仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1965年 生まれ 出身地 奈良県
武智たけち 良子よしこ
子供の頃の夢: キャビンアテンダント
クラブ活動(中学校): バドミントン部
仕事内容
会社の金庫番として,会社にかかわるすべてのお金を動かす。
自己紹介
明るくおおらかなせいかくです。しゅは世界的タンゴ歌手・さえあんさんのおうえんで,国内だけでなく,パリ,ハワイなど,世界中のコンサートを追いかけています。
出身大学・専門学校

※このページに書いてある内容は取材日(2019年06月10日)時点のものです

病院や学校の空調工事を,せっけいからこうまで

病院や学校の空調工事を,設計から施工まで

わたしは東京都足立区にある,さんえいくう調ちょうという会社でけいの仕事をしています。夫はさんえいくう調ちょうの社長です。さんえいくう調ちょうは,主に,学校,病院,けいさつしょしょうぼうしょといった公共せつ,工場やビルのエアコンやかん機器(かんせんなど)を取り付けている会社です。
「エアコンの取り付け」というとかんたんに聞こえるかもしれませんが,じっさいは,どの部屋のどのしょにエアコンを取り付ければこうりつよくれいだんぼうを運転させることができるかを考え,そのうらにあるふくざつな配管をせっけいし,さいてきな材料やじゅつしゃを集め,そして安全に空調工事をかんりょうへとみちびく,せきにんの大きな仕事です。工事期間はそれぞれのげんちがいますが,1けんにつき半年から2年ていです。外部から集めたじゅつしゃいっしょにチームをつくって工事を行うことがほとんどです。
さんえいくう調ちょうの特長は,なんといっても働く人のせいかくうでがいいところです。社長をはじめとする11名のスタッフ全員がお客さまの立場に立って,多少のなんだいならば「なんとかしよう!」と前向きに受け入れつつ,日々のぎょうに向き合っています。また,せっけい,配管,スケジュールの管理やげんでのこうぎょうを,ちみつかつていねいに行っているところもひょうしていただいています。東京都,足立区から何度もゆうりょう工事業のひょうしょうを受けました。
まかせておけば安心だよね」,そう言っていただける人間力とじゅつりょくを持ったスタッフがそろっている,それがわたしたちさんえいくう調ちょうの強みだと思っています。

会社にかかわるすべてのお金を動かす「金庫番」

会社にかかわるすべてのお金を動かす「金庫番」

わたしたんとうしているのは,さんえいくう調ちょうけいぎょうです。けいというのは,会社のおさいにぎっている,いわば「金庫番」のようなもの。さまざまな仕事の売上,じんけんけいなどをれなくあくして,社長といっしょに,出たえきをどのように使うかを考えていきます。じゅうぎょういんのお給料を上げたり,がんばった社員をボーナスでねぎらったり,ITシステムをどうにゅうするなどせつとうに使ったり,ちょちくしたり……。わたしたちが「えきをどのように使うか」で,じゅうぎょういんのモチベーションが上下し,会社の未来も変わっていきます。けいというのは会社のけいえいに直結する,とてもおもしろい仕事だなあと実感しています。
日々のお金の動きをあくするだけでなく,1年間のお金の動きをそくし,計画するのも,けいの大切な仕事です。前年度の売上やえきをまとめた「決算書」というりょうを参考にしながら,今後1年間の見通し,ビジョン,予算計画をつくっていきます。「〇月は大きな売上につながるしんちくこうあんけんが入ってきそう」とか,「この月は少し仕事が落ち着きそうだから,新しいお客さまとの仕事にちょうせんしよう」とか,「毎月〇円ていなら,無理なく会社のちょちくやすための積立ができそう」とか,そんなことを考えながら,向こう1年間の「お金にかかわる目標」をせっていしていくのです。その後,目標を達成できたか,達成できなかった場合,そのげんいんはなにか,どうすれば達成できるかなどを,毎月,細かくかえっていきます。1日,1か月,1年,長短さまざまなスパンでお金を見つめ,会社の成長をサポートしています。

社員とコミュニケーションを取りながら

社員とコミュニケーションを取りながら

けいの仕事をするさい,大切にしているのが,社員とのコミュニケーションです。けいというとむずかしい顔でお金の計算に向き合ってばかりいるかたい仕事,と思われがちなのですが,数字をげるのもお金を持ってくるのも,結局は人です。顔をわせて人と話をしながら,社員のほっしているもの,必要としていることなどを聞き出して,気持ちよく働いてもらうためにお金を使うことを心がけています。
また,人には「遊び」が欠かせません。ただがむしゃらに働いているだけでは,息がまって苦しくなってしまいます。わかいうちは友だちやこいびとごす時間もしいでしょうし,子どもを持つお父さんやお母さんは,わが子とたっぷり遊びたいことでしょう。働いた分だけお金をもらい,しっかり休んでリフレッシュする,当社の社員には,そういうメリハリのある生き方をしてもらいたいなと考えています。こうして人の心がゆたかになると,会社もうるおうと思うのです。
キツイと言われているけんせつぎょうだからこそ,そして大手ではなく小さな会社だからこそ,もっともっと働きやすいかんきょうを整えていきたい。そんな思いを持って,社長とにんさんきゃくで,出たえきをみんなで分け合えるようなけいけいえいを行うよう心がけています。

