会社のサステナブルな活動を多くの人に伝える
私は明治グループという食品と医薬品の事業を行う会社で、グループ全体のサステナビリティ活動を推進しています。サステナビリティを日本語で言うと「持続可能性」。これから先もずっとお客さまや社会が笑顔で健康な社会であり続けるために、何が必要か、企業として何ができるのかを考えて推進していくことが大切です。
明治グループのサステナビリティ活動には、乳製品・菓子などの食品と、薬・ワクチンなどの医薬品を通して、さまざまな健康課題を解決することをはじめ、環境に気を付けた製品づくり、従業員の働き方をより良くすることなど幅広くあります。
中でも明治らしいサステナビリティ活動のひとつに、チョコレートの原料であるカカオの持続可能な調達に向けたカカオ農家支援活動「メイジ・カカオ・サポート」があります。「メイジ・カカオ・サポート」では、カカオを生産する国や地域と協力し、それぞれの地域が抱える課題解決に取り組んでいます。例えば、井戸などのインフラを整備してカカオ農家の生活環境をより良くしたり、環境によい農法で高品質なカカオをつくるための研究を農家と共同で行ったりしています。このように明治グループに関わる全ての人や環境、社会が幸せになるよう、持続可能な社会の実現に貢献したいと考えています。
社内でのサステナビリティへの意識を高める
明治グループにはたくさんのグループ会社があり、それぞれさまざまなサステナビリティ活動に取り組んでいます。ですが、同じ会社で働いていても、ほかの部署がどのような活動をしているのかを知らなかったり、自分たちの仕事が社会課題の解決に貢献していると気づいていなかったりすることも多々あります。 そこで私たちの部署では、サステナビリティへの理解を深めてもらうために、社会課題の解決につながる具体的な事例をひとつの冊子にまとめて従業員に配布したり、社員向けの講習会などを行ったりしています。そうした取り組みを通じて、これから持続可能な社会を作っていくために何ができるのか、一人ひとりが「自分ゴト」として考えるきっかけになればと思います。
社外に会社の取り組みを発信する
一方で、社内だけでなく社外の方々に明治グループのサステナビリティ活動を知ってもらうことも、とても重要です。そこで、HP(ホームページ)やパンフレットなどで私たちの活動を紹介し、たくさんの人に知ってもらえるように積極的に発信をしています。また、SDGsを学ぶ授業の一環で、明治グループの取り組みを知りたいという学校からのリクエストにお応えして、学生のみなさんにお話をすることもあります。
サステナブルな考え方や行動は、これからの社会には必要不可欠なことです。しかし、これらを伝えようとすると「難しい話」「一部の人がやること」と受け止められてしまうこともあります。ですから、社内にも社外にも「わかりやすく、自分ゴト化できるように伝える」ということがとても大切になってきます。そのために、相手によって伝え方を工夫するようにしています。
仕事をしていて一番うれしいのは、そうして試行錯誤して作った冊子や講習会を見てくれた人から「サステナビリティのことがよくわかった」と言ってもらえたときですね。ポジティブな声をもらうことが、大きな励みになっています。
出勤は週2日ほど。在宅勤務で子育てと両立
毎日の仕事は、講習会の資料作りや、原稿の作成・確認などのデスクワークから、社内外の方との打ち合わせ・会議などが中心です。新型コロナウィルスの影響で、今は打ち合わせをオンラインですることがほとんどです。
明治では「フレックス勤務」といって、決められた時間の範囲内で、勤務時間を自分で選ぶことができます。また、在宅勤務もできるので、会社に出社するのは週2日ほどです。今は子育て中なので、子どもを保育園に預けてから出社したり、少し早めに自宅で仕事を始めたりする日もあります。その時々、自分のペースで仕事をする「時間」と「場所」を選べるおかげで、仕事と家庭を両立しやすくなりました。
在宅勤務では資料作成などのデスクワークを中心に行い、出社するときはできるだけ人と直接会ってやった方がよい仕事をするようにしています。在宅勤務は子育てしながら働きやすい制度ですが、仕事の優先順位を自分でしっかり決めて計画的にすることは、これまで以上に大切になってくると感じています。
