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1992年 生まれ 出身地 千葉県
子供の頃の夢:
クラブ活動(中学校):
仕事内容
ネイルメーカーをけいえいし、商品開発も自ら行う。ジェルネイルの開発を通して自らトレンドを作り、SNSで発信する。ネイルサロンのけいえいしゃでもあり、げんえきネイリストでもあります。
自己紹介
「みんなをきこんでいっしょに楽しいことをしたい!」がモットーです。わたしが楽しんでいると「楽しい」がれんして、周りにいる人たちも楽しくなっていくので、どんなときでも楽しむことをゆうせんしています。今はる時間をしんで、仕事もプライベートも全力で楽しんでいます。

※このページに書いてある内容は取材日(2025年01月23日)時点のものです

セルフネイルにも使ってもらえるハイクオリティなジェルネイルを作り出す

セルフネイルにも使ってもらえるハイクオリティなジェルネイルを作り出す

わたしは「énoi(エノイ)」というジェルネイルブランドと、東京のおもてさんどうにある同名のネイルサロンのけいえいしゃをしています。「énoi」とは、わたしが作ったぞうで、その単語自体に意味はありません。みんなに覚えてもらいやすく、文字にしたときにかわいく見えるように、アルファベットをランダムに組み合わせて作りました。
わたしのブランドであつかっている「ジェルネイル」というのは、ジェルじょうの合成じゅでできたネイル用品です。ジェルネイルには、ジェルをるブラシ、ジェルを固めるせんようライト、固めたジェルをけずるヤスリやネイルマシン、固めたジェルをかすようざい(アセトン)といった、せんようの道具が多いうえ、それらを使いこなすじゅつが必要です。その分、マニキュアよりもきれいでおしゃれに仕上がり、長持ちします。
énoiの主力商品は、ジェルネイルに細かいてっぷんぜこんで、これをしゃくで動かしてようを作ったり、光る位置を調整したりする「マグネットジェル」です。ほかには、カメラのフラッシュなどの強い光を当てるとはんしゃしてキラキラとかがやざいぜた「フラッシュジェル」など、少しとくしゅなジェルネイルをあつかっています。
ジェルネイルは、プロのネイリストにじゅつしてもらうこともできますし、中にはたくで、自分でジェルネイルをして(セルフネイル)楽しんでいる方もいます。そこで、わたしはハイクオリティなジェルネイルを、プロだけでなく、セルフネイルをする方にも使ってもらえるよう、商品開発からせいぞうはんばいまで行っています。

新たなトレンドになることを目指してジェルネイルを開発

新たなトレンドになることを目指してジェルネイルを開発

わたしはネイルメーカーとネイルサロンのけいえいしゃであると同時に、げんえきのネイリストでもあります。今でも土日はネイリストとして、月に50~60名のお客さまにじゅつをしています。平日はけいえいしゃとして働いているので、いそがしい日々をごしているのですが、仕事をうまく調節して、しっかり休む日も作っています。
サロンのけいえいしゃとしては、売り上げや予算の管理、サロンスタッフのじゅつチェック、さいようめんせつの部分にたずさわります。ネイルメーカーのけいえいしゃとしては、会社けいえいはもちろんのこと、商品開発とイベントのかくうんえいにも力を注いでいます。
énoiでは新商品の開発はわたしがすべて行っていますが、特にタイミングは決めておらず、新しい商品のアイデアがひらめいたら行います。わたし自身がジェルネイルのトレンドを作っていきたいので、何かほかのものを参考にするということはありません。
例えば、「今回はミルキーなカラーを使ったマグネットジェルを作ろう!」とひらめいたら、最初に行うのは、色と色をわせて新しい色を作る「調色」というこうていです。コンセプトに沿った100色くらいのカラーサンプルをせいぞう工場にらいして作ります。その中から、次のトレンドになりそうだと思える色を10~20色、わたしの直感で選びます。
だれでもきれいにかわいく完成するジェルネイル」を目指しているので、ジェルネイルのしつかんや、りやすさにもとにかくこだわります。わたしなっとくするものになるまで工場には何度も試作してもらい、最高の商品だと思えるものが完成したら、いよいよせいぞう開始となります。

