仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1999年 生まれ 出身地 山梨県
飯野いいの 美貴みき
子供の頃の夢: OL
クラブ活動(中学校): 家庭科部
仕事内容
ジェラートを作ってはんばいし、けいえいしゃとして仕事をする。
自己紹介
つねに新しいことを考えるのが好きです。アイデアがかんだときは、とりあえず自分でじっせんしてみるという姿せいを大切にしています。しゅはドラマかんしょうで、さまざまなジャンルのドラマ作品を見てリフレッシュしています。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2024年09月24日)時点のものです

観光客がつどう街にできたジェラート屋さん

観光客が集う街にできたジェラート屋さん

わたしは、東京都中央区にあるジェラートせんもんてん「ジェラートミキつき」をけいえいしています。ジェラートミキつきは、「ニュージーランドのジェラート屋さんの味を日本に広めたい」という思いから、2023年にオープンしました。げんざいは、代表であるわたしふくめた2名でお店をうんえいしています。お店があるつきという街にはもともと大きな市場がありました。そして、今も続くつき場外市場には飲食店や食料品店などがならび、観光地として有名です。そのため、場外市場のすぐそばにあるわたしたちのお店には、国内外から多くのお客さまがおとずれます。
開店前は、朝9時ごろからジェラートのみを行います。その日に仕入れたフルーツなどの材料をしたしょし、ぎゅうにゅうや生クリーム、とうなど、ジェラートのベースとなる材料といっしょに、ブレンダーでよくかきぜます。その後、ジェラートを作るためのマシンに入れて加熱さっきんし、マシンでかきぜながら冷やし固めていくと、ジェラートの完成です。1種類のジェラートを作るのに、だいたい30分ていの時間がかかります。でき上がったジェラートは、見た目でもお客さまに楽しんでいただけるよう、お店のショーケースにきれいにならべていきます。
お店のえいぎょう中は店頭でせっきゃくはんばいをしながら、SNSでのお知らせや、デリバリー用のジェラートのじゅん、また、材料の発注やお店の売上管理なども行っています。えいぎょう時間は昼の12時から夜の23時まで。仕事帰りなど、よるおそい時間帯でもおいしいジェラートを楽しめるのが、ジェラートミキつきとくちょうです。

毎週新しいフレーバーを考案、中には変わり種も

毎週新しいフレーバーを考案、中には変わり種も

お店では、世界でも有数のアイスクリーム大国であるニュージーランドのジェラートをさいげんしています。かんばんやカップなどに使用しているキャラクターも、ニュージーランドの国鳥であるキーウィをモチーフにしています。
ジェラートは、ニュージーランドはっしょうの「ホーキーポーキー」や、おうべいで人気の「アボカド」など、日本ではめずらしいユニークなフレーバーが人気です。特に「ホーキーポーキー」は、中に「トフィー」という、サクサクした食感のあまいおが入ったキャラメル風味のフレーバーで、お店のかんばん商品です。店頭では、つねに8~9種類のジェラートをていきょうしており、定番商品である「のうこうミルク」「ホーキーポーキー」「ピスタチオ」以外はすべてわりです。また、毎週新しい味のジェラートを作っており、えいぎょう中はジェラートのはんばい作業の合間に新商品のレシピ開発を行っています。新商品は季節のフルーツやお酒、和のざいを使ったものなどさまざまです。中には、お客さまからいただいたリクエストをヒントに作られたものもあります。以前、じょうれんのお客さまに「うなぎ味はどう?」とじょうだん交じりにていあんされたことがありました。かばやきのたれを使うのはどうかなど、しんけんに考えた結果、うなぎのかばやきにかける「さんしょう」をんだミルクベースのジェラートを作りました。そんな意外な組み合わせのジェラートが生まれるのも、レシピ開発のおもしろさです。

本当においしいものだけを

本当においしいものだけを

ジェラート作りにおいて、わたしが何よりもこだわっているのが、味です。ジェラートはざいの味がそのままダイレクトにはんえいされるため、材料の分量ひとつで味が大きく変わります。例えば、同じフルーツけいのフレーバーでも、その日に仕入れたフルーツのとうじゅくし具合によって味わいがことなるため、毎回、分量を細かく調整する必要があるのです。みのだんかいでも、なっとくがいくまで味の調ちょうせいを重ねるため、ときには一から作り直すこともあります。
自分のこだわりを追求するためには、自分の足で材料をさがしに行くことも大切だと考えています。使用するフルーツなどの材料は、自ら市場に行って味をたしかめてから調達するなど、ざい選びにもこだわっています。また、お店で使用しているジェラートマシンも、開業前にてんかいに行き、自分の理想に近いジェラートが作れるイタリアの老舗しにせメーカーのものをどうにゅうしました。わたしが目指すのは、ざい本来の味わいをしっかりと感じられる、本当においしいジェラートをお客さまにていきょうすることです。そのために、味にはいっさいきょうせず、日々、努力を重ねています。

ジェラートとアイスクリームは何がちがう?

ジェラートとアイスクリームは何が違う?

