• 東京都に関連のある仕事人
  • 1966年 生まれ

工事用機械・部品の製造・販売

矢口やぐち 哲也てつや

  • 子供の頃の夢

    考古学者

  • クラブ活動(中学校)

    なし

  • 仕事内容

    専務(せんむ)として,会社を経営(けいえい)する立場ですが,会社内のさまざまな実務(じつむ)にも(たず)さわっています。

  • 自己紹介

    本が好きです。一つ決めたら長く続けることができます。

  • 出身高校

    サレジオ学院高等学校

  • 出身大学・専門学校

    青山学院大学 法学部

  • 【このページに書いてある内容は取材日(2016年10月27日)時点のものです】

矢口 哲也


仕事人記事

会社を動かす経営者(けいえいしゃ)として

会社を動かす<ruby><rb>経営者</rb><rp>(</rp><rt>けいえいしゃ</rt><rp>)</rp></ruby>として

(わたし)は,土木工事に使う機械や部品を製造(せいぞう)する,「原工業株式会社」という会社に(つと)めています。専務(せんむ)という役職(やくしょく)ですが,経営者(けいえいしゃ)としての仕事だけではなく,実際(じっさい)にお客様から注文を聞いたり,直接(ちょくせつ)納品(のうひん)したり,工場で組み立て作業をしたり,会社内のさまざまな実務(じつむ)にも(たずさ)わっています。決して大きな会社ではないので,専務(せんむ)であっても各部署(ぶしょ)役割(やくわり)を十分に理解(りかい)し,一連の工程(こうてい)把握(はあく)することが大切だと考えています。そうすることで,社員に具体的なアドバイスができ,作業効率(こうりつ)に問題はないか,改善点(かいぜんてん)は何かを考えることができます。
会社の方針(ほうしん)として,最近では国内だけではなく海外にも事業展開(てんかい)をするようになってきました。一例として,現在(げんざい)政府(せいふ)開発援助(えんじょ)一環(いっかん)でスリランカに社員を派遣(はけん)しているところです。日本の製造(せいぞう)技術(ぎじゅつ)は世界でもトップクラスですが,近年は国内だけでなく,新たな販売先(はんばいさき)開拓(かいたく)すべく海外に進出していこうという動きが活発になっています。

トンネル・ダム建設(けんせつ)に欠かせない「止水(しすい)

トンネル・ダム<ruby><rb>建設</rb><rp>(</rp><rt>けんせつ</rt><rp>)</rp></ruby>に欠かせない「<ruby><rb>止水</rb><rp>(</rp><rt>しすい</rt><rp>)</rp></ruby>」

トンネルは,(あな)の直径とほぼ同じ大きさの「シールドマシン」という巨大(きょだい)な機械を使って()りますが,マシンが通ったところから湧水(ゆうすい)(わき出してくる水)が()み出てこないようにする技術(ぎじゅつ)を「止水(しすい)」といいます。当社ではこの止水(しすい)に使う特殊(とくしゅ)な機械を製造(せいぞう)しており,トンネルを()るときに,地盤(じばん)沈下(ちんか)が起きるのを(ふせ)ぐことができるのです。
トンネル工事は,ダム建設(けんせつ)(ともな)って行われる場合があります。ダムの建設(けんせつ)予定地は山奥(やまおく)にあることが多く,工事の前に道路を整備(せいび)する必要があり,そのためにトンネルを()ることがあるのです。群馬(ぐんま)県で建設(けんせつ)が進められている八ッ場ダムでも,トンネルを開通させ,大型の重機が通れるよう道幅(みちはば)を広げ,かさあげする工事を行っています。
また,ダム自体の建設(けんせつ)にも関わっています。ダムは水を()めるための建造物(けんぞうぶつ)なので,水が()れないよう止水(しすい)工事を行います。山と山の谷間にダムを(つく)る場合,300メートルほど採掘(さいくつ)し,ダムの湖底やつなぎ目にセメントを流し()みます。