SNSやイベントでénoiのりょくを発信

SNSやイベントでénoiの魅力を発信

新しくジェルネイルを発売するときに必ず行っているのが、SNSでの発信です。わたしのインスタグラムアカウントの20万人以上(2025年2月げんざい)のフォロワーのみなさんに向けてライブ配信を行い、商品のりょくとともに、「とにかく楽しみにしていてね!」という思いを伝えます。そんな思いがみなさんに伝わって、新商品の発売と同時に完売することもしばしばあります。
そして、もう一つ行っているのがイベントのかくうんえいです。多くの人にénoiのことを知ってもらうため、ネイルイベントへのしゅってんや、énoiたんどくのイベントである「énoi nail festival(エノイ ネイル フェスティバル)」を年に2回かいさいしています。このイベントはénoiの商品をちょくせつこうにゅうできるイベントであると同時に、ファンのみなさんとわたしとの交流の場でもあるので、ファンのみなさんとちょくせつお話をしたり、いっしょにチェキをったりします。毎回、ファンの方がたくさん集まってくれて、楽しくて活気のあるイベントになっています。
さらに、げんざいたいわん、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアに、énoiせいひんを仕入れて流通させるサプライヤーがいるのですが、énoiが世界でもにんされるよう、海外のネイル用品のてんかいにも積極的に参加しています。今後は活動はんをワールドワイドにかくだいさせていく予定です。

残高わずか2万円からブランドスタート

残高わずか2万円からブランドスタート

実は、énoiはしっかり事前じゅんをしてスタートしたわけではありませんでした。2021年12月に、当時、代表をつとめていたネイルサロンを急に退たいしょくせざるをなくなり、わたしのお客さまやいっしょに働いていたスタッフを受け入れるためのネイルサロンを急いで開業する必要があったのです。そこで、ジェルネイルを開発・はんばいしてサロンの開業きんを作ろう、と考えてénoiを立ち上げることにしました。
もちろん、ジェルネイルのせいぞうはんばいにもお金が必要で、そのがくは800万円以上。ただ、当時のわたしこう残高はたったの2万円で、そんな大金をすぐに用意などできません。そこで、まずは母に200万円借りて、残りのお金は銀行で借りることにしました。しかし、銀行でお金を借りるには「ちゃんと返せるみはあるのか?」「どうやって売り上げを出すのか?」といったこんきょしめさなければいけません。そのため、銀行にお金を借りるのに必要なりょうを周りの人たちの協力をて100まい以上作成し、何度も銀行に足を運んで面談を重ねました。最終的には、銀行から900万円のお金を借りることができました。
ただ、もし商品が売れなかったら、わたしは1000万円以上の借金をうことになります。周りにそんな借金をっている知人はいなかったので、「商品が売れなかったらわたしはどうなってしまうのかな……」という不安もありました。
そんな不安をかかえたまま、無事に商品を完成させ、2022年4月にénoiのつうはんサイトがオープンしました。ジェルネイルの5色セットを1セット約1万円で用意していたのですが、サイトオープン後わずか1時間で商品は完売!約2800万円の売り上げを達成したのです。借りたお金のへんさいやサロンの開業を考えると2000万円以上の売り上げが必要だったので、その売り上げを1日でクリアできたことになります。
この結果を見て、これまでの苦労や努力がむくわれたような気がして、当日のインスタグラムでのライブ配信では思わずなみだがこぼれてしまいました。

ファンのみなさんからとどくメッセージがモチベーションに

ファンのみなさんから届くメッセージがモチベーションに

初めての商品が売れた後、ブランド立ち上げの前にかかえていた不安や心配はすっかりび、商品のこんぽうや発送などでとてもいそがしい日々をごすことになりました。その後も順調にきんが集まり、2022年7月には、念願だったネイルサロンをオープンしました。
ジェルネイルの売り上げはげんざいもとても好調で、énoiの売り上げの9わりめています。「マロンマグネット」という商品を発売したときは、発売開始わずか30分で1億円の売り上げを達成したり、月の売り上げとして2億円を記録したりしたこともあります。こういうときはさすがにがります!
今のわたしつねに目標としているのは「前に発売したせいひんの売り上げをえるジェルネイルを作り出す」ことです。生みの苦しみや「前の自分をえなきゃ」とプレッシャーを感じることもありますが、そんな中でとてもはげみになっているのが、ファンのみなさんからいただくメッセージです。「今回の商品もとってもかわいいです!」「このジェルネイルはAKINAさんしか作れないです!」といった言葉をいただくと、「作ってよかった!」と心から思えるし、次の商品開発へのモチベーションにもなります。
最近では、ファンのみなさんがénoiのスタッフのことも気にかけ、おうえんしてくれることも多くなりました。わたしやスタッフのみんなでいちがんとなって作り上げているブランドなので、「みんなといっしょにブランドをげているんだ」と実感できることも、とてもうれしく感じています。

