仕事人

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宮城県に関連のある仕事人
1961年 生まれ 出身地 東京都
そくりょうし測量士
鈴木すずき ひろし
子供の頃の夢: 冒険家,列車運転手,牧場経営
クラブ活動(中学校): 柔道部
仕事内容
チームをまとめて,各種計測(けいそく)調査(ちょうさ)を行い,測量(そくりょう)コンサルティングをする
自己紹介
雄大(ゆうだい)な自然と,一生に一度の出会いを大切にしています。調査(ちょうさ)で全国各地を回り,夏は名所旧跡(きゅうせき)をウォーキング,冬はスキーを楽しんでいます。天気が悪い時は,インターネットで世界中から最新の技術(ぎじゅつ)情報(じょうほう)を入手しています。

※このページに書いてある内容は取材日(2016年09月02日)時点のものです

「写真地図」を作る

「写真地図」を作る

(わたし)は朝日航洋株式会社で測量士(そくりょうし)として,主に「写真地図」を作る仕事をしています。写真地図というのは,「Google Earthの,精度(せいど)をずっと上げたもの」とイメージしてもらえると,分かりやすいかもしれません。航空写真を元にするのですが,専門(せんもん)的な技術(ぎじゅつ)を使って,高い精度(せいど)保証(ほしょう)したものです。行政(ぎょうせい)機関が土地の利用のしかたを調査(ちょうさ)するなど公的な用途(ようと)に使われることが多いため,国土地理院や自治体から依頼(いらい)されて作るケースが多いですね。
写真地図を作るには,まず飛行計画を立てて,どのようなコースで,どのように撮影(さつえい)するかを決めます。次に,位置を(はか)る「GNSS(衛星(えいせい)を使った測位(そくい)システム。GPSもここに(ふく)まれる)」のほかに「IMU(慣性(かんせい)計測(けいそく)装置(そうち))」という,(かたむ)きを観測(かんそく)できる特殊(とくしゅ)装置(そうち)を積んだ小型の飛行機で上空を飛んで,飛行機に搭載(とうさい)されている特殊(とくしゅ)なカメラで撮影(さつえい)をします。特別な高精細(せいさい)画像(がぞう)なので,写真1(まい)のデータ量が800メガバイトにもなります。一般(いっぱん)のデジタルカメラで撮影(さつえい)する写真は数メガバイトほどですから,これは大きいですよね。その後,コンピューターで作業を行い,さらに,写真に写った場所に実際(じっさい)に行って現地(げんち)測量(そくりょう)をして,その情報(じょうほう)をもとに補正(ほせい)をして,写真地図が完成します。私自身(わたしじしん)は,飛行計画は立てますが,飛行機に乗ることはほとんどありません。現地(げんち)での測量(そくりょう)には,たまに行くこともあります。

いろいろな測量(そくりょう)

いろいろな測量

(わたし)は,写真地図の仕事だけではなく,「砂防(さぼう)基盤(きばん)図」という,地形の凹凸(おうとつ)を高い精度(せいど)反映(はんえい)した地図を作ることもしています。これを見ると,「土砂(どしゃ)災害(さいがい)が起こりやすいのはどこか」が分かり,ハザードマップ(自然災害(さいがい)(さい)予測(よそく)される被害(ひがい)範囲(はんい)を表す地図)も簡単(かんたん)に作れるようになります。
他にも,ダムを測量(そくりょう)して()まった土砂(どしゃ)の量を(はか)る,「堆砂(たいしゃ)測量(そくりょう)」という仕事もしています。ダムを作るとき,()まる土砂(どしゃ)の量を予想して作るのですが,実際(じっさい)()まる土砂(どしゃ)の量は,予想より多かったり少なかったりします。もし多すぎれば,いずれダムの上流に,土砂(どしゃ)()める貯砂(ちょしゃ)ダムというものを新たに作る必要が出てきます。そういうことを確認(かくにん)するための測量(そくりょう)です。ひと言で「測量(そくりょう)」と言っても,このようにいろいろな種類の測量(そくりょう)があるんですよ。今の測量士(そくりょうし)には,「ただ(はか)る」だけでなくて,「何のために(はか)るのか」を考え,目的に(おう)じて,さまざまな測量(そくりょう)のやり方を使い分けることが求められます。
(わたし)はこうしたいろいろな測量(そくりょう)に関わっていますが,現在(げんざい)は管理(しょく)なので,現場(げんば)に出ることもありますが,チームのリーダーとして,新しいプロジェクトを立ち上げたり,仕事の進捗(しんちょく)状況(じょうきょう)を管理したり,部下の仕事の精度(せいど)確認(かくにん)したりする仕事がメインになっています。また,会社の仕事と並行(へいこう)して,「公益(こうえき)社団(しゃだん)法人 日本測量(そくりょう)協会」という技術者(ぎじゅつしゃ)団体(だんたい)(ぞく)して,測量(そくりょう)技術(ぎじゅつ)者間での情報(じょうほう)共有を進めたり,新しい技術(ぎじゅつ)についてのシンポジウムを開いたりといった活動もしています。

