仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1980年 生まれ 出身地 東京都
矢代やしろ 祐介ゆうすけ
子供の頃の夢: 理容師
クラブ活動(中学校): サッカー部
仕事内容
わせ、さいげんせいぞくせい心地ここちよさ」を三本柱に、お客さまにとってのあるサロンにする。
自己紹介
体を動かすことが好きで、フットサルや野球、ランニングがしゅです。バイクや車も好きで、ツーリングにもよく行っています。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2024年11月26日)時点のものです

お客さまのよう姿を「整える」のがよう

お客さまの容姿を「整える」のが理容師

わたしは、東京都いたばしで「Barber A l’ aise(バーバー・アレーズ)」というようしつけいえいしながら、ようとして働いています。
よう」と「よう」はどうちがうの? と思う人もいるかもしれません。かんたんにご説明すると、どちらもかみをカットしたり、めやパーマを行ったりするのはいっしょです。しかし、ようはカミソリを使い、お客さまのひげや顔の毛を「そる」というこうが全面的にゆるされているのが大きなとくちょうです(ようも、軽い顔そりをげんていてきに行うことはできます)。実はようようでは、かくぎょうについて定めたほうりつちがっていて、ようには「ようほう」、ようには「ようほう」というほうりつがあり、かくしゅとくのための試験ないようも全然ちがいます。ようようほうで「とうはつかりこみ、顔そりなどの方法によりよう姿を整えること」とていされている一方で、ようようほうで「パーマネントウェーブ、けっぱつしょうなどの方法により、よう姿を美しくすること」と定められています。
今、ようよういんくらべてようようしつはどんどんってきています。人数も、ようの約58万人に対し、ようは約20万人となっています(※2024年3月時点、せいとうけいによる)。

お客さまへのじゅつだけでなく、ようの組合の活動も

お客さまへの施術だけでなく、理容師の組合の活動も

開店は午前10時なので、わたしは9時にお店に来て店内のそうをしたり、タオルをたたんだり、鏡をいたりとさまざまな作業をしてお客さまをむかえるじゅんをします。お客さまにはほんてきに事前予約をお願いしているので、その日に予約していただいたお客さまへのじゅつを行っていきます。仕事が終わるのはだいたい20時ごろで、あとかたけなどをしてお店を出るのは21時ごろです。わたしけいえいしゃなので、長時間働きますが、じゅうぎょういんはそういうわけにいかないので、じゅうぎょういんは10時にしゅっきんして20時に退たいきんします。
休日は毎週月曜日と火曜日ですが、同じようたちで結成されている組合の役員でもあるので、その関連のイベントで活動することがとても多いです。例えばけいえいに関する勉強会をかいさいしたり、わかようたちに向けてじゅつこうを開いたりします。ときには、自分自身がこうとしてじゅつを教えることもあります。先日は、組合のメンバーで行われる全国のフットサル大会のうんえいという仕事がありました。理事の中ではわたしわかいほうなのですが、もともと自分の父親が組合でずっと役員をやっていたり、もともと働いていた店のオーナーが理事長だったりという関係もあり、自然とそういうやくわりえていきました。

立ち仕事とコミュニケーションの大変さ

立ち仕事とコミュニケーションの大変さ

ようの大変なところは、まず、立ち仕事であることです。一日中立ちっぱなしなうえに、前かがみでのじゅつが多くなります。そうすると、どうしても体やこしたんがかかってしまいます。そのうえ、労働時間が長く、休日も少ないので、体力的な面がいちばん大変です。
また、この仕事はお客さまとのコミュニケーションも重要です。これもむずかしいところで、無言でも気まずいと思いますし、こちらがペラペラしゃべりすぎてもお客さまはつまらないと思います。いかにお客さまから話を引き出してあげるかというのが重要なのですが、これがなかなかむずかしいものなのです。そのため、先ほどお話しした組合でのこうしゅうかいでは、プロのアナウンサーの方をんでお話を聞くこともあります。
そして何より、ようはお客さまの顔にちょくせつものを当てる、数少ない仕事の1つです。が起こらないようにいつも集中し、細心の注意をはらっています。特にお子さまだと顔を動かしてしまうことが多いので、より注意が必要です。ただ、安全にじゅつする方法はあるので、そういったこともこうしゅうかいで勉強します。

「リラックスしたい」という目的でもだいかんげい

「リラックスしたい」という目的でも大歓迎

わたしは、ようの仕事は「かみを切ってその場で終わり」ではないと思っています。店にもってあるのですが、わたしのモットーは「わせ、さいげんせいぞくせい心地ここちよさ」です。
まず「わせ」については、当たり前ですが、どんなにかっこいいげいのうじんの写真を持ってきて「このかみがたにして」と言われても、その人の顔に合っていなければぜったいにかっこ悪くなってしまうと思います。でも、近づけてあげることはできるわけです。まずそのお客さまがなぜこのスタイルにしたいと思ったのかをかいし、それをこのお客さまにどのようにセットすればかっこよく見えるか、というのを考えていく。それがはまったときのおもしろさももちろんありますが、うまくはまれば、お客さまはぜったいよろこんでくれるんですね。そのよろこびがわたしよろこびでもあります。
次に「さいげんせいぞくせい」は言葉のままで、いかに明日の朝、同じようにセットができるか、それがいつまで続くか、ということを大切にしています。
最後に「心地ここちよさ」ですが、わたしはなるべく、お客さまには心地ここちよくじゅつを受けてほしいと思っています。実は時折、「つかれたからシャンプーされてリラックスしたい」という目的で来られる方がいらっしゃいます。そういうリラクゼーション目的の方もだいかんげいですし、わたしの大切にしている部分が伝わっているんだな、と思うとうれしいです。

