仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1994年 生まれ 出身地 東京都
太田おおた 奈々海ななみ
子供の頃の夢: バレエダンサー
クラブ活動(中学校): 箏曲部
仕事内容
フェンシング日本代表チームの目標を達成するために,せんりゃくデータをしゅうしゅうぶんせきし,選手とコーチをサポートする。
自己紹介
ずっとクラシックバレエを習っていたこともあり,けずぎらいで,チャレンジすることが好き。休みの日はヨットに乗るなど,体を動かしてリフレッシュしています。好きな言葉は「No pain, No gain(いたみなくして得るものなし)」と「向いている方が前,進んでいるのが道」。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2018年09月26日)時点のものです

データをしゅうしゅうぶんせきして選手とコーチをサポート

わたしは,フェンシング男子エペ日本代表のスポーツアナリストです。選手やチームの目標を達成するために,せんりゃくデータをしゅうしゅうぶんせきし,選手とコーチをサポートする仕事です。
スポーツアナリストは,日本では10年ほど前から知られるようになったしょくぎょうで,サッカー,ラグビー,バレーボール,バスケットボール,バドミントン,水泳など,はばひろきょうかつやくしています。プロスポーツや世界大会などトップ選手が集まるげんでは,データをもとにしてせんりゃくを立てることがじゅうようされており,スポーツアナリストの果たすやくわりはとても大きなものになっています。

試合の動画をさつえいしてデータ化

フェンシングには「フルーレ」「エペ」「サーブル」という3つの種目があり,その中でわたしは「エペ」をたんとうしています。けんで相手の体をさい,ポイントを得られるゆうこう面が種目によってことなります。エペの場合,頭のてっぺんからつま先まで,全身がゆうこう面となっています。
わたしの仕事は,動画で試合をさつえいするところから始まります。試合後,動画をパソコンにみ,せんようのソフトウェア「スポーツコード」を使ってプレーをデータ化します。具体的には,いつ,だれが,どこで,何をしたのか,それによって得点したのか,それとも失点したのか,プレーの1つ1つに目印となるタグをつけていきます。データ化することで,選手の得意なこと,苦手なこと,試合運びのくせなどのプレースタイルがあぶり出されていくのです。

最初は選手に協力してもらっていた

エペという種目のルールはとてもシンプルです。とはいえぶんせきすべきデータはほうで,たとえばこうげき手法だけで17種類もあるのです。データをまとめるさいのがしなどがないよう注意をはらっています。以前は,動画を見てもそれがこうげきなのかフェイントなのかはっきりとわからないときもあり,選手に見てもらってはんだんするようにしていました。また,とくしゅこうげき手法やけんの使い方など,せんもんてきなことは本やネットで調べてもわからず,選手から教わることがたびたびありました。
最近は試合をれたおかげで,スムーズに作業を進められます。れないうちは20分の動画にタグづけするのに1時間以上もかかっていましたが,いまでは30分ほどでデータをまとめられるようになりました。

選手にデータを活用してもらうために

スポーツアナリストの仕事はデータを集めてぶんせきするだけではありません。そのじょうほうを選手やかんとくに役立ててもらうために,わかりやすく伝えなければなりません。わたし自身はフェンシングのけいけんがないため,選手にじょうほうをわかりやすく伝えるのにとても苦労しました。
選手によっては「気合いと感覚でやるから」と,データを当てにしない人もいます。そうした選手に「かならず役立つから」と,いきなり数字だけしめしても,なかなか聞き入れてもらえません。この選手にはこういうタイミングで伝えたらいいかな,こんなふうに説明すればきょうをもってもらえるかな,といったことを考えつつ,選手とせっするようにしています。
いちばんいいのは,選手のほうから「最近勝てないんだけど,こんなデータはないかな?」と声をかけてもらえるようになることですね。データの説明をするときは,選手の頭がデータでいっぱいになってしまう場合があるので,じょうほうにならないよう気をつけています。

選手とコーチをつなぐ役目

仕事をするうえでいちばん大切にしているのは,選手やコーチとの関係を大事にすることです。選手やコーチには,それぞれ思っていることを相手にうまく伝えられないケースがあります。そこでわたしが選手とコーチの間に入り,相談役になることを心がけています。選手がコーチに言えないことをだいべんしたり,コーチが考えていることを選手にわかりやすく伝えたりして,両者をつなぐこともわたしの役目だと思っています。

勝利がいちばんうれしい

いちばんやりがいを覚えるのは,わたししゅうしゅうぶんせきしたデータが選手の役に立ったときです。データを参考にした選手が,「こう戦おう」と思った通りにプレーできて,それが勝利につながったときには,わたし自身,とても大きなやりがいを感じます。に対戦して負けてしまった国との対戦前には,とくに念入りにじゅんを行います。選手といっしょに動画やデータをぶんせきしてたいさくを練り,努力が実って勝利できたときは本当にうれしいものです。

大学のじゅぎょうがきっかけに

わたしは大学までクラシックバレエをしていました。バレエの世界はきびしく,ケガをしたダンサーは退たいだんせざるを得ないということがよくあります。大学ではかんきょうじょうほう学部という学部で学んでいたのですが,自分のダンサーとしてのけいけんと,大学で学んだデータぶんせきかいせきしきを生かし,選手の調子を管理して,コーチとの間に立つ仕事ができないかと考えるようになりました。
そんなころ,日本スポーツアナリスト協会理事のようへいさんが「スポーツのデータサイエンス」というじゅぎょうのゲストで来られて,お話を聞く機会があったのです。そこで初めてスポーツアナリストという仕事を知りました。「これこそわたしのやりたかった仕事だ」と思い,じゅぎょうが終わったあとにさんに気持ちを伝え,フェンシング日本代表のデータぶんせきを手伝うことになったのです。

学校のじゅぎょうしんけんに取り組もう

みなさんの中には学校での勉強に対して,「どうして,いまこれをやらないといけないんだろう? これがいったい何の役に立つんだろう?」と思っている人もいるでしょう。でも,しっかり集中して勉強できるのは,学校へ通っている間だけです。どの科目にもな学びはありません。学校の勉強をしっかりすることで,仕事をせんたくするときに「この仕事には,あの学びが生かせるかも」とはんだんできるようになるのです。しょうらいゆめすでにある人はもちろん,まだ決まっていない人も,どうか学校の勉強にしんけんに取り組んでください。

ファンすべてを見る

(千葉県 小6)
(京都府 中1)
(北海道 小6)
(富山県 小6)
(沖縄県 中1)
(大阪府 中2)
※ファン登録時の学年を表示しています

私のおすすめ本

重松 清
「友だち」ってなんだろう,友だちの言う「みんな」ってなんだろう。誰もが一度は迷い悩んだ「友だち」に関することが,登場人物である小中学生のいろいろな立場で書かれている本です。友だちとの向き合い方をこの本で学んだ気がします。
取材・原稿作成:東京書籍株式会社