仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1979年 生まれ 出身地 東京都
吉川よしかわ 愛歩あゆみ
子供の頃の夢: 教育テレビのお姉さん
クラブ活動(中学校): 演劇部
仕事内容
料理のレシピを考え,記事にまとめる。
自己紹介
長所はがんこでこうしんおうせいなところ。短所は人見知りなのと,そうきらいなところ。11さいの女の子と2さいの男の子の母親でもあり,休日には子どもと遊んだり,いっしょに料理を作ったりしています。あと子どもたちを連れてキャンプにもよく行きます。

※このページに書いてある内容は取材日(2018年10月02日)時点のものです

らいに合わせ,レシピを考えて記事にまとめていく

依頼に合わせ,レシピを考えて記事にまとめていく

料理のレシピを考え,試作してレシピを完成させ,記事にまとめていくのがわたしの仕事です。らいないようはさまざまですが,Webサイトでれんさいされる料理の記事をしっぴつしたり,お皿などのテーブルウェアを作っている会社にたのまれて,公式サイトにけいさいするレシピを作ったりするほか,料理学校からのらいでレシピを考えたり,家電メーカーからのらいで,その調理家電を使ったレシピを考えたりすることもあります。
ほんてきには,レシピを考えるところから記事の完成までを一人でたんとうすることが多いのですが,ときには料理研究家の方といっしょに記事を作っていくこともあります。そういった場合は,料理研究家の先生が考えたレシピを文章でもらい,わたしが読みやすく書き直したり,言葉を整えたりします。ほとんどの料理研究家の方はライターと組むことが多いのですが,わたしの場合は一人でそれらができるので,仕事を自分のペースで進めていくことができます。わたしのように一人でレシピ開発と文章をたんとうするライターはめずらしく,同じことをやっている人はあまりいませんね。

試作をかえしながら,レシピを完成させていく

試作を繰り返しながら,レシピを完成させていく

仕事の進め方としては,まずは仕事のらいが来るところから始まります。「季節に合わせたレシピを考えてほしい」「この調理器具を使ったレシピを開発してほしい」「この食材を使ったレシピが知りたい」といった,さまざまならいが来ます。その後,レシピを考え,あとはひたすら同じ食材,同じ料理の試作をかえしていきます。例えば,材料の切り方はどうしたらいいか。調味料の量はどのくらいがてきりょうか。火にかける時間はどのくらいがいいか。そういったことをたしかめながら試作をして,レシピを完成させます。頭で考えていたように仕上がらなくて,材料が足りなくなってスーパーに買いに走る,なんていうこともよくあります。その後,完成したレシピをもとに料理を作り,カメラマンさんにさつえいをしてもらい,記事にまとめるという感じです。
また,日によっては料理研究家の方のところに取材に行ったり,食材をさがしたりするほか,さつえいで使う小物や食器をレンタルショップに借りに行くこともあります。研究のためにお店に食べに行ったり,デパートの食品売り場などをめぐったりすることもあります。げん稿こうたくで書くこともありますし,お仕事をしている会社に行って,そこで書くこともありますね。

ニーズに合わせて自分ならではのレシピを作り上げる苦労

ニーズに合わせて自分ならではのレシピを作り上げる苦労

料理はみなさんが作っているものですし,料理研究家の方もたくさんいます。その中でいかにオリジナリティを出していくか,リクエストにこたえていくかということはなかなか大変です。例えば,仕事でいそがしくて,ゆっくり料理をする時間が取れない方も多くいらっしゃいますよね。そのため,レシピとしてはいかにかんたんに作れるか,作る時間を短くできるかを求められることが多いんです。そういうときは,例えばちゅうでコンロではなく電子レンジを使ったり,うまくふうしてつうなら2こうていかかるところを1こうていでできるようにしたりといった,いろいろとこうさくが必要になります。おいしく,かんたんな料理のレシピを完成させるためには,やはり何回も試作をしなくてはなりません。ずっと同じ料理を作り,試食を続けるのはとても大変です。
また,うちの子どもにはアレルギーがあり,小麦粉やたまごが食べられません。そのため,特定の食材を使わない分野の料理を勉強するうち,自分の仕事でもそういう料理が得意になってきました。ただ,ざいなどがかぎられたじょうけんの中でどうやっておいしいレシピを作り出すか,そこは苦労しますし,その分やりがいもあるところです。

「食事」の大切さとりょくを伝えられる仕事

「食事」の大切さと魅力を伝えられる仕事

わたしは,「ご飯を食べる」ということを,だんの生活の中でもとても大切にしています。例えばつかれていても食事を「おいしい」と感じられたり,いそがしい日々の中で,そのおいしさにホッとすることができたり。そうやって,食事が助けになることは多いと思うんです。自分自身がそう思っているので,それを人に伝えられるのはこの仕事のりょくだと思います。だからSNSなどで自分のレシピについて「作ってみました」「おいしかったです」という写真つきのとう稿こうがされているのを見ると,本当にうれしいんです。
また,子どもたちが試作のときに「おいしい」と言ってくれたり,「もう少しこうしたら」と言ってくれたりすることもあります。こうやって子どもたちと関わりながら仕事ができるのも,この仕事のりょくです。
あれこれ試作する時間はとても大変ですが,その分,レシピが完成していざさつえい!という時間はとても楽しいですよ。自分の頭の中で料理の完成図やスタイリングを考えているのと,カメラマンさんにじっさいにきれいにってもらうのはまた別物です。さつえいし終わったらみんなで「これおいしいね」とワイワイしながら料理を食べるのも,とても好きな時間の一つです。

