仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

神奈川県に関連のある仕事人
2000年 生まれ 出身地 神奈川県
せき 芳実よしみ
子供の頃の夢: 医療現場で働くこと
クラブ活動(中学校): バスケットボール部
仕事内容
社会から「もったいない」という言葉をなくすために、てる予定だった物品をぎょうからていきょうしてもらい、必要としているだんたいわたすサービスを作る。
自己紹介
明るくポジティブなせいかくで、人とコミュニケーションをとりながら物事に取り組むことが好きです。オンオフのメリハリをつけるために、休日は友達と遊んだり、家族とごしたりする予定をあえて作り、仕事のことを考えない時間をもうけています。中学生のころから続けているバスケはしゅの一つで、今は社会人サークルにしょぞくし、時間にゆうがあるときに練習や試合に参加しています。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2023年11月07日)時点のものです

ぎょうの「もったいない」を、だれかの「ありがとう」にする

企業の「もったいない」を、誰かの「ありがとう」にする

わたしは、ぎょうから物品をていきょうしていただき、物品を必要とするだんたいするためのサービスをうんえいする「かぶしきがいしゃStockBase(ストックベース)」という会社をけいえいしています。
ぎょうなどでは、さいがいってたくに帰れなくなってしまったじゅうぎょういんや、なんしてきた人たちの食料として、ぞんしょくを大量にかんしています。さいがい用に用意されたぞんしょくにもしょうげんはあるので、しょうげんが近くなると、古いものをてなければならないことがあります。まだ安全に食べられるものを、「しょうげんが近いから」という理由だけでててしまうのはもったいないですよね。そこでわたしは、ぎょうが持っているぞんしょくなどをていきょうしてもらい、必要としているだれかにして「ゆずってくれてありがとう」という思いに変えるためのサービスを考えました。そして、大学ざいがく中だった2021年4月に今の会社を起業しました。ぎょうからていきょういただく物品、お米やぞんすいなどのちく食料のほかに、未使用のノベルティ(ぎょうせんでんように無料ではいする文具やグッズ)などもあります。さきは、全国にあるフードバンクや子どもしょくどうなどをてんかいするふくけいのNPO法人のほか、大学などの教育機関が中心です。起業から2年った今、これまでに約80社のぎょうから物品をていきょういただき、全国の約300のだんたいするなど、たくさんの方々にサービスをご利用いただいています。
わたしたちは、物品をていきょうしてくれるぎょうから「サービス利用料」をいただくことで、会社をうんえいするために必要なしゅうえきています。また、さきへの「配送料」も物品のていきょうぎょうたんいただいています。物品のはいにかかるはいぶつしょ料金は、StockBaseにはらうサービス利用料・配送料の合計きんがくくらべても、大きなちがいはありません。ぎょうは、同じくらいのきんがくはらうことで、”はいではなく”というせんたくができるのです。一方で、を必要とするだんたいは、当社のウェブサイトから必要な物品を選び、無料で受け取ることができるというのが、このサービスの仕組みです。

サービスの仕組みを作り、会社を成長させるための計画を立てる

サービスの仕組みを作り、会社を成長させるための計画を立てる

わたしけいえいしゃとしての仕事は、大きく3つあります。
1つ目は、サービスをよりよいものにするための仕組みを作ることです。例えば、物品をていきょうしてくれたぎょうに、された物品がどのように活用されているかをお知らせする方法を考えたり、品の転売をふせぐためのルールを整えたりすることです。このように、サービスを作った後も、やらなくてはならないことはたくさんあります。サービスを利用したぎょうだんたいからの要望をもとに、いっしょに働いている仲間や物品を運ぶ運送業者などの取引先とも相談しながら、サービスを安心してご利用いただけるよう、ずいかいぜんしています。
2つ目は、サービスをいろいろな人に知ってもらうことです。起業当初は、ぎょうだんたいちょくせつれんらくし、当社のサービスでかいけつできる課題はないか、アプローチすることもありました。今は、イベントやてんかいに参加して、当社のサービスにきょうを持ってくれたぎょうだんたいにアピールする機会を作っています。
3つ目は、会社をさらに大きくするための計画を立てることです。例えば、てられる予定だったちく用のお米を紙の商品につくえるといった、「アップサイクル」という方法で、「もったいない」をなくすサービスをてんかいできないかと考えています。このように、ていきょうできるサービスを今よりもやし、会社をさらに成長させる計画を立てています。

