仕事人

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愛知県に関連のある仕事人
1995年 生まれ 出身地 静岡県
塩田しおた 直道なおみち
子供の頃の夢: 国家公務員
クラブ活動(中学校): 野球部
仕事内容
eスポーツせんもんの高校で先生として働き、「愛知eスポーツ連合」のきょくちょうとしてeスポーツ業界をげ、ときにはプロeスポーツプレイヤーとして大会に出る、トリプルキャリアです。
自己紹介
小さいころから積極的にいろいろなことにちょうせんしていました。下調べをせず、とりあえずやってみる!のせいしんなので、ときには失敗もしますが、ひとみ以上に成しとげてきたことも多いです。休日は、ゲームをしたり、アニメやYouTubeを見たり、LEGOを組み立てたりしています。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2024年06月21日)時点のものです

ぶんせきりょく」をにeスポーツの大会に出場。じっきょうかいせつしゃとしてもかつやく

「分析力」を武器にeスポーツの大会に出場。実況解説者としても活躍中

わたしは、「リアルタイムバトルしょう」というゲームのプロeスポーツプレイヤーとして活動しています。「リアルタイムバトルしょう」は名前の通り、しょうをもとにしたゲームです。いっぱんてきしょうは、せんこうこまを動かして試合が進んでいきますが、このゲームは、スタートしたしゅんかんから、両者が同時に好きなだけこまを動かすことができます。そうしていち早く相手のぎょくしょうおうしょう)を取った方が勝ちという、スピードがじゅうされるゲームです。わたしは2022年7月にこのゲームのプロライセンス(かく)をしゅとくしました。げんざいは「公人直人(こうじんなおと)」というプレイヤーネームで活動しており、名古屋をきょてんとするプロスポーツクラブ「名古屋OJA(オウジャ)」にしょぞくしています。
プロeスポーツプレイヤーとしての主な仕事は、しょうきんかくとくを目指して年に数回、大会に出場することです。しょうきんがくは大会によってことなりますが、「リアルタイムバトルしょう」の場合は、ゆうしょうすると30万円ほどもらえるものが多いです。
大会の数週間前になると1日に何時間もゲームに向き合い、スキルをみがいていきます。中でもわたしは、の大会えいぞうなどを見て、他の選手のプレイをぶんせきすることに力を入れています。「この選手はこういう戦い方がとく」など、対戦相手の強みや弱みを知ることで、自分がどうプレイすれば勝てるのか、たいさくを考えることができます。そうしてじょうほうに、対戦相手に合わせてせんりゃくを変えていくのがわたしのプレイスタイルです。
また、eスポーツのテレビ番組や大会でじっきょうかいせつしゃとしてしゅつえんすることも多いです。プレイヤーとして身につけてきたぶんせきりょくやゲームのしきを生かし、はばひろく活動しています。

eスポーツ連合のきょくちょう、さらに先生としてもeスポーツ業界をみちび

eスポーツ連合の事務局長、さらに先生としてもeスポーツ業界を導く

プレイヤーとしての活動以外にも、2つの仕事をしています。
1つは、「いっぱんしゃだんほうじん 愛知eスポーツ連合」のきょくちょうとしてeスポーツ業界をげる仕事です。愛知eスポーツ連合は、愛知・名古屋いきを中心に、eスポーツを身近に感じてもらえるような活動にはげんでいるしきです。わたしきょくちょうとして、ぎょうや学校で「eスポーツとは何か」をテーマにこうえんしたり、eスポーツに関するイベントをかいさいしたりと、さまざまな取り組みを行っています。2026年には、アジアのオリンピックともばれる「第20回アジアきょう大会(2026/愛知・名古屋)」がかいさいされます。わたしたちeスポーツ連合は、正式きょうの1つでもあるeスポーツの試合うんえいになう予定です。日本の選手たちが大会でかつやくできるよう、選手の育成やサポートもふくめ、着々とじゅんを進めています。
もう1つは、eスポーツせんもんの高校「ナゴヤeスタジアム」での先生の仕事です。この学校では、週3日はeスポーツについてのしきやスキルをみがき、残りの2日は英語や数学などの教科を学びます。わたしは、ゲームプレイを教えるだけではなく、愛知eスポーツ連合の仕事を通じてたeスポーツの最新じょうや大会うんえいじつじょうなどを生徒たちに教えています。先生の仕事をする上で大切にしているのは「じっさいけいけんしてもらう」ということです。例えば、eスポーツイベントにボランティアとして生徒たちと参加したり、じっさいにeスポーツ大会のうんえいをしてみたりしています。学校にはプロeスポーツプレイヤーを目指す生徒が多いのですが、大会うんえいじっきょうかいせつしゃなど、プレイヤーとして以外にもしょうらいかつやくできる場所がたくさんあるのだということを、じっさいに大会やイベントに参加することで実感してほしいと考えています。

