※このページに書いてある内容は取材日(2023年09月13日)時点のものです
お客さまのご要望をお聞きして、似合うヘアスタイルを提案
私は、東京都中央区で「Hair salon BalcoNY(バルコニー)」、「Kai by BalcoNY」、「MOANA by BalcoNY」という3店舗の美容室を経営しながら、美容師として働いています。美容師の主な仕事は、髪を切ったり、染めたり、パーマをかけたりしてお客さまのヘアスタイルを整えることです。そのため、美容師はカットやパーマなどのスキルアップを図り、流行をキャッチすることが求められます。また、美容室には、日々、さまざまなお客さまが来店します。住んでいる場所や職業、好きなファッション、趣味はそれぞれ異なり、誰一人として同じ人はいません。お客さま一人一人と向き合い、「どんな髪型になりたいのか」「どんな雰囲気が好きなのか」を事前にお聞きするカウンセリングをしっかり行い、その人に合ったヘアスタイルをご提案することを大切にしています。
お客さまが喜ぶ姿が、やりがいやモチベーションに
担当したお客さまが笑顔になって帰られる姿を見ると、美容師を続けてきてよかったとうれしくなります。この思いは、美容師になりたてのころから今でもずっと変わりません。また、お客さまが心地よく時間を過ごせるように、普段から接客にも気を配っています。中でも、常に心がけているのは、自分の担当・担当外に関わらず、どんなお客さまに対しても笑顔で挨拶をすることと、お声がけやお話をするときは必ずお客さまの名前で呼ぶ「ネームコーリング」を徹底することです。これは、私が経営する美容室に勤める他の美容師にも実践するようにと、日頃から伝えています。例えば、「お客さま」と呼ばれるよりも、「〇〇さま」と自分の名前を呼んでもらった方が、親しみを感じてうれしくなりますよね。
そういったささいな気配りが、お客さまの緊張をほぐし、「居心地のよい美容室だな、また来たいな」と感じてもらうきっかけになると思っています。
美容室を経営する社長としての仕事もこなす
大切なのは、相手を思いやる気づかいと感謝の心
「利他的な思いと、愛情を」、これは私が仕事をするうえでとても大切にしている言葉です。「利他的」というのは、他人の幸福・利益のために尽くすということを指します。例えば、一緒に働く美容師が、自分の担当するお客さまが増えずに悩んでいたとします。そういったときに、自分には関係がないと思うのではなく、どうしたらその悩みを解決できるかを一緒に考えサポートする、重要なのはこういった姿勢だと思っています。お客さまはもちろん、一緒に働く仲間に対しても、惜しみない愛情をもって接することで、信頼関係を築くことができますし、結果としてそれが、仕事や職場によい影響を与えてくれると信じています。
私がこのような考えを持つようになったのは、会社を経営する父親からのアドバイスがきっかけです。私自身、美容師から経営者という立場になりいろいろと悩んでいたときに、父親から「自分がやりたいと思って美容室を開いたのだから、社長であるあなたが誰よりも働きなさい。そうすれば、その姿に感動する従業員がついてくる。そういう人たちを増やすことが、会社やお店にとって何よりもベストなことだと思う」と言われたのです。この言葉にハッとして、他人にいろいろと求めるのではなく、まずは自分が率先して動き、よりよい環境をつくることを考えようと思いました。今では、「一緒に働く従業員がいるから、美容室が経営できている」という周囲への感謝の気持ちを大切にしています。
理容師だった祖父の存在が、美容師になるきっかけに
私の祖父は地元で理容室を営んでおり、地域でも評判の理容師でした。小学生のころまでは、祖父に髪を切ってもらっていたため、お店に行くことも多く、理容師として働く祖父を近くで見て、子ども心に「かっこいいな」と思っていたことを覚えています。
その後、高校生になり、真剣に将来のことを考えなくてはいけなくなったころ、ずっと続けてきたサッカーで挫折を経験しました。サッカーの道に進むことを諦めて、他に興味があることを探していたときに、当時通っていた美容室の美容師の方を見て「美容師の仕事も面白そうだな」と思うようになったんです。そして、憧れていた祖父の存在も後押しとなり、高校卒業後は美容専門学校に行って、美容師を目指そうと決めました。
アシスタントを経て、ようやく一人前の美容師に
美容師になるには、「美容師免許」の取得が必須となります。私も美容専門学校に2年間通った後に、国家試験を受けて美容師免許を取得しました。しかし、免許を取得し美容室に就職したからといって、すぐにお客さまの髪を切れるわけではありません。美容師にはアシスタント(助手)とスタイリストと大きく分けて2つのランクがあります。まずは、アシスタントとして、お店の雑務や先輩のサポートなどを行い、営業時間外にカットやカラー、パーマなどの練習をする必要があります。数年かけてこれらの技術を習得すると、ようやくスタイリストとしてデビューし、一人でお客さまを担当することができるようになります。
また、私は美容師になったら、いつかは祖父のように自分のお店を持つという夢を持っていました。そのため二十歳のころから「いつまでに〇〇をする」といった目標や人生プランを明確に設定することを習慣にしていました。目標を達成できなければ、その原因を分析し、次につなげる。こうした自己分析や目標を明確にして行動することは、お店を持つという夢を実現させることに大きく役立ったと思っています。
サッカーの経験が、人生の糧に
小中学生のころは、学校を一度も休んだことがなく、毎日頑張って学校に行く子どもでした。それもすべては皆勤賞をもらうため。全校集会で表彰されることが、子どもながらに一つのモチベーションになっていたように思います。また、昔から活発な性格で、中学生時代は、報道委員会に所属し、お昼の放送を行ったり掲示板に貼るお知らせを制作したりといった活動も率先して行っていました。
そんな私が全力で打ち込んでいたのが、サッカーです。小学生から高校生まで、ずっと続けていました。練習漬けの毎日に、大変だなと思うこともありましたが、苦労を乗り越えながら続けたことは自分にとって大きな財産になっています。サッカーで培った「一度やると決めたことは続ける」という信念は、大人になった今なお、持ち続けています。
「続ける」ことが、夢や目標をかなえる近道
私は美容師になってからも、壁にぶつかったり、うまくいかずに落ちこんだりと、苦労や挫折をたくさん経験しています。ただ、一度も美容師をやめようと思ったことはありません。目標に向かってコツコツと続けてきた結果、自分のお店を持つという夢がかなえられたと思っています。有名YouTuberのヒカキンさんも、YouTubeが世の中に浸透する前から、動画配信をコツコツと続けて今日までやり続けたからこそ成功したと語っています。
みなさんもこれから先、人生を歩む過程で、さまざまな困難にぶつかったり、失敗したりすることもあるでしょう。ただ、そんなときこそ、簡単に投げ出したりせずに、「続けること」を選んでほしいです。それが、自分の夢や目標をかなえる何よりの方法だと私は思っています。