社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!
※このページに書いてある内容は取材日(2006年10月13日)時点のものです
「生演奏(なまえんそう)を聴(き)きたいなぁ」って思うことはありませんか?実は私(わたし),いろんな場所に音楽家を派遣(はけん)して心に残る生演奏(なまえんそう)をお届(とど)けする会社を経営(けいえい)しています。学校や病院などでコンサートを開いたり,結婚式(けっこんしき)やホームパーティーに音楽家を派遣(はけん)しているんですよ。それから,音楽の家庭教師(きょうし)も派遣(はけん)しています。私(わたし)の会社に登録している音楽の先生はなんと4000人!ありとあらゆる楽器の先生がいるのです。他にも,音楽家のベビーシッターも派遣(はけん)しています。留守番(るすばん)の時間が音楽のおけいこの時間に変ります。私(わたし)は,多くの音楽家の人たちに活躍(かつやく)してほしいし,多くの人たちに良い音楽を身近に聴(き)いてもらいたい,と思って会社を経営(けいえい)しています。こういうサービスを始めたのは,私(わたし)たちの会社が初めてなんですよ。
私(わたし)は大学2年生の頃(ころ)から,インターン生としてこの会社を手伝っていたのですが,大学3年生の時に前の経営者(けいえいしゃ)の人が別の会社に移(うつ)ることになり,なんと経営者(けいえいしゃ)を募集(ぼしゅう)することになったんです。「自分が会社の経営者(けいえいしゃ)になれるチャンスなんてこの先二度とない!」と思って,思い切って応募(おうぼ)してみると,ほんとに経営者(けいえいしゃ)に決まってしまったんです。まだそのときは大学生だったのですが,学校でのあだ名が「社長」になってしまいました(笑)。
私(わたし)はまだ社員にもなっていなかったのに,いきなり会社のトップになったんです。私(わたし)が社長になったことで,これまでいろいろと教えてもらっていた先輩(せんぱい)の人たちと,いきなり立場が変わってしまったのでお互(たが)いに話しにくくなり,会社の中がぎくしゃくしてしまいました。そしてどんどん社員が会社を辞めてしまい,とうとう会社には私(わたし)一人になってしまいました。この頃(ころ)はまだ分からないことだらけだったし,ほとんど寝(ね)る暇(ひま)もなく仕事を続けていて,本当に大変な時期でした。
1日の仕事は,7時過(じす)ぎに会社に行って,メールをチェックしたり,新聞を読んで情報(じょうほう)を集めるところから始まります。毎日8時半から社員全員で勉強会をしているのですが,そこで私(わたし)が経営者(けいえいしゃ)として1つ話しをするように心がけています。話しの内容(ないよう)は,日ごろ感じていることや,お客さんからのコメントなど,いろいろですが,この時間に,社員全員と同じ気持ちを共有できたらなあと思って話しています。経営者(けいえいしゃ)の仕事は,全員で気持ちを共有することと,会社の未来を考えることだと思っています。「どうやったら皆(みな)が気持ちよく働けるかなぁ」「どんなサービスを提供(ていきょう)すれば良いかなぁ」ということを,歩いていても,トイレやお風呂(ふろ)にいても,どんな時でも考えていますね。時々(ときどき)良いアイディアが浮(う)かんだ時は,興奮(こうふん)して「やばーい!」って叫(さけ)びたくなっちゃうときもあります(笑)。この会社が大好きなんですね。普通(ふつう)の会社では,経営者(けいえいしゃ)の人が現場(げんば)に行くということはそれほどは多くないと思うのですが,私(わたし)はついつい出かけてしまいます。演奏家(えんそうか)の人たちが働いている様子を見に行ったり,新しいお客さんを探(さが)しに出かけたり・・・と,あまり経営者(けいえいしゃ)らしくないこともしていますね。
音楽家の人が演奏(えんそう)できる喜びを感じていたり,お客さんから「ありがとう!」って言ってもらった時,私(わたし)はとても幸せな気持ちになります。懐(なつ)かしい音楽を聴(き)くと,その曲をよく聞いていた頃(ころ)の思い出が浮(う)かんだり,すごく気持ちが高ぶることってありますよね。自分の好きな曲の演奏(えんそう)に対して,お客さんが大合唱したり,泣きながら「ありがとう」って言ってもらえることもあるんです。そんなとき「音楽ってすごいなあ」って演奏(えんそう)をしている音楽家の人と一緒(いっしょ)に感動しています。演奏家(えんそうか)もお客さんも幸せを味わえるって素敵(すてき)だと思いませんか?自分の会社の価値(かち)を感じて,「会社をやっていて良かった」と思う瞬間(しゅんかん)ですね。
ほんとに努力することが嫌(きら)いな子だったんです(笑)。でも好きなことにはのめりこむ性格(せいかく)でした。小さい頃(ころ)はフライトアテンダントになりたくて,そのためには英語が必要だと思って,英語の勉強にはまった時期があります。英語の歌詞(かし)が知りたくて,小学校の頃(ころ)から辞書で意味を調べたりもしていました。思い込(おもいこ)むと一直線で,想像(そうぞう)の世界に入ることが大好きでした。なりたいものにはなっている様子を想像(そうぞう)していたし,世界地図を広げてその国の衣装(いしょう)や美味しいものを見ながら,自分が行った気分になったりしていました。想像(そうぞう)することが大好きだったんです(笑)。
日本は平和な国ですが,世界では戦争をしている国がまだたくさんあって,子どもも武器(ぶき)を持って戦っていたりもしています。そんな子どもたちに,「武器(ぶき)の代わりに楽器を持たせる」ということを目指している人たちがいるんですよ。音楽は,コミュニケーションの手段(しゅだん)にもなりますし,音楽を通じてゆずり合って調和を図る心や,安定した精神(せいしん)を育むこともできます。私(わたし)は「楽器を手にする子どもは武器(ぶき)を手にしない」という言葉を聞いて,改めて1人でも多くの子供(こども)たちに音楽を届(とど)けて,触(ふ)れてもらいたい,と思うようになりました。それが,微力(びりょく)ながら私(わたし)たちの会社を通してできる平和への貢献(こうけん)だと思っています。
私(わたし)は高校生の時に留学(りゅうがく)をしました。留学(りゅうがく)したいことを母親に話したとき,「○○円以下で留学(りゅうがく)できる方法を見つけてきたら行ってもいいよ」と言われたんです。到底(とうてい)無理だと思える安い金額(きんがく)だったのですが,頑張(がんば)って調べている中で,条件(じょうけん)に合うものを見つけたんです!全てを自分で調べてからもう一度頼(たの)んだので,両親も納得(なっとく)して留学(りゅうがく)させてくれました。母親は,そんな値段(ねだん)では絶対(ぜったい)に無理だと思っていたみたいなんですけどね(笑)。皆(みな)さんは自分でやりたいことは,誰(だれ)かに頼(たの)むのではなく,自分で叶(かな)えようとしていますか?思い描(おもいえが)いていたことができた!という経験(けいけん)はとても素敵(すてき)なことです。うまくいったことで,「できる!」ということが信じられるようになります。まずは自分で何でもやってみることが大切だと思いますよ。