全てがさぐりの会社けいえい、起業家どうのつながりも大切な学びに

全てが手探りの会社経営、起業家同士のつながりも大切な学びに

起業当初は課題も多く、大きなトラブルにわれたこともありました。一番、いんしょうてきだったのは、何十トンもある食料品の受け取り方法のれんらくちがいがあり、を希望していただんたいに受け取っていただけなかったというトラブルです。このときは、自分たちで車を借りて食料品をかいしゅうし、ほかに受け取ってくれる方をさがしながら夜通し配り歩くといった、大変なけいけんでした。もちろんその後は、物品のわたしまでの流れを見直し、物品をかくじつにおわたしするための仕組みを作りました。
また、大学生のときに起業したので、会社けいえいの方法やビジネスマナーのようなほんてきなことがわからず、全てさぐりでした。そこで、起業家のせんぱいたちからアドバイスをいただいたり、起業家向けの学習会に積極的に参加したりすることで、仕事の進め方を一つずつ覚えていきました。

「『もったいない』をなくす」という理念に共感してくれる人がえたことを実感

「『もったいない』をなくす」という理念に共感してくれる人が増えたことを実感

多くの課題をえ、スムーズにサービスをていきょうできるようになった今は、おめの言葉をいただくことが多くなりました。食料品のを受け取っただんたいなどから「食事を十分に取れない方々にはいできて助かった」といった言葉を、物品を手にした方々の写真といっしょにいただくと、とてもはげみになります。
そうした言葉や写真をレポートにしてぎょうとどけると、「をしてよかった」という感想をいただけます。当社のサービスを通して「受け取れてよかった」「をしてよかった」という思いのじゅんかんが生まれていくことが、何よりうれしいですね。
また、こうしたじっせきを積み上げていくことで、わたしたちのサービスを、ビジネスけいのイベントやウェブメディアなどでたくさん取り上げていただけるようになりました。「『もったいない』をなくす」という当社の理念を伝え、それに共感してくれる方がいると実感することも、大きなやりがいにつながっています。

「自分はどうしたいか」をじくにして、進むべき道を選ぶ

「自分はどうしたいか」を軸にして、進むべき道を選ぶ

会社をけいえいしていると、重要なけつだんをしなければならないことがたくさんあります。はっきりとしたせいかいが見えていることもあれば、どうすることがせいかいなのかがまったくわからないこともあります。けつだんまよいそうなときにわたしが大事にしているのは、「自分がどうしたいか」という原点に立ち返って、それをじくにして考えることです。
わたしがなによりじつげんしたいのは、「『もったいない』をなくす」ことです。そのためには、会社を成長させ、より多くの人にサービスをとどけなくてはなりません。だから、事業を大きくするためにきんを借りるかどうか、など、会社をけいえいするためのはんだんが必要なときには、「『もったいない』をなくすために、さらに会社を成長させるにはどうしたらいいか」というじくで、進むべき道を選んでいます。そして、選んだ道がせいかいだったと言えるよう、努力することも欠かせません。

