仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1964年 生まれ 出身地 千葉県
荒井あらい 正巳まさみ
子供の頃の夢: 救急車の運転手
クラブ活動(中学校): バスケットボール部
仕事内容
ぜいとしてお客さまのぜいきん関連の手続きを代行したりけいえいのアドバイスをしたりする。けいえいしゃとしてはじゅうぎょういんさいようや教育、集客などを行う。
自己紹介
せっかちでじっとしていられません。週末はテニスや登山、旅行などを楽しむことが多いですが、家でぼーっとして心や体を休める日もあります。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2024年09月04日)時点のものです

ぜいきんのプロとして、しんこくの代行やぜいきんに関するアドバイスを行う

税金のプロとして、申告の代行や税金に関するアドバイスを行う

わたしは、2014年にせつりつした「NAぜい法人」という会社の代表をつとめています。会社は東京のいけぶくろ駅のすぐ近くにあります。ぜいとは、一言で言うとぜいきんせんもんです。ぜいきんに関するほうりつじゅくしたうえで、はらうべきぜいきんがくをお客さまに代わって計算したり、ぜいきんに関するアドバイスをしたりします。ふくすうぜいが集まり、そうしたぎょうを協力して行う会社のことを「ぜい法人」と言います。NAぜい法人にはげんざい、84名のじゅうぎょういんがいて、そのうち13名がぜいです。ほかに、ぜいのサポートを行うぜいスタッフや、入力じょを行うスタッフがいます。
NAぜい法人には、大きく分けて「しんこく」と「相談」の2種類の仕事があります。
まず「しんこく」は、ほうりつで決められたがくぜいきんを正しくはらうために、お客さまに代わってぜいきんの計算やしんせいしょの作成をする仕事です。ぎょうしょとくおうじてはらほうじんぜいじんしょとくおうじてはらしょとくぜい、物のはんばいやサービスのていきょうにかかるしょうぜいくなった人のざいさんゆずけるときにかかるそうぞくぜいなどのしんせいが多いです。お客さま自身でしんせいをすることものうですが、しんこくルールをかいするにはぜいきんについてしっかりと学ぶ必要があります。しんこく作業は1年に1回しか発生しないので、年1回のために勉強するのは大変ということで、ぜいにごらいいただく方が多いです。
一方の「相談」は、せつぜいたいさくや会社を立ち上げるときのぜいきんに関する注意点など、お客さまのおなやみにぜいきんのプロとしてアドバイスをするぎょうです。ほかにも、そうぞくぜいほんてきげんきんのうぜいしなければならないので、不動産などさんが多いお客さまが、万が一にそなえてがくかくにんにいらっしゃることもあります。今はインターネットにさまざまなじょうほうがありますが、会社のけいえいじょうきょうじんさんによってぜいきんの計算方法や考え方は変わります。答えは一つではないため、てきせつなアドバイスを差し上げるためにはべつ相談の場が大切なのです。

正しくぜいきんはらうために、計算・しんこくのうぜいをサポート

正しく税金を支払うために、計算・申告・納税をサポート

NAぜい法人では、ぜいきんしんこくを月に60けん、多い月は100けんくらい行っています。役所へのしんこく時期はどのぎょうも同じですが、作業が集中してしまわないように、お客さまによって、たいおうする時期を少しずつずらしてもらっています。しんこくにあたり、まずはお客さまからせいきゅうしょりょうしゅうしょをすべて送ってもらいます。例えばしゅっぱんしゃの場合、本の売上代金などがさいされたせいきゅうしょや、本を作るていでかかったぶんぼう代、こうつう、打ち合わせ用のお茶代のりょうしゅうしょなどです。りょうがそろったら、会計ソフトにデータを入力します。けいのあるぎょうの場合、ここまではお客さまのほうでやっていただけることもあるのですが、NAぜい法人のお客さまは中小ぎょうがメインで、けいがないぎょうも多いので、そうした場合はわたしたちが行います。
売り上げやけいなどの種類ごとにきんがくを集計できたら、いよいよぜいきんの計算に入ります。日本のぜいほうふくざつで、例えばしょうぜい一つとっても物によって8%だったり10%だったり、中には0%のものもあったりします。それらを一つ一つかくにんしながら、正しいのうがくを計算します。ただ計算するだけでは不十分で、そののうがくになったていぜいしょに説明するりょうも同時に作ります。
無事にぜいきんの計算ができたら、お客さまにぜいきんはらっていただきます。今はインターネットでのうがくしんこくし、そのままインターネットバンキングなどを使ってお客さまにのうぜいいただく電子しんこくいっぱんてきです。しかし、中にはインターネットを使つかれていない方もいるので、そういったお客さまには紙ののうしょをおわたしし、きんゆう機関でのうぜいいただいています。げんぎるとばっきんなどが発生してしまうので、げんないのうぜいいただけたかどうかをお電話でかくにんするところまでがわたしたちの仕事です。

