仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1971年 生まれ 出身地 千葉県
どうぶつえんしいくがかり動物園飼育係
八坂やさか 圭悟けいご
子供の頃の夢: 発明家
クラブ活動(中学校): 軟式テニス部
仕事内容
野生動物のいくたずさわりながらどうぶつえんのさまざまなやくわりを担っています。
自己紹介
楽天的なせいかくなのですが,動物をうならこのぐらいゆるい方がよいと思っています。休日は家族と休みが合えば遊びに出るようにしています。

※このページに書いてある内容は取材日(2017年04月24日)時点のものです

どうぶつえんの使命をささえる仕事

動物園の使命を支える仕事

どうぶつえんには,4つの大切なやくわりがあります。希少種をはじめとしたさまざまな動物をはんしょくさせ,する「種のぞん」。イベントやガイドを通して,子どもたちやいっぱんの方に動物のせいたいしょうかいし,動物たちが生息するかんきょうかいしてもらう「かんきょう教育」。えん内だけでなく,時にはフィールドにも出て動物のせいたいをくわしく調べる「調ちょう・研究」。そして,遊びに来た方に,動物とふれあいながらどうぶつえん全体を楽しんでもらう「レクリエーション」としてのやくわりです。
わたしは,東京都の動物どうぶつこうえんいくがかりとして,野生動物のいくたずさわりながらこれらのやくわりになっています。動物どうぶつこうえんいくがかりは,大きく2つに分かれます。ゾウやキリンなどの大型動物のれ管理をチームでたんとうする場合と,タヌキやイノシシなどの小型動物をじんで何種類もたんとうする場合です。わたしは,以前は小型動物のたんとうでしたが,げんざいはチーター,ライオン,サーバルを4人チームでたんとうしています。たんとう動物は数年でわることが多いのですが,チンパンジーや象など,人間としんらい関係をきずいていくまでに時間がかかる動物は,同じ人が長期間たんとうすることが多いけいこうにあります。

いくがかりの一日

飼育係の一日

わたしたんとうしているライオンを例に,いくがかりの一日をしょうかいします。始業は8時半ですが,毎日やることがたくさんあるので,8時前からる人も多いです。最初の仕事は,ライオンの健康チェック。わたしたちいくがかりたくした後の夜間は,ライオンたちだけでごしているため,何かへんはなかったかかくにんする必要があります。ちゃんとエサを食べているかふんじょうたいを調べ,けんかをしていないかボディーチェックします。
そのあと,ライオンをじゅうしゃの外に出して公開するのですが,全頭出すわけではありません。ライオン一頭一頭のじょうたいを見て「今日はどのメンバーにしようか」とチーム内で考え,ひんぱんに組み合わせを変えているのです。外に出したら,じゅうしゃそうしたり,エサをつくったりします。特にエサは一頭ずつメニューがことなります。体が弱っているライオンにはエサを小さくきざんであげるなどのふうもしています。また,来えん者に向けたトークイベントやじゅうしゃのメンテナンス作業等色々なぎょうをするうちにあっという間に夕方になり,ライオンたちをじゅうしゃもどします。いっぱんてきに動物をじゅうしゃの外に出したりしゅうようしたりするときはエサを利用してどうさせますが,ライオンの場合は2日に1回,エサをあたえるので,エサのない日は夕方帰ってこないことが多く,ジープで追って入舎させることも少なくありません。そして最後ににっの記入と集まったデータの整理等をして一日の仕事がしゅうりょうします。

どうぶつえんいくがかりになるには

動物園の飼育係になるには

わたしは,もともと動物にたずさわる仕事にきたいと考えていました。でも,今とちがってインターネットが発達してない時代だったので,かんたんに調べることもできず,どうすればなれるのか分かりませんでした。当時,いくがかりというしょくぎょうは広く知られていなかったのです。
いくがかりになる人は,せんもん学校や大学,大学院で動物やちくさんについて勉強していることが多いです。わたしも農学部の生物生産学科で学んだあと大学院へ進みはんしょく学の研究をして,「ちくさんしょく」というしょくしゅで東京都にしゅうしょく。何らかの形で動物に関われるだろうと考えてのせんたくでしたが,幸運なことに,都がうんえいする動物どうぶつこうえんはいぞくされたのです。
動物どうぶつこうえんは,うえどうぶつえんかしらぜんぶんえん西さいりんかいすいぞくえんいっしょに10年ほど前からこうえきざいだんほうじん東京どうぶつえん協会というしきうんえいするようになりました。今では,えんいくがかりになるにはこの協会のさいよう試験にごうかくしなければなりませんが,方法がめいかくになったことで,いくがかりになりたいというゆめめいかくに持つ人が集まりやすくなったと思います。ばいりつはとても高くせまき門ですが,各地からゆうしゅうな人材が集まってきます。
いくがかりさいよう方法は各どうぶつえんによってことなります。