自然豊かな北海道で遊びと好きなことに熱中
私は子どもの頃 から、机に座って勉強するのはあまり得意ではありませんでしたが、家族でキャンプをしたり、釣りをしたり星を見に行ったりするなど、教科書に書いてあることを実際に見たり体験したりする中で学んでいたことが多かったと思います。今の自分の仕事への向き合い方は、そういう子ども時代からの影響も大きいかもしれません。 小学校から高校までは北海道で育ち、自然に囲まれて外で元気に遊ぶのが大好きでしたね。子どもの頃から水泳と習字を習っていて、中学まで続けた水泳では競泳選手としてさまざまな大会にも出場しました。少しでもタイムを縮めるために練習を重ねて、大会で全力を出し切るという経験は、大人になっても自分の力につながっていると思います。 水泳と同じく習字もずっと続けていて、高校では書道部に入部。中学までは字を美しく書く「習字」をやっていましたが、高校からは芸術としての「書道」をやるようになって、「習字」と「書道」では美しさの基準が違ったので、それも面白かったですね。大会前には放課後毎日書き込んで作品を作り上げていくのですが 、それ以外の時はみんなで漫画を読んでいることも多かったです(笑)。
大学時代のアルバイトで「ものを売る」楽しさを体験
大学では法学部に進み、勉強と遊びに充実した毎日を過ごすようになります。中でも、ドラッグストアでのアルバイトが、今の仕事に進むきっかけのひとつとなりました。ドラッグストアでは、アルバイトながら商品を棚に並べる仕事も担当。自分が「こんなふうに売りたい」と考えて、商品をどう並べるかで、売れ方が違ってくるのがすごく面白かったです。 ドラッグストアには明治をはじめいろいろなメーカーの営業の方が商品を案内していて、お客さまに商品を買ってもらうにはどうしたらいいかなどをお店の人と相談している様子をよく見かけました。そんなふうに働く姿を見て、「営業って面白そうだな、やってみたい」という思いにつながり、明治を志望する理由にもなりました。
「私だからこそできる仕事をする」ことを大切に
大学卒業後、明治に入社してからはお菓子の営業として、スーパーなどの大型店舗への営業や、 全国の営業活動をサポートする部署など、お菓子を販売する「営業職」を約10年間経験しました。
その後、子どもの妊娠・出産で育児休暇を取り、復帰後は明治グループをまとめる明治ホールディングスに異動。総務 の部署などを経験して、2018年から今のサステナビリティ推進部の一員として働いています。
このように、同じ会社の中でも営業や総務、サステナビリティというように、いろいろな仕事をしてきました。その中で、いつも大切にしてきたのは、私だからこそできる仕事をすることです。これまでの経験や知識を糧に、私なりの売り場提案やプレゼンでのコメント、お客さまや社内の人とのコミュニケーションを意識してきました。そうして出来上がった売り場が売上につながることや、ホームページや冊子を評価していただくことは、大きな達成感と自信につながります。
想像力を持つことが未来をよりよくする原動力に
「サステナブル」や「SDGs」は今の時代を象徴するキーワードで、世の中の関心も高い分野です。注目が集まるだけにやりがいがありますし、それを伝えていく責任感も感じています。みなさんの中には、将来は社会貢献に関係する仕事をしたいという人もいると思います。社会貢献といってもいろいろな働き方があって、私のようにメーカーの会社員としてサステナブルな活動を発信するのも、そのひとつです。
将来、どんな仕事をするにしても、今のうちから「想像力を働かせる」ことは大切にしてほしいと思います。例えばスーパーでチョコレートを買うときに、「このチョコレートはどうやってできているんだろう?」「誰が作っているんだろう?」と想像することは、チョコレートの向こうにあるたくさんのことを知ったり、理解するきっかけになったりします。そして、それは「誰かへの思いやり」や「共感」にもつながっていくでしょう。
大人になるとつい「こうだからこう」と常識で考えがちですが、子どもの頃から想像力を養い続けたら、自由な発想で問題を解決する方法を見つけられるかもしれません。それが人と人のつながり、社会、環境など、自分や地球の未来をよりよくする原動力になっていくと思います。