パンはコツコツ作る

パン屋の1日は,朝4時から始まり,パンを作ったり,販売をして夕方6時に終わります。1日に作っているパンの数は日によって違いますが,約1000個くらいです。その中には三つの中学校の給食も含まれています。例えば,ある日は地元の飯綱中学校のために678個のパンを作り,また別の日には隣の地区の豊野中学校に880個,というように,給食用にもたくさん作っています。
パンを作る時の工程は,①小麦粉をミキサーに入れてまぜる,②台でこねる,③パンの形にする,④発酵する,⑤焼く,⑥冷ますという流れです。パンを作るのに7時間かかります。
1日に8種類の生地から10種類のパンができます。パンは作り置きできません。コツコツ作らないといけないので,お休みはありません。働いている人は4人なので,とても大変です。特に冬以外はお客さんがたくさん来るので,パンを作るのはとても忙しくなります。人気のパンは,あんパン・ぶどうパン・フランスパンですが,食パンもおすすめです。
衛生面に気をつかっています!

私がパンを作るときに気をつけていることは衛生面ですね。給食のパンは生地が多いので材料から気をつかっていて,ウイルスや異物混入に気をつけています。作るのが大変なパンはフランスパンです。でも,それぞれのパンに特徴があるので,どのパンにも手間がかかります。
おいしいパンを作るには,やっぱり基本が一番大事ですね。普通のことを普通にやる。そうでないと,毎日同じパンを作っていると,ちょっとずつ味や質が変わっていってしまいます。だから新しいことをやってみて,だめだったらすぐにもとに戻す,基本に戻ることが大切だと思います。
新作のパンは,あれとこれを組み合わせたらいいんじゃないかと思ったものを試して作ってみます。結果が良かったら,新作のパンにしています。
買ってくれた人に喜んでもらいたい!

うちのパン屋は,今年で創業50年になります。もともとは,埼玉出身で菓子職人だった父が,JAの支所に出したパン屋が始まりでした。その後,JAの支所のすぐ近くに店を移しました。
私は,高校まではスキーをしていて,店を継ごうと思っていたわけではありませんでした。将来のことを考えた時,一番身近だったパン屋になった,という感じですね。知り合いに頼んで,東京で5年間修行をし,飯綱町に帰ってきて働き始めました。パン屋になるためには,特別な資格はありません。ただ,工場に一人,衛生士免許を持った人がいないといけません。
パン作りで大変なことは,掃除だと思います。異物混入などを防ぐため,忙しくても毎日やらないといけませんから…。
パンを作る時は,やっぱり買ってくれる人に喜んでもらえるように,後悔させないように,と思ってやっています。お客さんに「買わなきゃよかった」なんて思われるのは嫌ですからね。買った人が喜んでくれると私もうれしいです。