災害(さいがい)時の緊急(きんきゅう)撮影(さつえい)

災害時の緊急撮影も

通常(つうじょう)測量(そくりょう)に加えて,大規模(だいきぼ)土砂(どしゃ)災害(さいがい)地震(じしん)があると,「緊急(きんきゅう)災害(さいがい)撮影(さつえい)」をすることもあります。これは災害(さいがい)が起こったとき,国土地理院から要請(ようせい)が出て,そのとき行けそうな業者の飛行機が現地(げんち)へ飛び,上空から撮影(さつえい)するというものです。国土地理院の飛行機は1台しかないので,(わたし)たちのような業者に依頼(いらい)が来ることがよくあります。「山がどこまで(くず)れているか」や「津波(つなみ)がどこまで来たか」など,災害(さいがい)状況(じょうきょう)を知るための写真地図を作ります。
2011年の東日本大震災(ひがしにほんだいしんさい)のときにも,国土地理院から依頼(いらい)が来ました。「仙台(せんだい)港からいわき港のほうまで,福島第二原発くらいまで()ってほしい」というものでした。地震(じしん)の当日,3月11日に依頼(いらい)が来たので,夜中までかけて飛行計画を作るとともに,機体とクルーを確保(かくほ)して,翌日(よくじつ),12日に飛行機を飛ばしました。飛行機が(もど)ってきたら,特殊(とくしゅ)なデータをコンピューターで加工して,見やすいものにして,国土地理院の担当者(たんとうしゃ)がいる,政府(せいふ)災害(さいがい)対策(たいさく)本部へ持っていくんです。通常(つうじょう),コンピューターでの処理(しょり)には何日もかかってしまうのですが,このときはとにかくスピードが重要だと思ったので,工夫して,精度(せいど)を多少落としてでも,処理(しょり)の時間を短くするようにしました。こうした緊急(きんきゅう)災害(さいがい)撮影(さつえい)については,依頼(いらい)が来るたびに,可能(かのう)(かぎ)対応(たいおう)しています。

天気がよくないと飛べない

天気がよくないと飛べない

写真地図の撮影(さつえい)をする(さい),上空を飛んで地表の写真を()るので,雲がない状態(じょうたい)でなければいけません。そうすると,1年間365日のうち,撮影(さつえい)(てき)した天気の日は,だいたい100日前後なんです。さらに,(わたし)たちの仕事は公共事業が多いので,夏前くらいに発注があって,3月が納期(のうき)という仕事が多いんです。発注を受ける前に撮影(さつえい)することはできませんし,納期(のうき)の直前に撮影(さつえい)していたら間に合いません。だから,撮影(さつえい)に使える期間はだいたい半年くらい。この期間で,日本全国の天気を予想して,天気の良さそうなところを(さが)して撮影(さつえい)のチャンスを広げているわけです。期間が(かぎ)られているうえに,天気は刻々(こっこく)と変わっていきますから,ここは苦労するところです。災害(さいがい)撮影(さつえい)のときも,「飛んでくれ」という要請(ようせい)が来て,まずチェックするのは天気なんです。天気が悪ければ,飛んでも意味がない。この仕事は,気象に合わせないといけないんです。
雲だけではなく,太陽の高さという条件(じょうけん)もあります。というのも,太陽が低いと,山や建物が(かげ)を多く作ってしまい,谷や建物の周辺部分が()れなくなってしまうんです。例えば1月(ごろ)だと,地域(ちいき)にもよりますが,午前10時から14時の間くらいでしか撮影(さつえい)ができないこともあります。そういう制限(せいげん)の中で仕事をしなければいけないのは,大変なところではありますね。

人のためになるというやりがい

人のためになるというやりがい

東日本大震災(ひがしにほんだいしんさい)の場合でもそうですが,災害(さいがい)(さい)撮影(さつえい)は,やはり具体的に(こま)っている人がいて,(わたし)が写真を()ったり写真地図を作ったりすることで役に立てるのなら,という思いはあります。その仕事が終わるまでは()られないかもしれないけれど,実際(じっさい)にその地域(ちいき)に住んでいて(こま)っている人がいると考えたら,やはり「がんばろう」という気になりますね。
また,災害(さいがい)が起こったとき,(たの)まれなくても自主的に撮影(さつえい)をすることがあります。仕事として依頼(いらい)はされていないけれど,どうせ飛行機を飛ばすのならということで,撮影(さつえい)をして,地図にして,自治体などに持っていきます。しかも,本来なら時間がかかるところを,工夫して処理(しょり)して,災害(さいがい)が起こってから2~3日後に持っていく。そうすると,先方も被害(ひがい)状況(じょうきょう)を知りたいので,すごく喜ばれます。2012年に関東で竜巻(たつまき)が起こった(さい)も,ある市に地図を持っていったのですが,やはり喜ばれました。そういうふうに,相手が必要としているものを先にこちらで考えて,その結果,相手の役に立てて喜んでもらえたら,「やってよかったな」と思いますね。