ボランティアでの気づきがビジネスアイデアを生んだ

ボランティアでの気づきがビジネスアイデアを生んだ

昔から起業をしたいと考えていたわけではありません。子どものころに見たりょうドラマの世界にあこがれ、「りょうに関わる仕事がしたい」と考えていました。高校生になってからは「りょう機関のけいえいえんする」という形でりょうに関わることをこころざすようになり、大学ではけいえいがくなどを学び、りょうけいメーカーなどにしゅうしょくしたいと思っていました。そんな中で起業をしきしたのは、大学3年生のときでした。
大学3年生のとき、ぎょうあまった新品のかべけカレンダーやたくじょうカレンダーなどをこうれいしゃせつとどけている方に出会い、そのお手伝いをするというボランティアをしていました。わたしはそのとき、自分ではだんスマートフォンのカレンダーアプリを使っているから、紙のカレンダーはあまり必要ないように感じていました。しかし、こうれいの方はカレンダーにちょくせつメモをしたり、薬をけて飲みわすれをふせいだりと、いろいろなようで使っていると知りました。そこで、「だれかにとってはいらないものでも、それを必要としているだれかがいる」ということに気づいたのです。
ちょうど同じ時期に、大学の「起業プランニングろん」というじゅぎょうで、ビジネスコンテストにおうするという課題が出されました。そこで、ボランティアでの気づきを生かし、当社のサービスにつながるビジネスアイデアを、じゅぎょうを受けていた仲間とつくっておうしたところ、3つのコンテストでじゅしょうしたのです。このことが起業へのあとしになり、大学3年生のときに大学を休学して、いっしょにコンテストにおうした仲間とともに起業しました。

「自分は自分、みんなはみんな」世界が広がり、せいを出す大切さを知った

「自分は自分、みんなはみんな」世界が広がり、個性を出す大切さを知った

今は明るくポジティブに物事を考えるせいかくですが、昔は自分のは出さず、友達に合わせて行動するようなせいかくでした。中学から高校までバスケ部にしょぞくし、部長をつとめていたのですが、そのころも自分を出すより仲間をささえるタイプの部長だったと思います。
そんなせいかくが変わったのは、大学に進学し、じゅぎょうやサークル活動を通して自分の世界が一気に広がったことがきっかけでした。また、大学で知り合った仲間たちはみんなせいゆたかで、自分の考えやこだわりを大事にしている人ばかりだったのです。そんな仲間とじゅぎょうや遊びを通して関わっていくうちに、自分の考えやかんをアピールしていくことを、楽しいことだと思うようになりました。小さいころから両親には、「自分は自分、みんなはみんな」と言われていましたが、大学生になってようやく自分らしさを出す大切さを知ったように思います。

にちじょうの「なんでだろう」が、しょうらいの目標につながっていく

日常の「なんでだろう」が、将来の目標につながっていく

この記事を読んでいるみなさんの中にも、自分で会社を作ってみたいと考えている人がいるかもしれません。一方で、「しょうらいの目標が見つからない」となやんでいる人も少なくないと思います。どんな人でも、しょうらいのことを考えるときに、まず始めにやってみてほしいことは、「自分がかいけつしたいと思う課題を見つける」ということです。
では、課題の見つけ方はどうすればいいのかと思いますよね。そんなときは、にちじょうの「なんでだろう」をさがすことから始めてみましょう。例えば、電車に乗っている人や街を歩く人たちの顔を見て、「なんでこの人は悲しそうなんだろう」「この人はなぜうれしそうなんだろう」と考えてみてください。または、テレビや動画の合間に目にするこうこくを見て、「なんでこの商品が売られているんだろう」と調べてみるのもいいでしょう。にちじょうの中にある「なんでだろう」を深く考えれば、課題が見つけられるかもしれません。そうやって見つけた課題を、自分ならどのようにかいけつするかを考えることで、だれかの役に立つサービスを思いついたり、自分の目標を見つけたりすることができますよ。
自分のやりたいことが見つかったら、あとは勇気をもって一歩してみることです。きっと成功する、という気持ちを大事にして、失敗をおそれずにチャレンジしてみてください。

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取材・原稿作成:棚橋 千秋(Playce)・東京書籍株式会社/協力:横浜銀行