるほど、わたしたちのニーズも高まります。特に近年はお客さまも順調にえていて、げんざいは3,000社以上のお客さまと取引をしています。

じゅうぎょういんみんながのうりょくはっしやすい社風をつくる

従業員みんなが能力を発揮しやすい社風をつくる

わたしは朝8時ごろに出社し、18時ごろに退たいしゃしています。ぎょうのうち、外出する日は約3わり、社内で仕事をする日が約7わりです。外出時はお客さまのところへあいさつに行くことが多く、そのさいごろのお礼を伝え、おこまりごとをヒアリングしたり、よりよいえいせい管理の方法についてていあんをしたりします。また、全国にある事業所やけんセンターに行くことも少なくありません。これらの時間は、お客さまや、各事業所とけんセンターで働くじゅうぎょういんとのしんらい関係をきずくための大切な機会になります。
社内にいるときは、じゅうぎょういんと会議や打ち合わせをすることが多いです。ありがたいことにお客さまからしんにご相談をいただくことが多いので、お客さまがどんなサービスを求めているのか、そして当社がどのようにサービスをていきょうするのかなど、みんなで意見を出し合って、必要なことを決めていきます。
わたしの最も大事な役目は、けいえいほうしんの決定と実行です。特にわたしは、ぎょう理念のしんとうと社風づくりを大切にしています。ぎょう理念とは、「わたしたちはなんのために働くのか」という会社の共通目的です。じゅうぎょういんみんながぎょう理念をかいすることで、同じ目標に向かって協力し合うことができ、一人一人の力を足した以上の力をはっすることができます。言いかえると1+1=2、ではなく3にも4にもパワーアップできるのです。当社では、「食と商品に関するしょうしゃの安全・安心にこうけんし、食品えいせい業界でしんらいされ選ばれるNo.1ぎょうになろう」という目標をかかげています。
加えて、じゅうぎょういんのうりょくはっしやすいように、風通しのよい社風づくりにも力を入れています。当社にはいいアイデアや成果を出したり、お客さまにかんしゃされる仕事をしたりしたじゅうぎょういんひょうしょうする定期イベントや、あいさつ運動があります。これらはわたしが入社したときにもせいとしてはすでにあったものの、活発には行われていませんでした。わたしは、せっかくいいせいがあるのだから、むしろみんなで楽しみながら本気で取り組んでいこうと、ねばづよふうをしてきました。今では以前にくらべれば、おのおのが意見を発信しやすく、おたがいがほめ合う社風がつくられてきたと思っています。

速く、せいかくで、安定したすいじゅんのサービスを求められる

速く、正確で、安定した水準のサービスを求められる

会社として大事にしているこだわりは、スピーディーかつせいかくけんやサービスをつねていきょうしていくことです。場所や人によって変わらないサービスのしつたもつことはじょうに大変です。例えば、全国にてんてんかいしている飲食チェーンをてんけんする場合、どのてんに対しても同じじゅんてんけんしなければなりません。てんけんのマニュアルやチェックリストを作り、サービスすいじゅんを一定にたもつようにはしていますが、やはり人の目でてんけんするため、どうしても細かいところでブレが生じてしまうことがあります。こうした場合は、てんけんするじゅうぎょういん一人一人へのどう、あるいは注意点をタイムリーにじょうほう共有することで、しゅうせいかえしながらサービスすいじゅんかくしていきます。
また、じゅうぎょういんにっぽう、つまり活動記録を読むという仕事もあります。このことで、ぎょうじょうきょうやその人の仕事ぶりが手に取るようにわかります。それに、もし仕事上でなやんでいることやこまっていることがあれば、そのきざしも伝わってきます。わたしにとってはてきせつはんだんや仕事ぶりのひょうをするための大事なじょうほうげんですが、より働きやすい会社にしていくためのヒントになる点でも重要だと思っています。にっぽうにはわたしからのコメントもむことができますから、社内では「こうかん日記」のようなものだと説明しています。にっぽうを読んで気づいたこと、注意したいことが見つかったとき、本人への伝え方には気をつかっています。じゅうぎょういんからすると、社長にばれてほめられればうれしいし、注意されたらその日一日、気分がんでしまうでしょう。そのためほめるときはちょくせつ伝え、注意したいことがあるときは、注意したい本人の最も身近な上司に伝えて、上司からかんせつてきどうしてもらうようにしています。