自分が食べたくないものや,食べさせたくないものは作らない

自分が食べたくないものや,食べさせたくないものは作らない

仕事を受ける上で,「自分が食べたくないものや,子どもに食べさせたくないものは作らない」ということはモットーにしています。なるべくてんぶつは少なくしたいですし,自分がだん使わず,なるべく料理に使いたくないと思っているものは,仕事でも使いません。「写真にえるようにカラフルにしてほしい」というオーダーが来ることもありますが,そういうときも,着色料など人工のてんぶつは使わず,野菜を使ってカラフルにするなど,ふうしていますね。
あとは,レシピを読んで作っても写真の通りにならない,たくさいげんできないレシピにはならないように心がけています。えが良くても,読んだ人が作ることができないレシピだと意味がありませんから。食材もなるべく,スーパーで手に入ってだれでも作りやすいもの,というものを心がけることが多いです。

「料理好き」が,いつしかほんかくてきに仕事に

「料理好き」が,いつしか本格的に仕事に

わたしはもともと,きょういくけいしゅっぱんしゃしょせきへんしゅうぎょうをしていました。2003年からフリーランスになり,2007年に子どもが生まれたことをきっかけに,子育てや料理など,ライフスタイルけいざっの記事を書く仕事をするようになりました。すると「料理が好きなら」とレシピもふくめた仕事をいただくようになり,「料理ライター」として活動を始めたんです。
もともと料理はすごく好きだったんですが,仕事としてレシピを自分で作るのは,最初はきんちょうしましたね。でも,やってみたらとても楽しかったので,それこうはレシピ開発もふくめて手がけるようになりました。
自分で決めることや調べることの多い仕事ではありますが,フリーランスでやってきた期間も長かったので,いろいろな人にいろいろな仕事をたのまれる中で積み重なってきたけいけんが今,役立っています。仕事をする中で,成長してきた感じですね。

父親への料理で「だれかのために作ること」の喜びを知った

父親への料理で「誰かのために作ること」の喜びを知った

両親のこんもあり,子どものころは転校が多かったです。小学生のときに2回,中学生のときには4回も転校しました。
料理をするようになったのは,小学校3年生のときに父親といっしょらすようになってからです。父親はまったく料理ができず,わたしが代わりに食事を作るようになりました。そんな日々を送る中で「だれかにおいしいものを食べてもらいたい」という気持ちが強くなっていき,いつも生活の中心に料理がありました。
子どものころからおしばの仕事をしていたので,自分はもちろん役者になるんだろうと思っていたのですが,高校生になったくらいのころ,「このままこの仕事をしていくのだろうか」と考えるようになったんです。もともと本が好きで図書館にしょっちゅういましたし,文章を書くことも好きだったので,そちらの仕事をしてみたいなと思うようになりました。
料理ライターとしては,自分が料理に関して「何もわからない」ところからスタートしたので,いつか子どもにもわかりやすい料理のレシピ本を手がけるのがゆめです。最初は本当に肉の種類も,何を買えばいいかもわからないし,本を読んで料理を作ってみても失敗ばかりでした。子ども用の料理本はたくさんありますが,自分で買い物をするところからスタートする本は,なかなかありません。そういう本をいつか作れたら,と思います。子ども向けの料理教室も,いつかやってみたいことのひとつです。

しんらいできる人や場所をたくさんつくっておいてほしい

信頼できる人や場所をたくさんつくっておいてほしい

これを読んでいるみなさんに言いたいのは,「やりたくないことは,やらなくていい」ということです。「夏休み明けに子どもの自殺が多い」というニュースを見ると,だれかに「助けて」と言えない,周りにSOSを言えない人が多いのかなと思い,むねいたくなります。わたし自身,つらいけいけんをしたこともありますが,しんらいできる友達や周りの大人に,そのつど救われてきましたから。
よく「つらかったらげろ」と言いますけど,げるのもひとつの大きなせんたくなので,けっこうむずかしいことだと思うんです。だからそれよりもまず,つらいときには声に出して,周りに言ってほしいなと思います。
言葉で自分の気持ちを説明できる力も,とても大切だと思います。そのためにも,本はたくさん読んでほしいですね。物語でもなんでも,読むことでたくさんの事例を知ることができ,自分の周りだけじゃない広い世界を知ることができる。言葉をたくさん知ることは,周りとのコミュニケーションにも役立ちます。そういったことで,救われることもあるのではないでしょうか。

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私のおすすめ本

森 達也
森達也さんの本はもともと大好きなんですが,この本は,私たちが普段食べている“肉”が,どうやって作られ,私たちのもとに届けられているかということが主に書かれている本です。いろいろと考えさせられるのですが,さまざまな食べものの「成り立ち」が書かれているのも面白く,読みながら「どういう食べ物なんだろう?」というのを子どもたちと一緒に考えるのも楽しいし,中に出てくる古代の日本の食べ物を子どもと作ってみたこともあります。
取材・原稿作成:東京書籍株式会社