仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

神奈川県に関連のある仕事人
1978年 生まれ 出身地 兵庫県
七理しちり 義明よしあき
子供の頃の夢: ホテルマン
クラブ活動(中学校): 野球部 ソフトテニス部
仕事内容
ぼうさいをテーマに、いきのみなさんと取り組む教育かくうんえいする。
自己紹介
スポーツでは、草野球の選手としてプレーする一方で、少年野球のコーチもつとめています。また、自然を相手にしたしゅとして、おきいそや船の上からのりを楽しんでいます。った魚をいかにしんせんでおいしく食べるかを追求し、さまざまな加工法やぞんほう、レシピにもちょうせんしています。

※このページに書いてある内容は取材日(2025年07月25日)時点のものです

「はまっ子ぼうさいプロジェクト」でよこはまの街を守る

「はまっ子防災プロジェクト」で横浜の街を守る

わたしかぶしき会社ペガサスで「はまっ子ぼうさいプロジェクト」のプロデューサーとして働いています。かぶしき会社ペガサスは、ぼうさい用品のせいぞうはんばいぼうさい教室、ぼうさいプロジェクトのうんえいなどを行うぼうさい事業と、さまざまなぎょうや、自治体かららいを受けて、ウェブサイトやパンフレット、ポスターなどを作るせいさく事業を手がけています。会社では、印刷物のレイアウトやデザインをパソコン上で行うへんしゅうDTP(デスクトップパブリッシング)をたんとうする人、ウェブサイトを作る人、動画さつえいをする人など、計13人の社員が働いています。
「はまっ子ぼうさいプロジェクト」とは、神奈川県よこはまに住む全ての中学生が3年間を通してわかりやすくぼうさいを学ぶことを目指して、2022年からよこはまいっしょに行っているぼうさいプロジェクトです。かくせいさくうんえいわたしたちが行い、うんえいぎょうからきょうさんをいただいて成り立っています。学習のじくとなるのは、よこはまかんしゅうの「はまっ子ぼうさいガイド」という教材です。全3章からこうせいされており、じゅぎょう内でちょうする3話こうせいの動画「はまっ子ぼうさいアニメーション」と合わせて、1章を1年次に、2章を2年次に、3章を3年次に使用する想定です。

「自助」「共助」の力を身につけてほしい

「自助」「共助」の力を身につけてほしい

「はまっ子ぼうさいガイド」はそうごうてきな学習の時間で使われたり、なん訓練の時間に使われたりするなど、学校によって使用方法はさまざまです。1、2年次で使用する章には理科単元、3年次の章には道徳単元に関連するないようみ、いろいろな方向からぼうさいが学べる仕組みにしました。先生方がじゅぎょうあつかさいは「先生用ガイドかいせつしょ」で下調べの時間をたんしゅくできるようにふうしています。
そのほかにも、住んでいる場所のさいがいリスクを調べられる「はまっ子ぼうさいMAP」や、例えばコンタクトレンズや薬など、自分のために自分で選んだちくひんしゅうのうできる「はまっ子ぼうさいBOX」、使い方を練習できる「じょうようトイレ」といったアイテムがあり、合わせて6つのアイテムがよこはまの中学1年生にはいされています。市の中学1年生全員がたいしょうで、約150校、26,000人にはいされています。
中学生のみなさんにはこのプロジェクトを通して、自分で自分の身を守る「自助」の力と、周りの人たちと助け合う「共助」の力を身につけてほしいと思っています。そうすることで、いざというときに自分たちの住む街を守れるようになるのです。