不景気やてんさいで思いがけない苦労をすることも

不景気や天災で思いがけない苦労をすることも

いままででいちばん苦労したのが,今から10年ほど前の世界的な不景気のときでした。仕事がげきげんし,会社のちょきんも少しずつりしていきました。そこで銀行にお金を借りるためのこうしょうを行うことになったのですが,ぎょうかくだいのためのゆうでなく,をしのぐための,どちらかといえば消極的なゆうのお願いだったため,なかなかしてくれるところが見つからず,苦労しました。
社会じょうせいの変化やしんさいなどのてんさいによって発生するけようのない不景気は,いつやってくるかわかりません。こうしたそくたいにしっかりたいおうできるよう,日ごろからコツコツと会社にちょきんをつくっておくことや,銀行などとのしんらい関係をたもっておくことが欠かせません。会社になにかあったときこそ,けいうでの見せ所。思いがけないトラブルやイレギュラーなたいが起きたとき,お金の面でこまることがないようにしておくことも,わたしたちの役目なのです。

お金はあたえられるものではなく,自分の手で生み出すもの

お金は与えられるものではなく,自分の手で生み出すもの

小さいころからお金のあつかい方を考えることが好きでした。理由は,家がまずしかったからです。母親のほうしんで食べ物だけはぜいたくあたえてもらっていたのですが,それ以外は自分でどうにかしなければ手に入らず,お年玉やおづかいをコツコツめて「しいものができたとき」にそなえていました。
高校生のときにゆう便びんきょくでのアルバイトを始め,次はおべんとうさんで働いて,というふうにしてめ続けたアルバイト代で短大に進学し,のときには自分で車を買いました。
こうしたけいけんを通して知ったのが,お金を生み出す喜びです。「お金はだれかにあたえられるものではなく,自分でつくり出すことができるものなんだ!」と気づいて,働いてかせぐこと,ちょちくすること,運用することが,ますます楽しくなりました。自分で働いてめたお金で,自分のしいものを買い,自分のやりたいことをやる。この達成感って,ものすごいものがありますよね。昔からいっかんして,自分のさいりょうで目的を持ってお金を動かすことが好きでしたし,それはけいの仕事をしている今も変わりません。

小さな会社でけいけんしたお金の苦労が,けいとしてのスキルアップに

小さな会社で経験したお金の苦労が,経理としてのスキルアップに

短大を卒業後,おおさかだいぎょうしゅうしょくしました。が,会社が大きすぎて社員の声がとどきにくく,せいやくやルールが多いことも気になって,すぐにてんしょくを決意しました。小さな会社をさがして,しょくいんとして働き始めました。仕事をしているうちにけいの仕事もするようになり,そこで,会社のけいえいをお金の面で動かしていくけいというしょくしゅおもしろさを感じるようになりました。ところが,その会社のけいえいかたむいて,お給料がはらえないようなたいになってしまって。きんりや社内外への説明に,それはもう,とても苦労したことを覚えています。
その後,当時のさんえいくう調ちょう社長のおいである夫と出会ってけっこんし,まずは夫の弟がけいえいする運送会社でいっぱんとして働き始めました。このとき役に立ったのが,ぜんしょくでのけいけんです。お金に関するさまざまなこんなん,トラブル,こうしょうごとたりにしていたため,知らず知らずの間に,「人生のたから」と言ってもいいぐらいのしきけいけんたいしょほうのようなものが身に付いていたのです。運送会社で起こるさまざまなこんなんにも落ち着いてたいしょすることができ,また,先を見通してリスクをかいするていあんや行動を起こすこともできて,苦労したかいがあったなと思いました。
こうしたたいおうひょうされたようで,夫がさんえいくう調ちょうの社長になると同時に,わたしけいとしてさんえいくう調ちょうで働くようになりました。

目的を持ってお金をめて,好きなことにちょうせんしよう

目的を持ってお金を貯めて,好きなことに挑戦しよう

わたしはこれまで,おおじょうじょうぎょう,不動産会社,運送会社など,さまざまなぎょうけいの仕事をしてきました。会社のお金に関するトラブルに直面し,苦労したことも少なくありません。
しかし,だからこそ心から思うのです。楽しかったことだけでなく,苦労したことやつらかったこと,すべてのけいけんが,のちの人生をつくるかてになるのだと。好きなことがあってチャンスがあったらどんどん飛びこんでほしい。いろんな分野でけいけんを積んで,自分のなかの引き出しをやしてほしいなと思っています。
それから,ぜひ,目的を持ってお金をめてほしいですね。ただお金をめるのではなくて,必要なときに使うためにめてほしい。お金は,自分のゆめをかなえるための道具です。例えば,めたお金で新しい本を買えば,その本を読むことによってしきやすことができます。得たしきを使うことで目標に近づき,さらに大きなお金を得られることもあります。海外にりゅうがくしたっていいし,おいしいものを食べ歩くというのでもいい。ぜひめて,使って,やすことの楽しさを感じてほしいなと思います。

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お金の使い方がわかる本です。夢をかなえるためどうやってお金を味方につけたらよいかが,豊富なエピソードとともに,とてもわかりやすくまとめられています。
取材・原稿作成:秋山 由香(Playce)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