目立たなくとも、かくじつに社会にこうけんできる

目立たなくとも、確実に社会に貢献できる

食に関わるあらゆるぎょうたいのお客さまからたよりにされていると実感できることがやりがいです。お客さまは、ていきょうする料理や食品にぶつこんにゅうしたり、しょくちゅうどくが起こってしまったりすると、またたにSNSでかくさんされてしまうリスクがあります。ブランドイメージが下がり、しょうしゃがその会社の作る食品を選ばなくなることでぎょうせきに大きなあくえいきょうが出ることもあります。そのような食品を未然にふせぐために、お客さまは食品安全にしんけんに取り組まれています。また、わたしたちは、食品が起きてしまったときのけんたいしょ方法のアドバイスも行います。お客さまが本当にこまっているさいに相談を受けてお手伝いできたときには、わたしたちの仕事のを本当に実感することができます。
食品えいせい管理をお手伝いする仕事は、しょうしゃのみなさんには見えづらい部分ではありますが、食に関わる多くのお客さまからせられるニーズにせんもんじゅつでおこたえする、とてもやりがいのある仕事だと思います。

長く続く会社になるために、関わるみんなを幸せに

長く続く会社になるために、関わるみんなを幸せに

わたしけいえいしゃとして、できるかぎり会社が長くそんぞくすることを目指しています。一時的に大きなえきを出すことを求めるのではなく、ほどほどのえきは出し続けながら、なるべく長く続いていく会社にしたいと考えます。当社は今年(2025年)でそうぎょう53年目ですが「目指せ100年ぎょう」を社内のスローガンの一つにしています。
そのために大切にしているのは、つねにステークホルダー(利害関係者。会社に関係する人やだんたいのこと)の幸せを追求していくことです。まずは、じゅうぎょういんとその家族の幸せです。どれだけえきを上げたとしても、じゅうぎょういんが幸せを感じられなければ、定着することもままならず、いずれ会社も立ち行かなくなります。結局、いくらもうけても、ブラックぎょうでは長く続かないのです。次に、お客さまの幸せ、すなわち社業のはってんへのこうけんです。そして、協力会社のじゅうぎょういんの幸せもあります。例えば、けんけんたいを運んでいただく運送業の方たちは当社の事業にとってけつそんざいです。またかぶしき会社である以上、かぶぬしの意向にもこたえる必要があります。加えて、いき社会でのやくわりも考えなくてはなりません。じっさい、一中小ぎょういきに大きなこうけんをすることにはげんかいがありますが、いきふくや教育にすることを積み重ねていきたいと思っています。例えば、地元のしょうがいしゃせつの方々が作ったクッキーを買って社内イベントのしょうひんにするなど、かんせつてきこうけんも心がけています。会社を長く続けていくためには、このようにステークホルダーの幸せをバランスよく追求していくことが、ぜったいけつであると考えます。

そんけいする上司にしょうかいされたから、まよいはなかった

尊敬する上司に紹介されたから、迷いはなかった

この会社に来る前はきんゆう機関で働いていました。以前そちらでお世話になった上司が当社の親会社で働かれており、子会社である当社への入社についてお声がけをいただきました。そんけいしていた方からのお話だったので、不安に思ったりまよったりすることもなく、入社を決めました。
今までの仕事とはまったくことなるないようであり、また、せんもんてきじゅつしきが必要とされる事業であったため、入社後はコツコツと一から勉強する必要がありました。しかし、わたし自身食べることが好きできょうを持って学べましたし、当社にはゆうしゅうで教えることが大好きなじゅうぎょういんが多いため、わからないことを聞くとこんきょしめしつつていねいに教えてくれました。
社長にしゅうにんしてからも、人とのえんを大事にしています。じゅうぎょういんには、せっかくえんあってこの時代に同じ会社でいっしょに働くのだから、のちのちかえって「この会社でみんなと働けてよかった」と幸せに感じてもらえるように全力でがんることがけいえいしゃであるわたしやくわりだと公言しています。そのために、だんからじゅうぎょういんのいい面を見つけるように努力し、決して人のきらいをつくらないように心がけています。