はじまりはぼうさいライト

はじまりは防災ライト

もともと、わたしたちの会社では、ないぞうのマグネシウム電池と水の化学はんのうを使って点灯させるぼうさいライトの開発とはんばいを行っていました。どこかでさいがいが起こったときには、ぼうさいライトを買う人がえ、売り上げがびました。しかし、時間がたつにつれてさいがいへの関心がうすれてしまうと、ぼうさいライトをわざわざ買おうという人はってしまいます。
そこで、もっと多くの人に商品を知ってもらうためによこはまぼうさいイベントに参加しました。イベントに参加して、ぼうさいに関心があるのは年配の人がほとんどで、小学生や中学生などのわかい人たちはぼうさいにあまり関心を持っていないことに気がつきました。よこはまは人が多く、にぎやかで楽しい街です。でもさいがいが起こったとき、人口の多さは重大ながいを引き起こすげんいんにもなります。そのようなことにならないためには、わかいうちからぼうさいしきをしっかり身につけておくことが大切です。そう考えたわたしは、ぼうさいライトもぼうさいへのしきも広められるようにと「はまっ子ぼうさいプロジェクト」をかくしました(なお、プロジェクト当初はぼうさいライトをはいしていましたが、げんざいじょうようトイレにへんこうしています)。
わたしは兵庫県こう出身で、高校1年生のときにはんしんあわだいしんさいけいけんしています。当時のわたしぼうさいに全くきょうがなく、しきもなかったのですが、周りのさんじょうきょうを見て「ぼうさいについてのしきはあったほうがよい」と実感しました。このけいけんも、プロジェクトを立ち上げる理由の一つとなりました。

関わる人全員にメリットがあるプロジェクトを

関わる人全員にメリットがあるプロジェクトを

「はまっ子ぼうさいプロジェクト」は2020年から動き出しました。まずはよこはまの市民向けに配られているぼうさいけいはつさっを参考に、「これを中学生に伝えるにはどうすればよいか」ということを考えて、かくこうせいを練りました。そして、でき上がったものをよこはまに持っていって、「こんなプロジェクトを始めませんか」とていあんしました。
よこはまにはぼうさいしきちくせきされ、協力してくれるぎょういきこうけんでき、中学生はぼうさいの学習が受けられるという、関わる人全員にメリットがあるかくみとめていただき、プロジェクトがスタートすることが決まりました。
そのときプロジェクトにたずさわっていた社員は4人でした。ガイドのくわしいないようやアニメーションのストーリー決めは、ほんてきわたし中心でたんとうしていたのでとても大変でしたが、「形にすればよこはまぼうさい教育にこうけんできる」との思いでいっしょうけんめいがんりました。ほかの社員たちにも「いつか人の命をすくうかもしれないプロジェクトだよ」と声をかけるなど、モチベーションを高くたもって取り組んでもらえるようふうしました。

中学生が関心を持ってくれる教材を作る

中学生が関心を持ってくれる教材を作る

中学生にぼうさいしきを広めるためには、きょうを持ってもらえるようなふうをする必要がありました。そこで思いついたアイテムの一つが、「アニメーション」です。「はまっ子ぼうさいガイド」だけで学習を進めるのではなく、えいぞうも使ってさいがいおそろしさやじっさいげんの空気感をわかりやすく学ぶことができる仕組みにしました。
ときには、中学生のみなさんからもらったアンケートから、もっとよいプロジェクトにするためのヒントをもらうこともあります。例えば、「もっといろいろなじょうほうを知りたい」という意見を取り入れ、文字をさらに小さくしてよりくわしいじょうほうを「はまっ子ぼうさいガイド」にせることにしました。
こうして、さまざまなふうを重ねた「はまっ子ぼうさいプロジェクト」に中学生のみなさんがきょうを持ってくれたときは、達成感があります。あるしゃの方から、「子どもがうれしそうに持って帰ってきました」とのお言葉をいただいたときは、とてもうれしかったです。

大変なのは協力してくれるぎょうを集めること

大変なのは協力してくれる企業を集めること

プロジェクトを進める中で一番大変なことは、「きょうさん」という形でプロジェクトに協力してくれるぎょうさがすことです。そのために、毎日ちがぎょうに「はまっ子ぼうさいプロジェクト」についてお話ししています。り間近は、多いときは10時、13時、16時にアポイントメントを入れて、一日に3けんぎょうほうもんするのがルーティンになります。相手に伝わりやすいようにプロジェクトについて細かくプレゼンテーションしたり、生徒のみなさんからのアンケート結果を見せたりして、熱を入れて説明しています。特に、そのぎょうが「はまっ子ぼうさいプロジェクト」に協力するメリットや、そのぎょうだから作れるぼうさいめんについて強調してお伝えします。
みなさんさまざまな理由できょうさんを決めてくれていますが、一番多いのは「地元であるよこはまこうけんしたい」という理由です。きょうさんしてくれるぎょうは、1年目は63社、2年目は114社、3年目は163社、4年目の今年は181社にまでえました。