かんりょうめて、eスポーツと教育の道へ

官僚を辞めて、eスポーツと教育の道へ

今の仕事を始める前は、国家こういんとして働いていました。文部科学省でデジタル教科書やプログラミング教育に関するほうりつの立案に関わったり、ないかくかんぼうという日本の大事なせいさくを決めるところでしんがたコロナウイルスかんせんしょうたいさくを考えたりしたこともありました。つまり、eスポーツとはあまり関係のない仕事をしていたのです。
そんなわたしがeスポーツを始めたのは、しんがたコロナウイルスで外出がせいげんされたときのことです。もともとしゅしょうをしていたのですが、コロナでは対面でプレイすることがむずかしくなってしまいました。オンラインでもできるものはないか、とさがしているときに出会ったのが「リアルタイムバトルしょう」です。初めてプレイしたときはスピード感におどろいたのですが、だんだんとちゅうになっていったのを覚えています。そんなある日、日本eスポーツ連合というだんたいから「リアルタイムバトルしょうのプロライセンスを発行する」と発表がありました。最初は気軽にプレイしていたのですが、大会で上位になれば自分もプロになれると知り、本気でライセンスしゅとくを目指すようになりました。
かんりょうの仕事をしながら大会に出場するのは、本当に大変で、すいみん時間をけずって練習することもありました。そうしていどんだプロせんばつ大会の結果は、じゅんゆうしょう。無事、プロライセンスをしゅとくし、プロeスポーツプレイヤーになることができました。
その後は国家こういんとプロeスポーツプレイヤーの二刀流で活動していたのですが、しばらくして「愛知eスポーツ連合のきょくちょうとeスポーツ高等学院の先生をやってみないか」とおさそいをいただきました。とてもなやみましたが、先生になりたくて大学でしゅとくした教員めんきょや、かんりょうとして教育に関する仕事をしてきたしきやスキルが生かせるのではないかと考え、かんりょうめてeスポーツと教育の道に進むことを決めたのです。

プロeスポーツプレイヤーになるためにも重要な「じょうほうしゅうしゅうりょく

プロeスポーツプレイヤーになるためにも重要な「情報収集力」

プロeスポーツプレイヤーとして活動する上で重要だと感じるのは「じょうほうしゅうしゅうりょく」です。ゲームをプレイする人たちが集まるコミュニティや大会には、「今はこういう戦い方が主流だ」といったような、勝利につながるようなじょうほうがたくさん転がっています。そうしたじょうほうを知らなければ、たいさくを行うこともできませんよね。わたしはプロになるまでかんりょうとして働いていたので、なかなかコミュニティに入っていくことができず、「リアルタイムバトルしょう」を始めた当初はじょうほう不足で苦労しました。
プロeスポーツプレイヤーになりたい、と考えているみなさんにも「じょうほうしゅうしゅうりょく」はじょうに大切です。そもそもプロになるには、わたしのように大会でいてプロライセンスをしゅとくしたり、プロチームにしょぞくしたりと、さまざまな方法があります。ゲームのスキルがあっても、プロになるために何をすればいいのか、どんな大会があるのかなど、自分に必要なじょうほうることができなければプロになることはできませんし、対戦相手のじょうほうを知らなければ大会で勝ち上がっていくこともむずかしいでしょう。そのためにも、自分のプレイするゲームのコミュニティに参加したり、SNSでじょうほうを集めたり、ちょくせつプロの選手にれんらくしてみたりと、積極的にじょうほうを集めることをしきしてほしいと思います。