人を集め、人を守るのがけいえいしゃの仕事

人を集め、人を守るのが経営者の仕事

NAぜい法人は9時から17時がしゅうぎょう時間ですが、わたしは6時45分に出社します。しょくかぎを開け、まずはつまが用意してくれた朝ごはんを食べます。その後、メールのチェックなど少し仕事をしたら、近くにあるスポーツジムのプールへ泳ぎに行きます。40~50分ほどでもどってくると、大体、始業こくの9時ごろになるので仕事をさいかいします。休みの日やしゅっちょうで遠出している日をのぞいて、このルーティンを行っています。
9時こうは日によってやることがことなるのですが、げんざいけいえいしゃとしてのぎょうがメインとなっています。例えば、会社の売り上げをばすためのえいぎょう活動がその一つです。ホームページのこうしんに力を入れたり、1時間までの無料相談をじっしたり、こうさくの連続です。また、きんゆう機関でぜいきんの相談をする方が多いので、集客のきっかけになればと思い、きんりんきんゆう機関の方々と積極的にコミュニケーションもとっています。最近はぜいしょうかいサイトを見てらいさきを選ぶ方もいるため、ぜいしょうかいサイトのうんえいしゃとつながりをもったりもします。
新しいじゅうぎょういんさいよう活動や今いるじゅうぎょういんの見守りなど、人事関連の仕事も欠かせません。けいえいしゃとしてじゅうぎょういんを大切にする気持ちは人一倍強く、会社の都合でじゅうぎょういんの働く場所をうばうことはぜったいにしないと決めています。世界に約80億人もの人がいる中、いっしょに仕事ができているごえんを大切に、じゅうぎょういんとその家族もまもかくです。
ほかにも、らいまよっているお客さまに対し、会社のや事業ないようまえてらいにかかるほうしゅうがくを見積もったり、自身がけいえいしゃとしてさらに高みを目指すために、セミナーに参加したりする日もあります。

メリハリをつけて仕事をすることで、心や体にゆとりが生まれる

メリハリをつけて仕事をすることで、心や体にゆとりが生まれる

ぜいの大変なところは、ミスをするとお客さまがほうりつはんになってしまうのうせいがあり、お客さまに多大なめいわくがかかってしまう点です。新人のころ、わたしかい不足でお客さまにそんをさせてしまったことがありました。げんいんの説明としゃざいにうかがったところ、そのお客さまは「わたしあらさんを信じてお仕事をおまかせしたのだから、もうだいじょうです」と言ってくださりました。当時のわたしはまだわかく、いたらない点も多かったと思うのですが、全くめることなく変わらず信用していることを伝えてくださり、なみだが出そうになりました。同時に自分の仕事のせきにんの重さやじゅうようせいを、身をもって感じた出来事でもありました。以来、チェックリストでかくにんする、作った書類をほかの人にも見てもらう、セミナーに参加して勉強するなど、ミスをらすためのたいさくを行ってきました。
けいえいしゃとなった今は、ぎょうのマニュアル化やこまめなミーティングなど、じゅうぎょういんのミスをらすふうをしています。それからけいえいしゃとして、100%を求めるときと、60%でよしとするときとを使い分けるようにしています。例えばしんこくぎょうにはげんがありますが、げん切れはばっきんにもつながってしまうため、100%守らなくてはなりません。一方で文章作成などせいかいのないぎょうに関しては、60%でよしと考えるようにしています。わたしふくぜいにはきちょうめんな人が多く、せいかいのないぎょうに100%を求めると、しゅうせいとチェックのかえしでキリがなくなってしまいます。じゅうぎょういん数が2、3名のときはぜんぎょうについて100%を目指してチェックをすることものうでしたが、今、それをすると時間が足りず、体をこわしてしまいます。じゅうぎょういんにとってもしゅうせいかえしはほかのぎょうあっぱくするげんいんとなりストレスでしょう。60%でよいものは60%でよし、と考えるようになってからは、心にも体にもゆうができたように思います。

ぜいに求められるのは、お客さまにう気持ち

税理士に求められるのは、お客さまに寄り添う気持ち

ぎょうには数年に一度、ぜいしょによるぜい調ちょうが入ります。ぜい調ちょうとは、のうぜいしゃていしゅつした書類のないようを調べ、だつぜいなどのズルをしていないかをかくにんする調ちょうです。ぎょうとしての信用問題にも関わるためてきせつたいおうする必要があり、たいおうらいをいただくことがあります。ぎょうの今後を左右するそうしたたいえ「あらさんに相談に乗ってもらってよかった」とかんしゃの気持ちを伝えられたとき、ぜいをやっていてよかったと感じます。
ただ、そのような言葉はとてもありがたいと思いつつも、じゅうぎょういんには、それにあぐらをかかずけんきょに受け止めてほしいとも考えています。業界全体として、長いお付き合いのお客さまほどぜいうやまってくださるふうちょうがあるのですが、どんなことでも気軽にお話しいただくためにはぜいとお客さまは対等な立場でいるべきです。お金に関する話題は友人にも家族にも会社のじゅうぎょういんにもかんたんに話せるものではなく、けいえいしゃの方々はどくを感じやすいことからも、ぜいなやみにう力が必要だと思います。NAぜい法人ではう気持ちを表す行動の一つとして、お客さまとの打ち合わせの最後に「なにかこまりごとはないですか?」とお聞きすることを心がけています。