一人一人のやる気を引き出せるようなリーダーを目指す

一人一人のやる気を引き出せるようなリーダーを目指す

げんざい「はまっ子ぼうさいプロジェクト」にたずさわる社員は10人にえました。よこはまでのじっせきまえて、同じ神奈川県のふじさわや東京都しながわなど、ほかのいきにも同様のプロジェクトが広がっていて、さまざまないきに役に立つものをゼロから作り上げるこの仕事に、とてもやりがいを感じています。
プロデューサーとして、「はまっ子ぼうさいプロジェクト」のチームをまとめる上で心がけていることは、自分からそっせんして仕事をすることです。リーダーが一番仕事をがんることで、周りの社員が「わたしがんろう」という気持ちになってくれます。
最近はマネジメントも行っています。マネジメントとは、会社にいる社員全員の力をさいだいげんに引き出すために、働きやすいかんきょうを整えたり、だれにどのやくわりぶんたんすればよいか考えたりするやくわりのことです。ただを出しているだけでは、社員とのよい関係はつくれません。一人一人に楽しく前向きに仕事をしてもらうこと、会社を好きになってもらうことを大切にして、日々、社員とのコミュニケーションをとっています。動画を見たり本を読んだりして、よりよいマネジメントができるように勉強している最中です。

活発でこうしんおうせいだった子ども時代

活発で好奇心旺盛だった子ども時代

子どものころは、周りの大人たちから活発な子と言われていました。運動しんけいがいいほうで、運動会に力を入れたり休み時間に中心となってドッジボールをしたりしているような子どもでした。中学校でやる体力そくていでは運動部のしゅしょうレベルの同級生に交ざりながらも、そうごう結果で毎回必ずどうしょうはもらっていたことを覚えています。
小学3年生から中学1年生までは野球をやっていました。全てのスポーツに共通するようなほん動作をしゅうとくしただけではなく、コミュニケーションのうりょくや不利なじょうきょうでもめげないせいしんりょくあいさつや会話のマナーなどを教えてもらいました。これらのスキルは、社会で働くようになってからも役に立っています。
野球以外で今につながっていることは、一つ一つの物事をきょうぶかとらえて、自分なりに調べるしゅうかんです。関西出身だからかもしれませんが、何事も細かくぶんせきして「いかにおもしろい笑い話にするか」をつねに考えていました。いわゆる「ネタを作る」というものです。このテクニックは「はまっ子ぼうさいプロジェクト」で、中学生にきょうを持ってもらえるようなひょうげんこうせいを考えるときに役立ちました。子どものころに何気なくやっていたことで身についた力が、大人になった今にも生きていると感じています。

たんきゅうしんわすれずにたくさんのことにきょうを持ってほしい

探究心を忘れずにたくさんのことに興味を持ってほしい

みなさんには、たんきゅうしんを大切にしてほしいと思います。自分がきょうを持ったことをふかりして調べることで、大人になったときの引き出しがえるはずです。しょくぎょうについても、同じことが言えます。身の回りのことに対して、「これができ上がるまでにどんな仕事が関わっているのだろう」などと考えてみるとよいと思います。だんから「しょくぎょうアンテナ」を立てて、なるべく多くのしょくぎょうを知ることで、しょうらいせんたくが広がります。今はテレビやインターネットから多くのじょうほうることができる時代です。ぜひ、たんきゅうしんを持ってにちじょう生活のふとした不思議をふかりしてみてください。

私のおすすめ本

司馬 遼太郎
明治維新から日露戦争までの時代を舞台に、当時の日本人の強さや優しさ、そして彼らの考え方や人間関係の深さが丁寧に描かれた作品で、私の中で特別な一冊です。「今どき」の価値観と向き合うとき、自分の若いころと、この作品の時代を比較して考えることが多くあります。
百田 尚樹
戦後の日本を舞台に、石油業界に挑む経営者と社員たちの団結や情熱が描かれた作品です。マネジメントを行う立場となった今、経営とは何か、仲間とどう向き合うべきかを考える上で、参考にしている一冊です。

もっと知りたいこの仕事人

取材・原稿作成:八木 さらり(Playce)・東京書籍株式会社/協力:横浜銀行