人生の節目にたずさわることができる仕事

人生の節目に携わることができる仕事

お客さまのなかには、「けっこんしきひかえているので」という理由でかみを切りに来られる方がよくいらっしゃいます。けっこんしきのような人生の一大イベントの前におとずれる場所というのは意外と少なく、ようしつは数少ないそういった場所だと思います。そのようにお客さまの人生の節目にたずさわれるというのも、この仕事のりょくではないでしょうか。とてもやりがいがある仕事だと思います。
また、じゅつ後のお客さまのすっきりしたひょうじょうなどを見られる、そしてお客さまから「ありがとう」と言ってもらえる。これもまた、うれしいですね。洋服やくつ、アクセサリーはえることができますが、かみというのは、24時間365日、その人の頭にくっついているものです。だからこそかみがたは大事だと思いますし、それをいじることができるというのは、ゆいいつの仕事だなと思います。だからこそ、お店を続けていくためにも、きちんとお客さまに選ばれる店でありたいと思います。せっきゃくもそうですし、お店のふんづくりなど、お客さま目線をわすれずにいたいと思っています。

おさないころから親しんだようの世界に

幼いころから親しんだ理容の世界に

わたしようの道を選んだのは、父親がようだったからです。実は高校生のときにはほかに好きなものがありました。それはサッカーとバイク、車でした。しかし、サッカーは自分のじゅつではプロになんてなれるようなレベルではないと気づいていました。また、バイクや車は「本当に好きなことはしょくぎょうにしないほうがいいのでは」と思い、そちらの分野のせんもん学校に進学するのはやめようと思いました。じゃあ自分には何ができるんだろう、と考えるうちに、おさないころから身近だった「よう」というしょくぎょうが全くいやではないことに気がつきました。子どものころから年末などいそがしいときは店を手伝っていて、お客さまからおづかいをいただくなど、いい思い出が多かったのもえいきょうしていると思います。
ようめんきょは国家かくなので、高校卒業後にせんもん学校などで2年間じゅつを学び、ざいがく中に国家試験を受け、その後、お店などにしゅうしょくして働きながらじゅつを高めていくというのがいっぱんてきです。わたしは学校を卒業したあとは別の店にしゅうしょくし、16年間そちらの店でつとめたあと、2017年にどくりつしてげんざいの店を立ち上げました。

「人といっしょに動きたい」のは昔から

「人と一緒に動きたい」のは昔から

実家もようしつだったので、どうしても親の休日は月曜日と火曜日になります。そうなると家族で出かけるのもその曜日になるので、友達とは遊びのスケジュールなどが合わなくなります。小学校低学年のときは、それがげんいんでいじめられることもありました。しかし、小学校4年生のころにサッカーに出合ったことや、仲がいい友達ができたこともあり、その後は中学、高校で学級委員などをつとめるタイプになりました。今思うと、そういうポジションにいるのがきらいではなかったですし、人に言われて動くよりは「人といっしょに動いていたい」タイプなのだと思います。今、ようの組合の活動などを行っているのも、店も人もげんしょうが続くようの業界をどうにか変えたい、そのためには自分も動いていたい、と思うからです。このしつは子どものころから変わっていないんだろうな、と思っています。

AIにはだいたいできない、消えることはない仕事

AIには代替できない、消えることはない仕事

ようという仕事に、りょくぜったいあると思っています。人のかみをいじることができるというのはとてもちょうな仕事ですし、お客さまにかんしゃされる仕事だというところも、いいしょくぎょうだと思います。たしかに大変なところはありますが、大変だからこそ、ぎゃくよろこびも大きいのかなと思います。「ようようしつっている」と聞くと「未来がないのかな?」と思うかもしれませんが、実はしんがたコロナウイルス流行下でも、売り上げは下がらないお店がほとんどでした。都心につうきんできなくなったり、遠出できなくなったりした分、近所でようしつさがしたという方も多かったのです。そういう意味では、決してすたれることはないですし、いくらAIが発達しても代わることはできないしょくぎょうだと思っています。ぜひ、ようという仕事にきょうを持ってもらえたらうれしいです。そしてようだけでなく、身の回りにあるいろいろなしょくぎょう、特にじゅつを身につけて自分の手や体を動かすようなしょくぎょうにも目を向けてほしいなと思います。

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取材・原稿作成:川口 有紀(フリート)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