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神奈川県に関連のある仕事人
1994年 生まれ 出身地 神奈川県
小原おばら つばさ
子供の頃の夢: 小学校教師
クラブ活動(中学校): バスケットボール部
仕事内容
まだインターン中。全力で社会勉強をしています。
自己紹介
身長が高く、ロン毛。しゅは、サーフィン、バイク、キャンプ。自由を求めています。せいかくは真面目です。
出身高校
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2022年01月20日)時点のものです

プロバスケットボール選手をいん退たい後、にっぽんざいだんのインターンに

プロバスケットボール選手を引退後、日本財団のインターンに

わたしは今、「日本ざいだん」というこうえきざいだんほうじんでインターンとして働いています。日本ざいだんは、よりよい社会づくりを目指し、子どもたちへのえんをはじめ、さまざまなこうえきふく事業やこくさい協力事業などを行っているこうえきざいだんほうじんです。
「インターン(インターンシップ)」とは、正式にそのしょくぎょうしゅうしょくするのではなく、しょくぎょう体験としてその仕事に関わる働き方です。わたしは、以前は「よこはまビー・コルセアーズ」というB.LEAGUE(Bリーグ)しょぞくのプロバスケットボールチームで選手として活動していましたが、2021年6月にいん退たいし、その後、2021年の7月末から、インターンとして日本ざいだんきんしています。
具体的なきんないようとしては、主に日本ざいだんの「HEROs(ヒーローズ)」という、アスリートの社会こうけん活動をおうえんするプロジェクトに関わっています。これは、プロアスリートとしてかつやくしている人たちが子どもたちへのどうや、いきのための活動といった社会こうけん活動をする、そのためのサポートをしていくプロジェクトです。これまで、プロジェクトをうんえいする側には、じっさいにアスリートとして活動してきたけいれきを持つスタッフはいませんでした。でも、わたしは元アスリートですから、「アスリートがどう思っているのか」というてんを持つことができます。プロジェクトに関わってくれるアスリートの方々とプロジェクトうんえい側とのはしわたし的なやくわりができればという思いで関わっています。

インターンを選んだのは、を広げて「セカンドキャリア」を考えるため

インターンを選んだのは、視野を広げて「セカンドキャリア」を考えるため

わたしは大学4年生のときに、プロバスケットボールリーグであるBリーグの「富山グラウジーズ」ににゅうだんし、その後、「よこはまビー・コルセアーズ」にせきしました。戦力外つうこくを受け、いん退たいしたときは26さいでした。まだ他のチームでプロとして活動する道は残っていたかもしれませんが、Bリーグの成長スピードが速く自分の力不足を感じたこと、また、いん退たいするなら自分の地元のチームでもあり、愛着のあるビー・コルセアーズでいん退たいをしようと思ったということもあり、げんえきいん退たいを決めました。
そこで問題になるのが、いん退たいしたあとの自分のキャリア、いわゆる「セカンドキャリア(※第二の人生におけるしょくぎょう。特にプロスポーツ選手について使われる場合が多い)」をどうするか。これについては、実はげんえき時代からいろいろと考えてはいて、中学・高校のけん体育科の教員めんきょしゅとくしたり、パーソナルトレーナーのかくしゅとくしたりしていました。しかし、いざいん退たいけつだんしてみると、「このあと何をしたらいいかわからない」という気持ちになってしまったのです。それまでいろいろじゅんしていたはずなのに、どれもやりたくない。こまりました。
そんな中で、アスリートをたいしょうとしたキャリアデザインのプログラムをじゅこうするのをきっかけに、日本ざいだんの方と知り合うことになりました。そして自分の気持ちを正直に伝えたところ、日本ざいだんの「HEROs」でインターンをすることをていあんしてくれたのです。わたしとしても、まずは自分自身のを広げたいと思っていたところだったので、さまざまなぎょうやアスリートと出会える仕事はぴったりだと感じ、働くことにしたのです。