日本の希少動物を守るしくみ

日本の希少動物を守るしくみ

動物どうぶつこうえんでは最近,チーターのはんしょくに成功しました。はんしょくが成功するかどうかの1つにたい間のあいしょうがあります。動物どうぶつこうえんのチーターは,しばらくはんしょくせず,かべにぶつかっていました。チーターの場合,かんきょうを変えることで成功しやすくなるといわれており,数年前から,他のどうぶつえんとチーターをこうかんしようと計画していたのが今回2頭のオスのこうかんじつげんしたのです。これまでとは別のオスがやってきたところ,2週間ほどでメスのはつじょういたり,はんしょくに成功しました。
希少動物のぞんは,どうぶつえんになう大切なやくわりの一つです。実は,わたしたちが他のどうぶつえんの力を借りたように,日本のどうぶつえん全体でたがいに助け合いながら動物を守っています。その一方で,種ができるだけ長くそんぞくするよう,むやみにはんしょくさせるのではなく,でんてきはいけいこうりょした計画的なはんしょくを行なう必要もあります。
こうした希少動物のはんしょく管理は,各どうぶつえんがばらばらに進めているわけではなく,こうえきざいだんほうじん日本どうぶつえんすいぞくかん協会(JAZA)というしきが管理しています。チーターやレッサーパンダ,象などの種別に「はんしょくけんとう委員会」がもうけられ,全体のでんてきはいけいこうりょしたはんしょく計画や,動物のこうかんなどを調整しているのです。

動物のりょくをわかち合う喜び

動物の魅力をわかち合う喜び

この仕事のいちばんらしいところは,動物ににちじょうてきに関われることです。希少動物やだん見られない動物のいくたずさわることもでき,ほんのうてきな喜びを感じます。そんな自分の思いが,来えんされた方にもうまく伝わると,喜びを共有できたようでいっそうやりがいを感じますね。
あくまでわたしの感覚ですが,来えん者のみなさんは,らくとして遊びにる方が多いのだと思います。以前,「いくがかりとお話してみよう」というイベントをかくしたことがあり,参加者から色々なしつもんが出るだろうと思ってじゅんしていたのですが,じっさいには,それほどんだしつもんはありませんでした。せんもんてきしきを求めてどうぶつえんおとずれるわけではないと気がつきましたね。それと同時に,いっぱんの方にも動物のさまざまなしゅうせいを知ってもらえるよう,きょうきやすいないようで分かりやすくお話しすることをしきするようになりました。

動物のいくは毎日が発見の連続

動物の飼育は毎日が発見の連続

ある動物について知りたいと思いかんを開くと,「この動物はこういうせいしつだ」と書いてあります。でも,じっさいは,たいによってせいかくや行動が全くちがいます。これまで色々な動物をたんとうしましたが,毎日いくをしてはじめて知ることばかりでした。
たとえば,先ほどのライオン。「れで生活し仲が良い」と思われがちですが,ごろからいがえないんです。このえんには,オス3頭とメス9頭のれのメンバーがいます。メスは,はつじょうにオスを引きつけることができると,れの中での地位が上がり,だん自分をいじめていた相手に仕返しをすることがあります。でも,約1週間のはつじょうが終わり,オスがはなれていったあとは,他のメスたちからふたたびいじめられてしまいます。かぎられたスペースでいくしているどうぶつえんでは放置していると大きないたることもあるため,わたしたちがつねかんする必要があるんです。ライオンをじゅうしゃの外に出すときは,はつじょうの時期もこうりょして綿めんみつに組み合わせを考えます。「ガウッ」とえる声が聞こえたら一目散にかんしつへ飛んでいきます。きゅうけいのときも,必ず一人は,ご飯を食べながらそうがんきょうでライオンたちを見守っているんですよ。けんかが起こってしまったら,まずは声をかけたり水をかけてなだめたり,それでもおさまらなければジープでって入って止めます。
げんざい,ライオンの放飼場は工事のためしゅくしょうされています。

自分のゆめを追い続けよう

自分の夢を追い続けよう

どんなことでも「ぜったいにこうでないといけない」という決まりはないと思います。「他の人とちがってしまうから」という理由で,好きなことをあきらめる必要はどこにもありません。自分のゆめを持ち続けることがいちばん大切です。
世の中はきびしい面もあり,なんでもうまくいくわけではありません。ゆめや目標になかなかとうたつしないこともあると思います。でも,たとえ失敗することがあっても,前向きな気持ちを持ち続けて進んでほしいと思います。

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私のおすすめ本

子どもの頃なぜか一番好きだった本。現在は私の子どもとこのアニメを見ていますが,テンポが良く,前向きな姿勢に癒されます。

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社