(わか)い社員とともに,一丸となって

<ruby><rb>若</rb><rp>(</rp><rt>わか</rt><rp>)</rp></ruby>い社員とともに,一丸となって

会社は「人」で成り立っています。(かり)に社員全員が同じ方向を向くことができれば,会社はうまく回っていく気がしますが,そう簡単(かんたん)には動いてもらえません。仕事のうえで(わたし)が社員に求めていることが,いつかは(かれ)ら自身のためになる。それをいかに実感してもらうかにかかっています。日頃(ひごろ)は,(わか)い社員に積極的に声をかけるよう心がけています。自分の人となりを見せ,会社に対する考え方を伝えることで,次第に理解(りかい)してもらえればと思っています。
高校を卒業してすぐに入ってくる新入社員には,お給料をもらう以上に,自分の仕事に責任(せきにん)を持ってほしいと伝えています。お客様はお金を(はら)って注文するので,100点満点の完璧(かんぺき)な仕上がりを求めるのが当たり前。120点なら,もしかすると()めてもらえるかもしれませんが,99点では当然(おこ)られてしまいます。(きび)しいようですが,こうした意識(いしき)があるからこそ,日本の技術(ぎじゅつ)が世界最高水準(すいじゅん)にまで達することができたのだと思います。これからの(わか)い世代にも大切にしてほしい考え方です。

日本のインフラを守る仕事

日本のインフラを守る仕事

当社では,大型の機械だけではなく,工事に使用する細かい部品なども製造(せいぞう)しています。これまでに高速道路や鉄道,空港など,さまざまな現場(げんば)に部品を提供(ていきょう)してきました。たとえ小さな部品でも,大きな道路や有名な建造物(けんぞうぶつ)に自分たちの部品が使われていると思うと,「うちの部品を使ってこれが(つく)られたんだな」と,とても感慨深(かんがいぶか)いものです。
日本の人口は減少(げんしょう)し,高齢(こうれい)化が進んでいますが,人口が()るのなら,道路や鉄道などのインフラをこれ以上,充実(じゅうじつ)させる必要はないという意見もあります。しかし,高齢(こうれい)化が進む今こそ,バリアフリーも含めたインフラを整備(せいび)して発展(はってん)させていかなければ,どんどん住みにくくなり悪循環(あくじゅんかん)(おちい)ると思っています。
地方や都市部など地域(ちいき)に関係なく,(だれ)もが住みやすい環境(かんきょう)をつくる。社会のインフラを(ささ)えるという,必要不可欠(ふかけつ)役割(やくわり)(にな)えることが,この仕事の大きな魅力(みりょく)だと思います。

どんな小さなことにも気配りを

どんな小さなことにも気配りを

当たり前のことを当たり前にこなし続ける。一見簡単(かんたん)なようで,実はとても(むずか)しいことだと思います。単純(たんじゅん)業務(ぎょうむ)であっても,細かいところまで気を配って初めて成し()げられます。お客様に対しても,社員に対しても,(つね)に気を配り,誠実(せいじつ)であるよう,日々(ひび)心がけています。
「社内の人間には,(おこ)るのではなく(しか)れ」という言葉があります。「(おこ)る」とは,感情(かんじょう)をむき出しにして一方的に自分の考えを相手に()し付けることです。「(しか)る」とは,なぜ間違(まちが)った行動を取ってしまったのか,その原因(げんいん)まで把握(はあく)し,相手にとってプラスとなるアドバイスをすることです。
品物を確実(かくじつ)(おさ)めるという,ごく基本(きほん)的な業務(ぎょうむ)であっても,細かい気配りがなければうまくできません。ごく小さな部品が(わたし)たちのインフラを(ささ)えているように,大きな仕事も,小さな配慮(はいりょ)の積み重ねでできているのでしょう。

システムエンジニアから転職(てんしょく)