会議や作業のほか、元アスリートへのインタビューも

会議や事務作業のほか、元アスリートへのインタビューも

平日の月曜日から金曜日まで、朝9時から夕方5時までがきん時間です。具体的には、今後のプロジェクトに関わる会議に参加したり、作業をしたりしています。今はしんがたコロナウィルスの流行下ということもあり、しゅっきんせずにリモートワークで作業をすることも多いです。
また、げんざい「HEROs」のサイト内で「つばさがゆく~スポーツの力をさぐる~」というれんさいを持たせてもらっています。これはさまざまな分野への転身を果たした元アスリートにインタビューしていくかくで、元アスリートたちが何を考え、せんたくし、歩みを進めているのかをしょうかいしていくというないようです。さまざまなセカンドキャリアを選んだ元アスリートの方々に話を聞きながら、わたし自身のセカンドキャリアについても考えていくことができるので、とてもありがたいなと思っています。自分も同じアスリートだったので、話しながら共感できるところもたくさんありますが、それだけに、「アスリート目線」のみになって、いっぱんの方に伝わりづらいインタビュー記事にはなってしまわないよう、気をつけています。
このれんさいに関しては、登場いただく元アスリートの人選から取材のもうみ、取材のセッティング、げん稿こうしっぴつまで、すべて自分で行っています。アスリート時代は、むしろインタビューを受ける側だったので、今になって、「インタビューする側はこうなんだな」ということがわかってきました。アスリート時代に受けたインタビューを思い出して、「ああいう言い方じゃないほうがよかったな」などと思うこともありますね。

初めてけいけんすることばかりの日々の中で、新たな出会いも

初めて経験することばかりの日々の中で、新たな出会いも

生活は、プロバスケットボール選手だったときとはガラリと変わりました。パソコンを使った作業や取材の調整、げん稿こうを書くことなど、ほとんどが、「それまでやったことがないこと」だったので、大変なことも多々あります。でもこれはチャンスだと思いますし、学べることばかりなので、つらいとか、めてしまいたい、などとは思ったことがないですね。あと、やってみると意外とデスクワークが苦にならないのは、自分にとっても発見でした。
やりがいはたくさんあります。まず「HEROs」での活動を通して、本当にはばひろいアスリートの方々と出会うことができたこと。社会こうけんに対して熱意があったり、めいかくなビジョンを持っていたりするアスリートに出会えるのはとてもげきになりますし、うれしいです。また、社会課題に取り組むアスリートやだんたいひょうしょうするイベントをかいさいしたときには、自分のかつての仲間たちも多く来てくれました。中には「来年はあのだんじょうに立てるようになりたい」という目標を語ってくれた友達もいて、「この仕事をやっていてよかった」と心から思いました。

自信を持って社会こうけん活動をするアスリートがえてほしい

自信を持って社会貢献活動をするアスリートが増えてほしい

プロバスケットボール選手だったころ、アスリートとしてさまざまなイベントに参加してきました。でも、今の仕事に関わるまで、「社会こうけん」ということをきちんとかいしていなかったような気がします。
「社会こうけん」という言葉に対して「きれいごと」のようなイメージも持っていましたし、ボランティアでなければいけない、社会こうけん活動をお金と結びつけてはいけない、と、何となく思っていました。実は最初に日本ざいだんの方と面接でお話ししたとき、そうしたイメージを正直に伝えたんです。そこで返ってきたのは「そうじゃないんだよ」という答えでした。「やったことに対してたいをもらっていいし、それでおうえんしてくれる人がえたら、最終的には全部自分に返ってくる」という話をしてくれたんです。その話で目からうろこが落ちるような気持ちになり、「ここでインターンをしてみよう」と思えましたし、自分がげんえき時代のときにそういう考え方を知っておきたかったなとも思いました。
だからこそ、今、わたしが関わっている「HEROs」の活動は多くのアスリートに知ってほしいと思っています。日本ではまだ「社会こうけん活動」自体に目が向いていなかったり、きょうは持っていても「自分なんか……」とためらってしまうアスリートが多かったりするのですが、実は「プロ」が教えられることというのはとても大きいんです。きょう自体について多くのことを伝えられるのはもちろん、イベントなどでの発信を通じて、たくさんの人たちに、新たに社会課題についてきょうを持ってもらうこともできるかもしれない。もっと自信を持って社会こうけん活動をするアスリートがえてほしいなと、今の仕事を始めてから強く思うようになりました。