お客さまやスタッフによろこんでもらえるように

お客さまやスタッフに喜んでもらえるように

けいえいしゃである以上、今より売り上げをばしたいという目標はあります。ですが、それは自分がかせぎたいからではなく、お客さまやスタッフによろこんでもらえるようにお金を使いたいと思っているからです。
8名いるスタッフに対しては、みんなが笑って仕事ができるよう、お給料や社員旅行という形で売り上げをかんげんしています。お給料では、がんればがんった分だけたくさんのお給料をもらえる「完全あいせい」という仕組みを取り入れており、スタッフの約半数はねんしゅう1000万円をえています。また、がんっているスタッフ全員のために、600万円以上をついやしてハワイへの社員旅行をしたこともありました。
お客さまには、まずはよろこんでもらえる商品を作り上げるためにお金を使っています。お客さまが満足できる商品をおとどけできるよう、最高の商品になるまできょうせず、お金も時間も十分についやして取り組みます。また、イベントを行うときには、スムーズなうんえいをするためのじゅん、お客さまにプレゼントするノベルティのデザインや手配など、お客さまが楽しめるイベントを目指してスタッフといっしょじゅんを進めています。
このように、みんなのよろこびにつながることにお金をしまず使うために働くことを、けいえいしゃとしてのわたしのモットーにしています。

ブランドオーナーに必要なのは、「みんながよろこぶもの」を考えるじゅうなんさとなお

ブランドオーナーに必要なのは、「みんなが喜ぶもの」を考える柔軟さと素直さ

げんじつてきなことを言うと、ネイルにかぎらず、自分のブランドを立ち上げるには、たくさんのお金と、売れる商品を作り出すセンスが必要です。努力だけではどうにもならないことも多いので、だれにでもできるものではないし、決してかんたんなことではないというのが正直なところです。それでも、「がんって自分のブランドを作りたい!」とこころざす人がいたら、ブランドオーナーとして必要なのは「じゅうなんさ」と「なおさ」だということを伝えたいです。
わたしは自分のひらめきを大事にして商品開発をしていますが、「自分が好きなものを作ろう」と思ったことはないんです。いつだって、「みんなによろこんでもらえるものって何だろう?」ということを第一に考えています。だから、「自分が好きなもの」よりも「みんながよろこぶもの」を考えられるじゅうなんさと、他人の意見を取り入れるなおさは必要だと思います。

プロダンサーからネイリストの道へ

プロダンサーからネイリストの道へ

わたしは物心がつく前から、水泳やバレエなど、毎日習い事をしていました。習い事の中で特にちゅうになったのは、3さいのころからずっと続けていたダンスでした。高校時代にケガをしてしまいましたが、それでもあきらめずにダンスに取り組み、高校卒業後は社会人チームでプロのダンサーとして活動していました。全国大会でゆうしょうしたり、200以上の国が参加する世界大会で銀メダルをかくとくしたりしたほか、テレビの歌番組でアーティストの方のバックでおどったり、フロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートでダンサーとしてしゅつえんしたりしたこともあります。
一方、わたしはダンサーをしながらネイルスクールにも通っていました。おさないころからようきょうがあり、ネイルをすることも好きだったので、しゅいっかんとして始めたのです。ある日、当時通っていたネイルスクールの社長さんから「うちでネイリストとして働いてみない?」と声をかけてもらいました。そのときは「さそってもらったし、ネイリストになってみようかな」という気持ちでさそいを受け、しばらくの間はダンサーとネイリストとを両立しながらごしていました。
2つの仕事をへいこうしていくのはとてもいそがしかったうえに、ケガが悪化してダンサーを続けていくことはむずかしいじょうきょうにもなってしまい、最終的にネイリストにせんねんするという道を選びました。

今の自分が好きなことを、全力でやってみよう!

今の自分が好きなことを、全力でやってみよう!

今の自分があるのは、ようしょうから何かを無理にさせられたりすることなく自由にごせていたからだと思っています。両親の教育ほうしんもあり、昔から何かをきょうせいされることはなく、そのときの自分が好きなことに、好きなだけ取り組むことができました。
今の自分が好きなことをせいいっぱいやったほうが、自分の成長にもつながるはずです。何より、今の自分にしか見つけられない「好きなこと」もあるので、今の自分の時間を大事にごしてほしいと思います。そして、自分の好きなことが見つかったら、とにかく行動あるのみです!何事も「こういうことをしてみたいな」と思っているだけでは前に進みません。行動をするからこそ自分ののうせいが広げられるし、行動してられたけいけんしきは、しょうらいのみなさんの力になると信じています。
人生は一度きりです。みなさんも今の自分の時間を大事にして、好きなことを全力でやってみてください!

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私のおすすめ本

AKINA
私にとって初の書籍です。生い立ちから今に至るまでの道のり、プライベートのことまで、たくさん話しました。今はネイリスト、経営者、ブランドオーナーとして成功していますが、それまでには挫折や困難もありました。そんな苦しい時期のことや、それを乗り越えてきた「AKINA的思考」も書かれています。写真もたくさん入っています。本を手に取る方に、私のエネルギーを少しでも受け取ってもらえたらうれしいです。

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取材・原稿作成:棚橋 千秋(Playce)/撮影:厚地 健太郎