社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!
※このページに書いてある内容は取材日(2006年03月31日)時点のものです
雑誌(ざっし)や本,新聞やポスター,お菓子(かし)やゲームの箱など,街で見かけるいろんなものに使われている写真は,ぜんぶ誰(だれ)かがカメラでとったもので,とっている人のことを「カメラマン」といいます。新聞社などにおつとめをしているカメラマンもいますが,僕(ぼく)は,おつとめの場所を1つに決めず,毎日いろいろな会社と仕事をすることにしています。だから,新しいレストランを雑誌(ざっし)で紹介(しょうかい)するために料理の写真をとる日もあるし,スタジオという部屋で腕(うで)時計の写真ばかりとる日もあるし,海辺で芸能(げいのう)人の写真をとる日もあります。結婚式(けっこんしき)の写真をとるのもその1つです。
カメラのシャッターを押(お)すのは自分1人ですが,それまでに僕(ぼく)らはたくさんの人と話し合ったり,準備(じゅんび)をしたりします。たとえば,雑誌(ざっし)にのせるモデルさんの写真をとる時も,モデルさんはもちろん,ライトで明るく照らす係の人や,メイクさん(お化粧(けしょう)をする人),スタイリストさん(衣装(いしょう)を考える人),写真がのるページのデザインを考える人,インタビューをする人などが協力しあってはじめて1枚(まい)の写真がとれます。いろんな職業(しょくぎょう)の人と仕事ができて,仲間になれるのも,この仕事のおもしろいところです。
僕(ぼく)は,仕事以外でも,いいなあと思うものを見つけたら,写真をとっておくようにしています。いい写真がたくさんとれたら,それを集めて展覧会(てんらんかい)を開きます。展覧会(てんらんかい)に来てくれた人には,めずらしいものや景色をたくさん見せてあげたいので,ときどき外国にも写真をとりに行くのです。このまえは,2ヶ月間インドに行ってきました。僕(ぼく)は旅が大好きなので,韓国(かんこく)や,中国,東南アジアなどにもよく出かけます。
写真は,たった1度しかないできごとや,人の表情(ひょうじょう)などを記録するものです。とくに結婚式(けっこんしき)は一生に一度のことで,絶対(ぜったい)にやり直しができません。だからカメラマンは,結婚式(けっこんしき)の3ヶ月も前から,お嫁(よめ)さんたちと,どんな写真にするか何度も話し合いをしたり,結婚式(けっこんしき)をする場所を見に行って,お嫁(よめ)さんたちの顔が一番よく見える場所を探(さが)したりします。とても大変ですが,写真が出来上がって,結婚(けっこん)した2人や,ご家族がニコニコよろこんでくれると,うれしくて,疲(つか)れなんか吹き飛(ふきと)んでしまいます。写真立てに飾(かざ)って,何十年も大切にしてくれる人もいるなんて,すごいと思いませんか?他にも,ただよろこんでくれるだけじゃなくて,僕(ぼく)の写真を雑誌(ざっし)や展覧会(てんらんかい)で見て,旅に出たり,髪型(かみがた)を変えるなど,新しいことに挑戦(ちょうせん)する人がいるのも,僕(ぼく)がこの仕事を大好きな理由の1つです。人の心に残ったり,勇気をあげられる写真を,これからもとっていきたいです。
小学生のころの夢(ゆめ)はマンガ家。大学生になって,写真サークルというものに参加するまで,カメラなんて興味(きょうみ)がありませんでした。しかも,そのサークルに入った理由が,「かわいい女の子に誘(さそ)われたから」!でも,旅行の写真なんかを学園祭で発表したら,けっこうみんなにほめられて,「おれ,写真うまいかも!」って思っちゃったんですよね。で,もっとほめられたいから,いっしょうけんめい勉強して,そしたらどんどん写真が好きになって,大学を卒業するころには,カメラマンになるぞって決めてました。
僕(ぼく)は毎日,いろんな人に自分の写真を見てもらって,写真をとる仕事を探(さが)しました。なかなか見つからなかったけど,あきらめずに続けました。そうしたら1人のカメラマンさんに出会って,その人の会社で働けることになったんです。それでも何ヶ月かは手伝いばかりで,写真をとらせてはもらえませんでした。だから,はじめて,雑誌(ざっし)にのせるラーメンの写真をとった時は,本当にうれしかったです。僕(ぼく)はそうやってカメラマンになりましたが,他にも方法はあります。写真の専門(せんもん)学校に通ってからカメラマンに弟子(でし)入りしたり,大学を卒業してから新聞社などにおつとめをして写真の仕事を担当(たんとう)するなどです。でも,最初からすぐに写真がとれるわけではないのは,どれも同じ。厳(きび)しいけれど,写真が好きだという強い気持ちがあれば乗りこえていけます。
みんなのまわりにある洋服も,クルマもテレビ番組も,ぜんぶ誰(だれ)かが作っていて,その「作る」っていうこと1つ1つが「仕事」なんです。だから,自分の好きなものは何だろうって考えて,それは誰(だれ)がどうやって作っているんだろうって探(さぐ)っていけば,そこから将来(しょうらい)の夢(ゆめ)が見つかるかもしれませんよ。それから,カメラマンになってみたいと思った人は,使い捨(つかいす)てカメラでもかまわないので,今日からいろんなものをどんどん写してみてください。うまく写せたときのうれしさや,出来上がった写真を見てみんなが笑顔になる楽しさは,きっと夢(ゆめ)をかなえるためのエネルギーになるはずです。