もんはそのままにせず、なっとくいくまで話し合う

疑問はそのままにせず、納得いくまで話し合う

今、インターンとして働きながら大切にしているのは、まず「自分を満たす」、つまり、きちんと自分が満足できるような活動をするということです。そして、「自分にうそをつかない」ということです。
わたしが関わっている「HEROs」は「社会こうけん活動ができる人材の育成」を目指す活動です。そのため、自分たちの活動が社会課題に対してきちんと取り組めているか、こうけんできているかというのは、つねに考えなければいけないと思っています。だからこそ、活動の中で自分がもんかんを持ったことが少しでも出てきたら、そのままにせず、かくにんしたり、まわりの人と相談したりするようにしています。とてもありがたいことに、今のしょくでは、たとえ相手が上司でも、「何を言ってもだいじょう」な空気を作っていただいているので、はらって話し合い、意見をぶつけることができます。ときにはぶつかり合うこともありますが、なっとくがいくまできちんと話ができる今のかんきょうは、とてもありがたいです。
インターンとしての活動は、2022年の3月でしゅうりょうします。その後に何をするかはまだ正式には言えないのですが、自分の中では「どういうことをしたいのか、どういう働き方をしたいのか」はだんだんとめいかくになってきました。いん退たいしたときとはまたちがう景色が見えてきていて、今、とてもワクワクしています。

バスケットボールだけでなく、勉強もがんばっていた

バスケットボールだけでなく、勉強もがんばっていた

小学校からバスケットボールを始め、そこからずっとバスケットボールけの生活でした。チームの中ではつねにリーダー的なそんざいだったのですが、実は先生やコーチと生徒との間をうまくつなぐ「ハブ」のようなそんざいだったと思います。それはプロバスケットボール選手になっても同じで、やはり選手とうんえいスタッフの間をつなぐポジションだったのではと、後から考えると、そう思いますね。
高校時代もバスケットボールのきょうごうこうにいましたが、バスケットボールしかやっていなかったというわけではなく、それ以外の学校生活もじゅうじつしていました。特に勉強に関しては、いつもがんばっていたので、せいせきはよかったです。これは今、イベントなどでわかい人たちに会うたびに言っているのですが、プロアスリートを目指すとしても、勉強は必ずしておいたほうがいいです。なぜなら、自分のしょうらいせんたくらさないことにつながるからです。
わたしは高校卒業後はつく大学に進学しましたが、そこで教員めんきょも取ることができましたし、大学生のときにはきんにくの研究を行っていました。この大学でのけいけんは、とても自分にとっては大きかったと思いますし、アスリートとしてのセカンドキャリアのせんたくも広げてくれたのではないかと思っています。

「自分で自分自身をひょうできること」をせんたくしてほしい

「自分で自分自身を評価できること」を選択してほしい

今、あなたが何かいっしょうけんめいやっていることがあったとしたら、一度、立ち止まって、それが「本当にやりたいことなのか」「どうしてそれをやっているのか」というところをもう一度考えてみてください。たくさんせんたくがある中で自分が選んだことならいいのですが、まわりの人や親からすすめられて、とか、親や先生にやらされて、ということだったら、ちょっと見直したほうがいいかもしれません。今、いっしょうけんめいやっていることはもちろん大切だけど、今、見えている世界がすべてではないんです。
こういうことを言うのは、自分のけいけんからです。「が高いから」「バスケに向いているから」と言われて、いろいろな代表にも選ばれて、つねに「他人からひょうされるじょうたい」でバスケットボールを続けてきました。でもそうやって続ける中で、バスケットボールが本当に好きなのか、楽しめているかということが、自分ではわからなくなっていたんです。いん退たいしてわかったことは、自分はバスケットボールを、自分自身が本当にやりたいからではなく、まわりにひょうされるから続けていたんだな、ということでした。
わたしは、これからの人生では、「他人からひょうされること」ではなく、「自分で自分自身をひょうできること」をやっていこうと思います。みなさんもぜひ、今やっていることが「自分が本当にやりたいこと」かどうか、一度考えてみてください。
また、もしも今、「いっしょうけんめいになれること」が見つかっていないようだったら、「今までとちがうこと」をしてみるのはどうでしょうか。見える景色が変わるかもしれません。わたし自身も、大人になってから、それまでやったことがなかったサーフィンを体験したことで、人生観が大きく変わるほどのしょうげきを受けました。「新しいこと」は、たとえば「いつもとちがう友達と遊んでみる」みたいな、小さなことでもいいと思うんです。わたしも今「新しいこと」にちょうせんしている真っ最中ですし、みなさんもぜひチャレンジしてみてください。

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取材・原稿作成:川口 有紀(フリート)・東京書籍株式会社/協力:横浜銀行