海外へ行きたくて測量(そくりょう)の会社に

海外へ行きたくて測量の会社に

(わたし)はもともと農業に興味(きょうみ)があって,いずれは農場を経営(けいえい)したいと思っていました。大学のとき,アメリカのアイダホ州で農業実習もしたんです。そして大学を卒業後,酪農(らくのう)機械を製造(せいぞう)している会社に就職(しゅうしょく)し,そこで「牧場設計(せっけい)」という,牧場の中にどういう機械を入れたらいいのか,どこに設置(せっち)すればいいのかを設計(せっけい)する仕事を担当(たんとう)していました。しかし,しばらくして父が()くなり,その都合で仕事を辞めることになりました。
その後,(さい)就職(しゅうしょく)先を(さが)すことになったのですが,大学在学(ざいがく)中に「測量士(そくりょうし)()」という資格(しかく)を取っていたのと,「海外に行けそうだ」ということで,今の会社を選びました。海外で働いてみたかったんです。実はその当時,私自身(わたしじしん)測量(そくりょう)(きら)いだったんですよ。昔はパソコンがなくて,全部,電卓(でんたく)で計算しなければいけなかったので,それが面倒(めんどう)だったんです。
入社から数年後,ねらい通りに海外での仕事をすることになりました。主にJICA(ジャイカ,国際(こくさい)協力機構(きこう))の事業でした。フィリピンで現地(げんち)の人たちに測量(そくりょう)技術(ぎじゅつ)を教える仕事から始まって,カザフスタンで地図を作る仕事もしましたし,モンゴルにも行きました。普通(ふつう)()らしていてはなかなか行けないところばかりだったので,貴重(きちょう)経験(けいけん)になりました。その後,航空撮影(さつえい)のほうをやるようになってからは海外に出ることはあまりなくなって,今に(いた)っています。

小さい(ころ)からいろいろなところに行きたかった

小さい頃からいろいろなところに行きたかった

海外での仕事につながる話ですが,小学生の(ころ)から,「いろんなところに行きたい」という思いがありました。(わたし)は東京都の東大和市というところに住んでいたのですが,自分の家から自転車でどこまで行けるのかを試したくて,友達と多摩(たま)動物園まで自転車で行ったりしていました。
中学の(ころ)はおとなしくしていたんですが,高校になって,まず1年のとき,友達3人と夜中に(ふもと)から富士山(ふじさん)に登りました。2年のときには屋久島(やくしま)に1人で行きました。宮之浦(みやのうら)(だけ)という山(標高1,936m)に登りたかったんです。そのときは()まった民宿にワンダーフォーゲル部出身の大学生がいて缶詰(かんづめ)を買ってくれたり,登ったら高校の山岳(さんがく)部の人たちがいて,テントに()めてもらったり,ニホンザルの生態(せいたい)を研究している大学の先生たちと出会ったり,(わす)れられない思い出がたくさんできました。後で分かったんですが,その大学の先生は,高校の先生の先輩(せんぱい)に当たる人だったんですよ。そうやっていろんな経験(けいけん)を積むうちに,今の自分が形作られた気がします。
ただし,こうした旅にも無計画に行っているわけではなくて,親に「予定表」は出していましたよ。どこに()まって,どういうスケジュールでどこに行くのかは,しっかりと書いて(わた)していました。こういう計画を立てているときがまた,楽しいんですよ。

出会いを大切に,経験(けいけん)豊富(ほうふ)

出会いを大切に,経験は豊富に

「一期一会」という言葉が好きなんです。どこへ行っても,何をしても,いろんな人に会って,いろんな人のお世話になりますし,また,(わたし)が人のお世話をすることもある。そういった経験(けいけん)を通じて,さまざまな人の「生活」や「思い」を,肌身(はだみ)で感じていくわけです。まさに「一期一会」だなと思いますね。
みなさんには,まずはいろいろなところで,さまざまな人と出会ってほしいですね。人との出会いを大切にして,自分の経験(けいけん)豊富(ほうふ)にしてください。経験(けいけん)豊富(ほうふ)であればあるほど,どんな状況(じょうきょう)でも対応(たいおう)できるようになりますから。経験(けいけん)が少ないと,(かぎ)られた情報(じょうほう)判断(はんだん)しなければならなくなってしまう。経験(けいけん)が多ければ,判断(はんだん)の材料が()えて,どんな状況(じょうきょう)に置かれても,たくさんの経験(けいけん)から生まれる知恵(ちえ)を自分で選択(せんたく)して生きていけるようになります。だから,多くの人と出会って,自分の情報源(じょうほうげん)を広げていくことが大事だと思っています。たくさんの経験(けいけん)という大きい風呂敷(ふろしき)を持っておいたほうが,のちのち得になるので,ぜひ,どんどん人に出会って,経験(けいけん)を広げてください!

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取材・原稿作成:東京書籍株式会社