ところで、みなさんはジェラートとアイスクリームのちがいを知っていますか?ジェラートは、イタリア語で「こおったお」を意味します。いっぱんてきなアイスクリームとくらべると、なめらかでふわふわとした口当たりがとくちょうです。そのみつは、にゅうぼう分と空気のがんゆうりょうちがいにあります。いっぱんてきなアイスクリームのにゅうぼう分は8%以上とされていますが、ジェラートは5%前後と低いため、カロリーもひかえめでさっぱりした味わいになります。また、ジェラートやアイスクリームは、調理こうていで材料をかきぜながら冷やし固めます。かきぜるときに材料の中に空気がふくまれますが、両者はそのさいふくまれる空気の量がことなります。ジェラートはアイスクリームよりも空気のがんゆうりょうが少ないため、みつが高く、なめらかな食感が生まれるのです。ジェラートはなめらかでクリーミーな食感をたもつために、お店のショーケースで温度管理をしてかんしています。

ニュージーランドで出会ったジェラートがターニングポイントに

ニュージーランドで出会ったジェラートがターニングポイントに

今でこそジェラート屋さんとして日々いそがしくごしていますが、実はジェラート店を開業する前はかんとして働いていました。とはいえ、もともとかんになりたいと希望していたわけではありません。両親の強いすすめにより、しょうらいに役立つかくとしてかんかくしゅとくしようと考え、かん学部に入学しました。
わたしにとって大きな転機となったのは、大学1年生のときに行った短期りゅうがくです。もともと海外での生活にあこがれていたこともあり、大学のりゅうがくプログラムを利用して1か月間、ニュージーランドに語学りゅうがくしました。げんで観光をしているさい、何気なく食べたジェラートがあまりにもおいしく、日本にはないその味に強いしょうげきを受け、すっかりりょうされました。そのときに「いつかジェラート店を開きたい」というゆめが生まれたのです。ニュージーランドたいざい中はげんのジェラート店で働きながらジェラート作りを学び、帰国後もかん国家試験の勉強や実習のかたわら、ジェラート作りやてんけいえいのための勉強をこつこつと続けました。

かんの仕事の合間にどくがくで学び、お店を開業

看護師の仕事の合間に独学で学び、お店を開業

大学卒業後は、かんとして約1年間、都内のりょう機関で働いていました。かんの仕事はいそがしく、きんもあったのでとてもハードな毎日でしたが、そこで身に付いた体力とにんたいりょくは今の仕事にも生きていると思います。
働きながら開業きんめつつ、仕事の合間をってほんかくてきに開業のための勉強を始めました。特に苦労したのが、事業計画書の作成です。お店をオープンするには、機材のこうにゅうや材料の仕入れなど、初期ようがかかります。自分でめたお金だけではまかなえないので、銀行からゆうを受ける必要がありました。銀行からゆうを受けるには、事業計画書を作り、めいかくな事業計画を立ててていしゅつする必要があります。事業計画書は、お店のけいえいを進めるうえでの重要な指標となる、じょうに大切な書類です。お店のほうこうせいしめすだけでなく、どのようにしゅうえきを上げて、借り入れたお金をへんさいしていくか、具体的なへんさい計画を立てなければなりません。事業計画書の作り方は、電子しょせきサービスを活用していろいろなしょせきを読みながらどくがくで学び、区の相談所でせんもんに相談して少しずつ形にしていきました。しきが全くないじょうたいから勉強を始めたので、初めは用語を覚えるのにも苦労しましたが、「ぜったいに自分の力でお店をオープンするんだ」という強い思いが、わたしうごかしていました。

お客さまの「おいしい」の声がやりがい

お客さまの「おいしい」の声がやりがい

念願のジェラート店をオープンしてからは、大好きなジェラート作りに熱中できる毎日がとても楽しいです。かんとは働き方が全くことなるので、初めはまどうこともありましたし、どくりつ開業して自分の力だけで生活していかなくてはならないという不安も感じていました。しかし、心をめて作ったジェラートをお客さまに「おいしい」と言っていただけたり、ジェラートを気に入ってくれたお客さまがリピーターになってくださったりすることが、何よりもうれしいです。一日のがんりの成果が売り上げに表れているのを見るときも、やりがいを感じられるしゅんかんです。
「ジェラート店を開きたい」というゆめはずっとしゅうにはみつにしていて、自分の心の中だけで温めていました。かんめてジェラート店を開業するときも、両親には事後ほうこくだったためもうはんたいされましたが、自分の好きなことで生きていきたいという強い思いをつらぬきました。自分のこうかいしない道を選んで本当によかったと思っています。次なる目標は海外進出です。いつか他のアジアの国々でも、わたしのジェラートを食べてもらえるようにがんりたいです。

思い立ったらすぐ実行、積極的にちょうせんしてみよう

思い立ったらすぐ実行、積極的に挑戦してみよう

わたしのモットーは「とりあえず自分でやってみる」です。自分の中でかんだアイデアは、自分自身の力で行動にうつしてみるということを大切にしています。みなさんにも、つねたんきゅうしんを持っていろいろなことに取り組んでほしいです。やってみないとわからないことも多いので、何事にもまずはちょうせんしてみることが大切だと思います。自分で実行することにがあると思うので、きょういたことにはぜひ積極的にチャレンジしてみてください。
中には「しょうらいやりたいことや好きなことが見つからない」となやんでいる方もいるかもしれません。そんな方は、今のうちにしっかり勉強しておくことをおすすめします。わたし自身、中学・高校時代は、熱中できるものが見つかりませんでした。県立大学に進学したのですが、開業するときに取引先の方から「県立大学出身なんですね」と言われ、それが信用につながったけいけんがあります。勉強してきたことが、社会的なしんらいという形で役立つこともあるのだと実感しました。勉強は自分のを広げてくれるものでもあります。そのていでやりたいことが見つかったり、しょうらいやりたいことが見つかったときに役立ったりすることがあるかもしれません。

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哲学者たちの教えや言葉を読みときながら、暇と退屈にどう向き合っていくかを考える哲学書です。日常生活の中で暇や退屈を感じることが多かったときに、タイトルに引かれて読み始めました。人生を楽しむということについて、深く考えさせられた本です。

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取材・原稿作成:粟屋 芽衣(Playce)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