仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

神奈川県に関連のある仕事人
1987年 生まれ 出身地 三重県
豊田とよだ 洋平ようへい
子供の頃の夢: NASAに入る
クラブ活動(中学校): 柔道部
仕事内容
「ITシステムを用いて子どもたちを習い事などにそうげいするサービス」をうんえいする。
自己紹介
とんかつ、そうごうかくとう、町ちゅう、サウナが好きです。ダイエットのためにできるだけ歩くようにしています。
出身高校
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2023年11月13日)時点のものです

「子どもの習い事へのそうげい」という社会課題をかいけつする

「子どもの習い事への送迎」という社会課題を解決する

わたしは今、「小学生を習い事にそうげいするサービス」をうんえいする会社をけいえいしています。じゅくやスイミングなどの習い事をしているお子さんは数多くいますが、しゃの方には「おくむかえをしなくてはいけない」という問題が発生します。しかし、習い事に一人で通えるねんれいになるまでには時間がかかります。それまではしゃだれかがいをしなくてはいけませんが、そのそうげいの時間のためにやりたい仕事をあきらめるケースや、「子どものそうげいをすることができないから、子どもに習い事をさせられない」というケースもよくあります。わたしよこはまじっしたアンケートでは、そう思っている人が子どもを持つ親の二人に一人はいるというデータが出ました。このままでは、子どもたちも、子どもを持つ方も、自分のやりたいことができません。「これはかいけつすべき社会課題ではないか」と思い、このサービスを立ち上げました。
そうげいしゃ以外のだれかにお願いする場合、タクシーを利用するのが一番かんたんです。しかし、一人で乗ると、どうしてもそうげい料金が高くなってしまいます。そこで、タクシー会社とわたしの会社がけいやくし、いきの子どもたちが決められた場所からいっしょに乗る「相乗り」をすることで、一人あたりのだんを安くすることができます。しゃそうげいすることができず、習い事をあきらめていた子どもや、そうげいをしなければならず、働きたい形で仕事ができなかったしゃの方、みんながハッピーになれる形ではないかと思い、2022年にこの事業を立ち上げました。

業者との打ち合わせやアプリ開発のさいようなどを全て一人で

業者との打ち合わせやアプリ開発の指揮、採用などを全て一人で

ほんかくてきえいぎょうを開始するのは2023年の12月を予定しているので、今はまだそのじゅんだんかいです。じっさいに子どもたちをそうげいする先としては、スイミングやじゅく、野球教室などの習い事や、歯医者など定期的に通院しなければいけない病院などを予定しています。そのため、今はそれらの事業者の方やぎょうせいの方と、日々、打ち合わせを続けています。事業者の方とは、生徒さんたちにこのサービスのそんざいをどう知ってもらい、利用してもらうか、そうげいさいに車両はどこにめるかなど、くわしいことを話し合って決めています。
また、そうげいの予約は利用者がスマートフォンを使って行うのですが、そのシステムもげんざい、作っています。習い事や教室の方々との打ち合わせの中で「こういうふうにしてほしい」と出た意見をけんとうして、システムを作っているエンジニアやデザイナーに伝えるのもわたしの仕事です。
ほかにもウェブサイトを作ったり、こうほうを行ったり、役所に行っていろいろなきょしんせいをしたりといった仕事があります。げんざいわたし一人で全てを行っているため、ほんかくてきに事業が始まったら社員をやしていこうと思っています。そのためのさいようも仕事の1つとなっています。

いそがしいけれど、全て自分のひょうになるよろこびも

忙しいけれど、全て自分の評価になる喜びも

今は全てを自分一人でやらなくてはいけないので、正直とてもいそがしいです。働き方をだれかほかの人が管理してくれているわけではないので、自分自身で働く量を管理しないと体をこわしてしまい、結局働けなくなってしまいます。そこは自分でも気をつけています。
ですが、会社づとめでのいそがしさと、今のいそがしさではちがうような気がしています。今は全部自分自身でやらなくてはいけないし、何かがあったときのせきにんも自分一人でとらなくてはいけません。しかしその分、全てのひょうが自分自身に返ってくる、そのよろこびもあります。
この事業を立ち上げるために、じっしょう実験を2023年の3月に、約2週間の間、14名のお子さんをたいしょうにしてよこはまないで行いました。合計28便、じょうしゃ数48名をそうげいし、わたしじっさいそうげいするタクシーの助手席に、いっしょに乗りました。じっしょう実験の期間中、ていりゅうじょしゃの方々と話をすると「ぜったいに続けてほしい」という声をたくさんいただきました。そういうユーザーの方々からの声が、今の自分の原動力となっています。

子どものあんぜんせいかくすることの大切さ

子どもの安全性を確保することの大切さ

今、課題として感じているのは、「どうやってあんぜんせいかくするか」です。例えば、お子さんはていりゅうじょでタクシーがピックアップして習い事の場所まで運ぶのですが、げんじょうではていりゅうじょまではしゃどうはんが必要になります。でも、できれば、しょうらいてきにはていりゅうじょにもお子さん一人で来られるようになるのが理想だなと思うんです。
しかし、そうなるとどうしても一人でていりゅうじょまで行かせるリスクが出てくる。それをかいけつするためにはさまざまな方法がありますが、例えばGPS発信機のようなものをお子さんに持たせて、えんかくで位置をわかるようにする、というのが1つの方法です。でもそうした機器やアプリを開発するのにはまだ時間がかかるので、それまではいきのシルバー人材センターと協力してていりゅうじょで待っていてもらい、お子さんの見守りやたいおうをしてもらう、というかいけつ方法もあります。そうすると、予算をどうするかという問題が生まれますが、もしかしたらそういうところをぎょうせいえんしてくれるのうせいもあるかもしれません。しゃの方々の、安全を求めるニーズや、きんめんでできること、かいけつできることなどを、今いろいろとさぐっているじょうたいです。

