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神奈川県に関連のある仕事人
1984年 生まれ 出身地 千葉県
今井いまい 亮子りょうこ
子供の頃の夢: 恐竜博士(化石発掘家)
クラブ活動(中学校): 技術部
仕事内容
げんかんとくとして,せっけい通りにこうぞうぶつが作られているかどうかかくにんし,管理する。また,せっけいたんとうとして,こうぞうぶつせっけいも行う。
自己紹介
めんどくさがり屋でしんけいしつです。休日は,平日にめんどくさがってためこんだ家事の後始末に追われるのですが,せんたくもののたたみ方など,自分が「こうしたい」というやり方についこだわってしまい,なかなか終わりません。つうきん時間が長いので,その時間に音楽をくのが楽しみです。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2018年11月08日)時点のものです

新しい鉄道トンネルを

新しい鉄道トンネルを掘る

わたしけんせつかぶしきがいしゃという会社にしょぞくして,げんざいがわけんよこはまで,地下を通る鉄道トンネルの工事にたずさわっています。相模さがみ鉄道ととうきゅう線のそう直通新線工事により新しく「しんつなしま駅(仮称)」という駅がけんせつされるのですが,わたしはそのしんつなしま駅(仮称)とじゅうらいとうきゅうとうよこ線とをつなぐ「つなしまトンネル」の工事に,げんかんとくせっけいという2つの立場で関わっています。全体で1.1キロメートルほどの区間で,この工事のスタートは2016年,完成は2021年の予定です。
わたしはもともとげんかんとくとしてさまざまなげんで働いてきたのですが,産休・育休をじゅつもんどうし,このげんに入る前は,てんせっけいもんで土木工事のげんに関するせっけいをしていました。地下のトンネル工事では,トンネルのよこあなる前に,まずは地下にもぐるための「たてこう」というたてあなっていかなくてはいけません。わたしせっけいたんとうとして今回のげんたてこうせっけいを手がけたことがえんで,2年ほど前,このげんが立ち上がったころから,このげんで働いています。
わたし自身は,このげんでは一部のせっけいと,げんかんとくたんとうしています。せっけいたんとうしゃとしての仕事は,工事を進めていく中で,げんじょうきょうに合わせて,せっけいの見直しやしゅうせいが一部必要になることもありますので,そういうときに自身でしゅうせい部分をせっけいすることもあります。また,柱などがちゃんと重さにえられるものなのかという「こうぞう計算」という作業も,時には自分でたんとうします。
げんかんとくとしての仕事は,日々げんがきちんと安全に進められているか,ざいなどは足りているかをかくにんし,ほうこくしょなどの書類を作るのが主な仕事です。今はしょでのデスクワークが中心なのですが,工事のしんちょくかくにんするため,じっさいげんに行くことも多いです。

安全にトンネルをすすめられる「シールド工法」

安全にトンネルを掘り進められる「シールド工法」

今,手がけているトンネルは,大半の場所を「シールド工法」という工法で作っていきます。「シールドマシン」という,トンネルをる大きな機械を使ってすすめます。シールドマシンは大きなつつじょうの形をしており,せんたんのカッターで地中をすすみます。そして,そのままだと土がくずれてきてしまうので,った部分に「セグメント」とばれるコンクリートで作ったがいへきをはめこみ,くずれないようにしたらまた先にすすみ,これをかえしてトンネルを作っていきます。今回るトンネルの直径は6.8メートルで,1日に約10メートルのスピードですすむ予定です。目的地までとうたつしたら引き返し,上り線と下り線の2本をります。
このシールド工法には安全にトンネルをすすむことができるというメリットがありますが,スタート地点とゴール地点では,地上との間でシールドマシンやざいを出し入れするためのすいちょく方向のあな,「たてこう」が必要になります。シールドマシンはあなの直径と同じだけの大きさが必要なので,マシンが入るあなを作るだけでも大きな工事となります。
たてこうの強度をたもつため,太いこうざいをたくさん組み合わせてささえるのですが,今回のげんでは,ばんの関係もあり,最初のせっけいだとこうざいがじゃまになってしまい,うまく機械が入らないことがはんめいしました。わたしせっけいたんとうとして,こうざいの太さを変えたり,組み方を変えてみたりという,さいせっけいこうぞう計算をたんとうしました。