中学1年生のときのけつだん

中学1年生のときの決断

子どものころから、根はなおせいかくでした。親や先生の言うこともよく聞く、いわゆるゆうとうせいだったのではないでしょうか。今、かえっていんしょうぶかい思い出は、中学1年のときの水泳大会です。わたしは小学生のころからまったく泳げない、いわゆるカナヅチでした。そのため中学生となり、体育の一学期最後のじゅぎょうが水泳の全員参加の全クラスたいこうリレーであると聞き、はんしゃてきに「休んでしまおう」という思いが頭をよぎりました。しかし「泳げないことよりもそのことからのがれるために休むことのほうがよっぽどずかしいことではないのか。泳げないなら泳げないまま、リレーに出ればよいのではないか。そして、そのあとで泳げるように努力すればよいのではないか」とおもいたり、なやんだ末に出場することにしました。
結果は案の定、泳いでは立ちをかえじょうたいで、わたしげんいんでクラスの順位も最下位になりました。その直後は、自分のみっともない姿すがたずかしく、リレーで負けてみんなにももうわけなく、顔から火の出る思いでしたが、一方で、何となくすがすがしく感じた自分もありました。結局、その夏休みは一人でこうえいプールに通ってはりゅうでの練習にはげむことになります。そのかいもあって、ようやく、クロールを覚え、苦手なことの一つをクリアーすることができました。今になって考えると、「ありのままの自分でいいではないか。かっこうをつけてつくろうのはやめよう。自分の努力で何とかなることだったら、げずに真正面からぶつかってクリアーしよう」という人生観につながる出来事だったように思います。

人をよろこばせることで、「えんと運」をせる

人を喜ばせることで、「縁と運」を引き寄せる

わたしは、人生は「えんと運」が大事だと思っています。人生には、自分の努力だけではどうにもならないことや、がんっても思い通りにならないことがたくさんあります。でも、えんと運があれば、最終的にはそれでもよかったと思える結果につながる気がするのです。しかし、えんと運をつかむための決まった方法はありません。だからこそ、みなさんもえんと運をせることにつながると思われる行動をとってみてください。
その一つが、「人によろこんでもらうこと」です。自分の好きなことをすることはもちろん大事です。しかし、自分が楽しいことをするのと同様に、周りの人にもよろこんでもらうことをするのが、えんと運につながるけつのように思います。例えば、身近な例にあいさつがあります。元気よく気持ちのいいあいさつをする人は好感を持たれて、相手も心を開いてくれるのではないでしょうか。あいさつすることがにちじょうすれば、近所の方やマンションですれちがった人ともあいさつをわすようになるかもしれません。そこから新しいえんが広がっていくこともあるかもしれません。あいさつにかぎりませんが、みなさんの一番身近なそんざいであるご家族や友達をよろこばせるために自分は何をしようか?というてんから行動することを心がけるといいと思います。

私のおすすめ本

増田 俊也
北海道大学の柔道部で、修行のように練習に明け暮れた著者の自伝的青春小説です。「なぜ柔道を続けるのか」を考え続けながら、部内の先輩、同期、後輩や他校の選手との交流を通して、一人の人間としてたくましく成長していく姿に読むたびに目頭が熱くなる場面があります。
色川 武大
直木賞作家でギャンブラーでもあった著者が、自身の体験から得た生き方のコツを余すところなく語った一冊です。この本から、全てがうまくいくことなどあり得ない、一番大事なのは持続することだと学びました。「本当に強い人は、相撲でいうといつも9勝6敗の成績を上げている人」という名言が好きです。

もっと知りたいこの仕事人

取材・原稿作成:星野 祐子(Playce)・平田 秀至(Playce)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