せいじつに答えることが欠かせない

誠実に答えることが欠かせない

仕事をするうえで大切にしていることは、「うそをつかない」ことです。これはじっしょう実験で実感したのですが、お子さんの命をあずかる仕事というのは、とてもリスクが高い仕事だと思っています。だからこそ、何か問題が起きて1秒でも早くかいけつをしなくてはいけない場面があった場合、うそをついたり、つくろったりしてしまうと、そのせいで子どもの命に関わるしゅんかんが出てくるかもしれない。そういう意味で「せいじつに答える」というのは、この仕事には欠かせないことだと思っています。
また、しょうらいてきにはこの事業を続けていくうちに、タクシー会社の方のしきも変わればいいなと思っています。この仕事は決まった時間に同じルートを回る仕事になるので、初心者のドライバーの方でも仕事を覚えやすいというメリットがあります。そうすると、例えば、子育てのためにしばらく仕事からはなれていたしゅの方が働きやすい場にもなります。そういう方は子どものたいおうにはれていますし、子育て中だとパートタイムきんを希望する方もいますから、この仕事には合っていると思うんですね。そういったようのニーズにもいずれつなげていく、というのが理想です。

こまっている人を助ける事業がしたい」という思い

「困っている人を助ける事業がしたい」という思い

大学生のころは、コピーライターになりたいと思っていました。大学卒業後は印刷会社に入り、こうこくを作るしょで働いたのですが、そこでさまざまなプロジェクトを会社員として立ち上げるというけいけんを積んでいく中で、新たな事業を立ち上げる「起業」というものにきょうきました。ねんれいを重ねる中で、しゅうに起業をする人間もあらわれた、というのもえいきょうしています。
その後、てんしょくした会社で自動運転のプロジェクトに関わり、さらにまた別の電鉄会社にてんしょくして、沿えんせんの街づくり等にも関わる仕事をしました。自分の中では「社会課題をかいけつする、だれこまっている人を助けるような事業をしてみたい」という気持ちがずっとありました。最初はばくぜんとしたものではあったのですが、自動運転のプロジェクトに関わっていたとき、かいで1か月ほど会社を休んだこともきっかけとなり、自分の中でいつかそういった事業をやってみたい、という気持ちは大きくなりました。
実はげんざいやっているそうげいの事業は、最初は、以前、つとめていた電鉄会社の事業として行うはずだったものです。わたし自身、一人親だった母に自分のそうげい等で時間を取らせていたな、と思い出したのも理由になりました。しかし社内事業としてはむずかしいと言われ、最初は会社こうにんの副業としてこの事業を進めていました。ほんかくてきに進めていく中でだんだんと本業とのいがむずかしくなってきたことや、東京都しゅさいのビジネスコンテストで約1,100けんおうの中から最優秀賞をいただいたことが自信となり、会社をめて自分で起業することを決意しました。

「新しいかんきょうむ」ことは、子どものころからやっていた

「新しい環境に飛び込む」ことは、子どものころからやっていた

今は起業という道を選んでいますが、かえってみると、「新しいかんきょうむ」ということはこれまでもやってきたなと思います。わたしはもともと三重県の出身なのですが、小学校のときに親のてんきんで埼玉県にしをけいけんしました。その後、中学校受験をし、北海道の中高いっかんこうに進学することを決めました。まったく行ったこともない土地で、だれも知らない人との中でぜんりょうせいの生活をスタートさせたのですが、自分としては特に不安はなかったおくがあります。早く自立したい、という気持ちがあったのかもしれません。
でもその学校に進学したおかげで、大切な何人かの友達と出会うことができ、今でも毎週のようにれんらくを取り合っています。みんな今ではいろいろなしょくぎょういていて、それぞれの立場から今の事業についてアドバイスをくれたり、中には起業している友達もいるので、相談したりすることもあります。あのときに進学を決めていてよかった、と今でも思います。

自分の世界を少しでも広げて「友達」をつくってほしい

自分の世界を少しでも広げて「友達」をつくってほしい

今これを読んでいるみなさんには、できれば「友達」をつくってほしいと思います。わたし自身も今、昔からの友達にとても助けられています。「何かをいっしょに楽しめる友達」というのはとてもちょうですし、大人になるほど、そういう友達の大切さが実感できます。友達をつくる場所は、学校でなくてもいいと思うんです。じゅくだったり、ほかの習い事だったり、そういう友達ができるのうせいがある場所はほかにもたくさんあります。もしもまだそういう友達がいない場合は、少し勇気を出して今までとはちがう場所に行ってみたり、いろいろなコミュニティに参加してみたりして、だんは話さない人と話してみてください。たった1つの出会いがきっかけになり、人生が変わることもあります。そのためにも、少しでもいいから「自分の世界」を広げていってください。

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取材・原稿作成:川口 有紀(フリート)・東京書籍株式会社/協力:横浜銀行