自分の勝利はもちろん、生徒たちの勝利はなによりのよろこ

自分の勝利はもちろん、生徒たちの勝利はなによりの喜び

プロeスポーツプレイヤーとしての一番のよろこびは、やはり大会で勝つことですね。自分がしてきた努力がむくわれるそのしゅんかんは、大きなやりがいを感じます。
教えている生徒たちが試合で勝ち上がっていく姿すがたを見るのも、教育者としてむねが熱くなります。ここ数年では、岐阜県で行われた、高校生が出場する「リアルタイムバトルしょう」のだんたいせんで、「ナゴヤeスタジアム」の1年生たちが見事、ゆうしょうを勝ち取りました。また、「エーペックスレジェンズ」というシューティングゲームの高校生大会でも、1年生3チームのうち2チームが決勝に進出できました。1年生からこうした結果を出すのはとてもむずかしいことなのですが、毎日練習に打ちこんできたからこそ、勝利につながったのだと思っています。
また、わたしは「リアルタイムバトルしょう」を子どもたちに体験してもらうイベントにもよく参加しているのですが、ゲームをプレイした子どもたちから「このゲーム楽しい!」と言われたときは、本当にうれしいですね。これからもゲームの楽しさを、子どもたちをはじめ、たくさんの人に伝えていきたいです。

前例にとらわれず、新しいことにチャレンジしたい

前例にとらわれず、新しいことにチャレンジしたい

プロeスポーツプレイヤー、きょくちょう、先生として働く中で心がけているのは、「前例にとらわれない」ということです。
例えば、こうれいしゃの方に向けてeスポーツのイベントをかいさいするとします。そうしたイベントの場合、パソコンやゲーム機をこうれいしゃの方が集まるせつに持っていって、体験してもらうというないようが多いのですが、わたしはイベントをかいさいするとき、そこでしか体験できない、“特別感”のあるイベントにしたいとつねに考えています。こうれいしゃの方が「選手入場!」と、ライトの光とともに入場するようなえんしゅつがあったらかっこいいですよね。特別感をしきしてえんしゅつにこだわるなど、これまでのやり方にとらわれないということを大事にしています。
前例にとらわれない、というのは国家こういんとして働いてきたえいきょうが大きいかもしれません。国家こういんの仕事は前例を参考にたいさくせいさくを考えることが多かったのですが、それでは前に進まないというげんじょうもたくさん見てきました。だからこそ、どんな仕事でもこれまでのやり方にとらわれず、新しいことにチャレンジしていきたいと考えています。

何かをとことんめることの大切さ

何かをとことん突き詰めることの大切さ

わたしは子どものころから、何かをやると決めたらそれをめていくタイプでした。ゲームもその1つです。わたしが初めてプレイしたゲームは「ポケットモンスター」です。プレイすればプレイするだけ強くなることがおもしろくて、そこからRPGゲームやアクションゲームなど、ジャンルを問わずたくさんのゲームをプレイしてきました。
中学に入ると勉強に力を入れるようになりました。勉強も、ゲームと同じでやればやるほどわかるようになっていくものですよね。「自分にはこういう勉強の仕方が向いている」と自分なりにこうりゃくほうを考えて、中学・高校と勉強に向き合っていたのを覚えています。
ゲームも勉強も、とことんめてやりこんでいく。小さいころからそのしきがあったからこそ、プロライセンスをしゅとくし、さまざまな仕事につなげていくことができたのだと感じています。これからもeスポーツという分野をめ、「eスポーツのことならしおに聞けばだいじょう!」と言われるようなeスポーツの第一人者になれたらと思っています。

とくなものをばすことで、自分がかがやけるしょくぎょうに出会える

得意なものを伸ばすことで、自分が輝ける職業に出会える

しょうらいの進路になやんでいるみなさんには、ぜひ「自分のとくなものをばす」ことをしきしてほしいです。それがゲームであっても何であっても、自分がとくだと思っているものはどんどんめてみてください。そうすれば、最終的に自分がかがやけるしょくぎょうくことができると思います。
eスポーツの世界の話をすると、好きなゲームをきわめても、プロeスポーツプレイヤーになれるのはひとにぎりかもしれません。しかし、わたしの周りには、プロeスポーツプレイヤーではないけれど、eスポーツが好きでイベントや大会をかいさいしている人がおおぜいいます。とくで自分がずっとやってきたもの、そこからしきやスキルは、きっと他の場所でもかがやくはずです。
また、プロeスポーツプレイヤーになるために、そのゲームを小さいころからプレイしていなければならないかというと、そうでもありません。例えば、「リアルタイムバトルしょう」のプロプレイヤーは、高校生から40さいえた大人まで、さまざまな年代の方がいます。早く始めたらプロになれるというものでもなく、やはりそのゲームが好きで、どれだけやりこんできたかが大切なのだと思います。みなさんもあきらめず、自分のとくなものをばし続けてほしいです。

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取材・原稿作成:室井 美優(Playce)・東京書籍株式会社