システムエンジニアから<ruby><rb>転職</rb><rp>(</rp><rt>てんしょく</rt><rp>)</rp></ruby>

(わたし)は大学卒業後,ある銀行のシステム部に就職(しゅうしょく)しました。専用(せんよう)の機械を使って残高照会や振込(ふりこみ)などの手続きをする,今でいうインターネットバンキングにあたるものに(たずさ)わり,システムエンジニアのような仕事をしていました。当時のプログラムはまだまだ欠陥(けっかん)も多く,修正(しゅうせい)作業などに追われ,毎日深夜まで働いていました。そんな生活を続けていたところ,身体を(こわ)してしまったのです。
今の会社は,(わたし)の父が会長,おじが社長を(つと)めているのですが,(わたし)が身体を(こわ)したちょうどその(ころ),人手が足りず,(わたし)の体を心配する家族の(すす)めもあり,銀行を辞めてこの会社に入ることになりました。もともと実家で働くことなど考えてもいなかったのですが,小学校の(ころ)から手伝いをして勝手は知っていたので,まずは一従業員(じゅうぎょういん)として働き,一通りの仕事を身につけていきました。

体の弱さを克服(こくふく)した子ども時代

体の弱さを<ruby><rb>克服</rb><rp>(</rp><rt>こくふく</rt><rp>)</rp></ruby>した子ども時代

子どもの(ころ)呼吸器(こきゅうき)(けい)が弱く,ぜんそくを(わずら)っていて,発作のたびに寝込(ねこ)んでしまうほど病弱でした。調子の悪いときは月の半分ほど寝込(ねこ)んでいた時期もありました。そんな自分を変えるべく,体を(きた)えて強くなろうと思い,いろいろなことを試しましたが,小学校4年生(ごろ)から,毎日走ることにしました。近くの公園にある外周440メートルのコースを10周する,約4キロのランニングです。これを毎朝続け,夜も犬の散歩を()ねて走っていたら,いつの間にか寝込(ねこ)むこともなくなっていたんです。また,もともとはとても足が(おそ)かったはずなのに,小学校を卒業する(ころ)にはリレーの選手にもなれました。やはり,「継続(けいぞく)は力なり」です。一度やると決めたらしっかりと続けることが大事ですね。

好きなことには全力で取り組もう

好きなことには全力で取り組もう

「好きこそものの上手なれ」というように,まずは自分のやりたいことや興味(きょうみ)のあることをがむしゃらに追いかけ,徹底(てってい)的に()り進めていってほしいと思います。興味(きょうみ)を持っていれば,「もっと知りたい」「もっと向上したい」という(よく)が出てくるはずです。好奇心(こうきしん)や向上心に(したが)って()き進み,とことん追求していく精神(せいしん)が,日本のモノづくりを(ささ)えています。
好きなことを追求できれば,生涯(しょうがい)にわたって取り組む趣味(しゅみ)になるかもしれないし,もしかしたらそれが天職(てんしょく)となるかもしれません。ひとたびやってみたいことや好きなことに出会ったら,とにかく一生懸命(いっしょうけんめい)やることです。一生懸命(いっしょうけんめい)取り組む姿(すがた)は,人間として非常(ひじょう)に美しいものでもあります。みなさんにはぜひ,好きなものをとことん追求するような人になってほしいと思います。

  • 取材・原稿作成:東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫

私のおすすめ本

  • 小説吉田学校

    戸川猪佐武

    戦後の日本の礎を築いたのは吉田茂です。当時は自分の私財をなげうっても日本が良くなればと考える政治家が多かったのです。人の上に立つ人というのは,かくあるべきと思える一冊です。

  • 国盗り物語

    司馬 遼太郎

    織田信長は破天荒な性格と言われていますが,司馬遼太郎の小説では,信長の合理的で革新的な考えが描かれています。一騎当千の兵を機動力を高めた足軽たちが破ったり,鉄砲を取り入れたり,先を見る目がありました。本能寺の変が無かったらどうなっていたのだろうと考えずにはいられません。