げんざいは時短きんで,所長のアシスタントも

現在は時短勤務で,所長のアシスタントも

わたし自身,今は子育てのために時短きんをしていて,朝は9時にしゅっきんし,16時30分には仕事を終えます。そのため仕事ないようも,げんしょにいて書類を作ったり,3人いる所長たちのアシスタントをつとめることがわりと多いですね。また,一部,せっけいしゅうせいなどが必要になった場合は,げんせっけい図面のしゅうせい作業をします。
今のげんで,時短きんでないげんかんとくの場合は,朝8時に作業員もふくめて全員が集まっての朝礼からスタートします。そこでその日の作業ないようかくにんし,午前中は,げんがきちんと安全にたもたれているか,じょうはないか,新しく入ってきたざいひんしつやセメントの強度がきちんとたもたれているか,などをチェックしていきます。お昼には一度,しょくちょうさんというしょくにんさんたちのリーダーの方たちに集まってもらい,午前中のしんちょくじょうきょうかくにんと,午後の作業にへんこうてんがないかや,次の日の作業をかくにんします。
げんの作業が終わるのは17時です。作業が終わり,しょくにんさんたちが帰った後は,その日のほうこくしょや書類を作る時間になります。ざい一つにしても,「何日にどれだけのざいが入った」と,書類と写真で記録をしておかなくてはいけません。

じょせいだから大変」ということは特に感じない

「女性だから大変」ということは特に感じない

げんざいは時短きんのため,「使える時間が少ない」というのがなやみです。今,このげんにはとうかつ所長,発注者とのれんらくを主にたんとうする所長,げんの工事をたんとうする所長と,3人の所長がいます。それぞれから仕事が来るので,時間がない中でそれらの仕事にゆうせん順位をつけ,しょをしていかなくてはいけません。
げんかんとくというのはじょせいが少ないしょくしゅではありますが,実は「じょせいだから大変」という部分は,わたし自身は感じません。これまであまりじょせいがいなかったので,ぎゃくに会社のほうが「どうしてほしいか,要望があったら教えてほしい」と,じょせいがわの要望や意見も聞いてくれるんですね。しょくにんさんにしても,業者さんにしても,「女だから」といって差別するような方はいませんし,会社も「そんなことを言う人は選ばないようにしています」と言ってくれています。じょせいの場合は子どもを産むと,長時間のこうそくがあるげんの仕事はむずかしくなることが多いかもしれませんが,例えばわたしのように時短きんにして仕事の後に子どもをむかえに行ったり,たくから近くて通いやすいげんはいぞくしてもらうなど,いろいろな働き方のせんたくがあると思っています。けんせつ業界全体が,いろいろと変わっている時期なのではないでしょうか。

完成してすべてが終わったときは感無量

完成してすべてが終わったときは感無量

仕事をしていて一番楽しいのは,やはり,「すべてが終わったしゅんかん」です。例えば橋の工事にげんかんとくとして関わったときには,げんしょを建てる場所のくさりからスタートしました。そこからげんが始まっていって,じっさいに工事が進んでどんどん風景が変わっていって,最後にはそのしょてっきょして終わる。何もなくなって,げんしょがあった場所が元のじょうたいもどり,完成した橋だけが残るんです。その風景を初めて見たときには,大きなかんがいがありましたね。
入社一年目でけいけんした,下水道管せつげんもそうでした。しょくにんさんたちの作業を見て,「土木は人の手で形にするものだ」というのをさいかくにんしたんですが,わたし自身はどうでそのげんちゅうはなれることになりました。でも工事が終わった後,げんを見たくてそこに行ってみたんです。するとしょくにんさんたちがあわただしく動いていたげんがあとかたもなくてっしゅうされ,何事もなかったようになっている。この「何もなくなっている」ということに感動したんですね。おそらく今関わっているトンネル工事も完成すると,地上部分はあとかたもなくてっしゅうされるはずです。そのときにまた,同じような感動を得られるのかなと思っています。
また,たくぞうせいや橋のけんせつなどの地上の工事だと,昨日はここまでやった,今日はここまでやった,という一日一日の作業が目に見えてわかります。そういうげんだと,目に見える変化がまた,日々の仕事の原動力になっていきます。