子ども時代は特別目立つ子ではなかった

子ども時代は特別目立つ子ではなかった

子どものときは、人見知りかつあんで、つねにぼーっとしている子でした。勉強やスポーツなど何をやってもへいぼんせいせきで、クラスの中でも特別目立つようなタイプではなかったと思います。中学校と高校ではバスケットボール部に入っていました。中学校のときに友人に「入ろうよ」とさそわれ、流されるままに入部しました。高校に入ったときも、試合などで顔見知りだった別の中学校出身の友人に「部活行くよ」とうながされたことがきっかけでした。入り口はいつも成り行きで正直あまりやる気はなかったのですが、一度始めたことは最後までやりげたいという気持ちがあり、中学校、高校ともに3年間続けました。やりげるしきは今も変わらず持っています。
大学に進学し、しゅうしょく活動のタイミングになっても、のんびりとしたせいかくは変わりませんでした。友人たちがしゅうしょく活動を行っていることも知らず、気づけば進路が決まっていないのはわたし一人というじょうきょうになっていました。とにかく楽な仕事をしたいという一心でなんとかしゅうしょくさきを見つけたものの、どうしても会社のふんが自分と合わず、すぐにかんを覚えました。やがて「よりやりがいのある仕事をしたい」と感じ始め、社会人1年目のときに、ぜいかくを取っててんしょくすることを決意しました。

おそきでもあきらめなかったのは、ゆめがあったから

遅咲きでも諦めなかったのは、夢があったから

さまざまなかくしょくの中からぜいを目指したのは、パンフレットに書かれていた「3年でごうかくのう!」「ねんしゅう1000万円もゆめじゃない!」といった言葉に引かれたからでした。べんこうにんかいけいは1回の試験でふくすう科目にごうかくしなくてはならないのですが、ぜいは順番に試験を受け、最終的に5科目ごうかくすればよいという方式だったこともあとしになりました。
社会人2年目のときに仕事をめてこうに通い始めると、着々と3科目をクリアしました。よくねんこうぜいしょでアシスタントをしながら勉強にはげんでいたのですが、けっこんなどのせいかつの変化もあってなかなか集中できず、あっという間に3年がたってしまいました。これはまずいと改めて気合いを入れ直し、こうは仕事以外のほぼすべての時間を勉強についやしました。仕事が終わるとこうの自習室にこもり、たくして夕飯を食べたらまた、勉強にはげみました。30さいまでに自分のぜいしょを持ちたいというゆめを原動力にがんりました。
ぜいになる場合、こうや大学のぜい受験コースに通うとよいと思います。特にわたしは周りのかんきょうえいきょうを受けやすいタイプなので、同じようにぜいかくごうかくに向けて努力している人たちの中に身を置くと、自然とがんろうという気持ちになりました。を強く持ち、ごうかくまでの数年間を自分一人で乗り切ることができる人はそう多くないと思うので、まずは学ぶかんきょうを整えることが大切だと感じます。

「運がよい」とおもむことが大事

「運がよい」と思い込むことが大事

わたし自身、しゅうしょく活動を始めるのも、ぜいを目指すのも、いろいろとタイミングがおそかったという自覚があります。それでも今では、ゆめだった自分のぜい法人を持つことができており、何事もおそすぎることはないのだと身をもって感じています。気づくタイミングは人それぞれですし、おそいことは決して不利にはならないので、自分のペースでがんりたいことを見つけてみてください。
ただ一つわすれないでいただきたいのが、「自分は運がよい」とおもむことです。生まれる場所や生活するかんきょうは一人一人ちがうので、人間は全員が完全に平等というわけではないかもしれません。でもわたしは、自分は運がよいとおもむことで「NAぜい法人を大きくしたい」「こんな人といっしょに働きたい」「もっとお金をかせぎたい」といった理想を一つずつかなえてこられた気がしています。何事も前向きにとらえて、運をせていけるとよいのではないかと感じます。

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パナソニックの創業者が、自らの経験をもとに人生で大切なことをまとめた随筆集です。経営者として、人として、どのように目の前の事実を受け止め、消化して生きていくのかを学ぶために、毎晩、少しずつ読んでいます。具体例を添えてわかりやすく書かれているので決して難しくはないですが、なかなかすべての言葉を自分の生活に落とし込めてはいません。繰り返し読み、一つずつ行動に移せるよう努力しています。
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取材・原稿作成:横塚 瑞貴(Playce)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