コミュニケーションも,安全管理のいっかん

コミュニケーションも,安全管理の一環

仕事をする上では,しょの中でもげんでも,“なるべくしゃべること”をしきしています。例えば所長から仕事をたのまれるにしても,ざつだんの中で,今,おたがいがどういうじょうきょうかを察することができますし,話しかけやすいほうが部下として仕事をたのみやすいかなと思うんです。少ない時間の中でこうりつてきに仕事をするためにも,みんなとできるだけしゃべり,コミュニケーションを多くするように心がけています。
同じように,業者さんやしょくにんさんに対しても,いつも話をするようにしています。土木のげんは大きな重機を使うので,けんちくげんくらべて人数が少ないことが多いんです。今のげんに関わっているしょくにんさんは15人くらいでしょうか。仕事を始めたころに上司から「なるべく全員の顔と名前を覚えなさい」と言われたこともあり,みなさんの顔と名前を覚えるように,そしてなるべく話をするように心がけています。
この仕事はちょっとしたことがけんへつながってしまいます。ですから何か「言いにくいこと」が発生したときも,ほうこくをしてもらわないといけないし,わたしたちも注意をしなくてはいけません。そういうとき,だんからしゃべっていない相手には言いづらいですよね。コミュニケーションも安全管理のいっかんなんです。

「工事げんってかっこいい」という気持ちからけんせつの道に

「工事現場ってかっこいい」という気持ちから建設の道に

おさないころから,工事げんなどで大きな重機が動いたり,出入りしたりするのをよくながめている子どもだったようです。おさなごころに「工事げんってかっこいい」と思ったんでしょうね。その思いは大きくなっても変わらず,高校は工業高校のけんちくに進みました。
家の間取りを見ているのも好きだったので,せっけいの仕事ができたらと思いけんちくに進んだんですが,勉強する中で「大きなこうぞうぶつを作りたい,ずっと残っていくものを作りたい」という思いが高まっていきました。高校にはなかなかゼネコンなどの求人がなかったこともあり,大学では土木を学びました。
しゅうしょく活動ではげんかんとくになることを第一に考えて会社を回りました。やはり子どものころからの「工事げんへのあこがれ」が強かったんです。けんせつに入社し,すぐにげんへとはいぞくされました。しきからげんで教えてもらうじょうきょうでしたが,あこがれだったげんに出られて,とてもうれしかったです。
けっこん,出産をて一時はてんせっけいもんにいたんですが,やはり,「げんに出たい!」という思いは強かったです。子どもがあるてい大きくなったこともあり,今やっているトンネル工事がスタートするときに,念願かなってげんもどることができました。たくげんが遠くてつうきんかたみち1時間半かかるのですが,それでも「げんにいられる喜び」は大きいです。

ものをつくるのが好きな子どもだった

ものをつくるのが好きな子どもだった

もともと一人で行動するのが好きな子どもでした。家がえいぎょうだったので,あまったダンボールをもらって家のようなものを作ったり,何かものを作って遊んでいましたね。「つくる」ことが好きなのは,そのころから変わっていない気がします。
げんかんとくという仕事はげんに出るだけでなく,実は書類仕事などのデスクワークも多い仕事です。そのため,しゅうしょくしてからそのあたりのギャップを感じる人もいるかもしれません。でも,わたしの場合はえいぎょうの家で育ち,両親が仕事をしている様子を間近に見てきたので,そういう面もあることはあらかじめ想定していました。それで,特にギャップを感じることはなかったように思いますね。
中学校では「じゅつ」という,パソコンをいじれる部活に入っていました。中学生,高校生時代を通して,科目としてもすうけいが得意で,特に理科が好きでした。そんなに多くの人とコミュニケーションをとったり,友だちがたくさんいるというタイプではなかったのですが,家族や仲のいい子たちとはたくさんしゃべっていたような気がします。多分,本来はしゃべるのも好きなんだと思います。

原動力になる“好き”の気持ちを見つけてほしい

原動力になる“好き”の気持ちを見つけてほしい

みなさんに伝えたいのは,「好きなものを見つけて,それを続けてほしい」ということです。わたし自身,今のげんつうきんするのにかたみち1時間半かかっていますし,子育てと仕事を両立するのはなかなか大変なときもあります。でも,日々の原動力になるのはやはり「げんが好き」という気持ちなんです。このエネルギーがあってこそ,日々,がんばれています。
しょうらいを考えるとき,なるべくいろいろな仕事のことを知ることも大事ですし,合わせて「この仕事をやりたいか,やりたくないか」ということも考えてほしいな,と思います。「こういう仕事があるんだな」だけではなく,じっさいに自分がその仕事をしたとしたらどう思うか。そこまで考えてこそ,好きなもの,好きな仕事をさがすことができると思うんです。
けんせつの仕事について言えば,小さいころに「クレーン車ってかっこいい」「ダンプカーってかっこいい」というふうに思った人は多いと思うんですよね。げんが好きで土木の仕事をしている人間としては,そういうところからこの世界にきょうを持ってくれるとうれしいな,と思います。

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社/協力:一般社団法人 日本建設業連合会,戸田建設株式会社