※このページに書いてある内容は取材日(2018年06月26日)時点のものです
びんやペットボトルをリサイクルしやすく加工する会社
私は東京・足立区にある再生資源事業をしている会社「トベ商事」で,総務担当として働いています。「総務」というのは,会社全体の事務をおこなう仕事です。
トベ商事という会社は創業125年の老舗企業で,創業当初は空きびんの回収を専門にしていました。現在は企業やコンビニエンスストア,飲食店などから,びんの他に缶やプラスチック,ペットボトルなどの廃棄物を回収し,リサイクルしやすいように加工する仕事を主にしています。その他に,資源物や廃棄物の輸送を請け負ったりもしています。
例えばペットボトルの場合は回収してきた後,まず大きな異物を取り除いてから,透明なボトルと色付きボトルに分別します。そして,粉砕機でペットボトルをフレーク状に砕き,人の手でさらに異物を取り除いた後に,リサイクル業者に出荷します。びんの場合は,洗って繰り返し使えるリターナブルびんと,一回だけ使うワンウェイびんがありますが,リターナブルびんの場合は洗浄機できれいに洗浄して再利用に回します。ワンウェイびんは粉々に砕いて再生原料にするため,びんから異物や中の液体を取り除き,色ごとに仕分けしてからリサイクル業者に出荷します。トベ商事はこのように資源のリサイクルに関わることで,地球の環境を守ることに貢献している会社です。
自分の頑張りが,社員全員の働きやすさを守る
私が担当している総務という仕事は,会社の業務がスムーズに回るように,さまざまな業務をこなします。社員の出社・退社時間を管理したり,休日の数が法律上,適切かどうかをチェックしたりするほか,新しい人材を仲間にするための採用業務や,文房具や蛍光灯といった,会社で必要になる備品を管理・発注する業務など,仕事内容は幅広いものです。現在は私ひとりで総務の仕事をこなしているので,毎日,忙しい日々を送っていますね。
総務はいろいろな業務を担当するので,自分の仕事のスケジュール管理が重要になります。例えば,採用業務をしている時期であっても,備品が切れたと言われればすぐにそれを発注し,蛍光灯が切れればそれを交換したりもします。そのように次から次へとやってくる依頼にきちんと対応し,ミスや抜け,漏れがないよう仕事をこなしていきます。
総務という仕事は,会社の中で何か困ったことがあった時,一番に駆けつけてその悩みを解決することが使命とも言えます。だからこそ,相手の話をしっかりと聞いて,どんなことに悩んでいるのか,どうすればそれを解決できるのか,ということをしっかりと聞くようにしていますね。普段は地味で目立たない仕事かもしれませんが,いざという時に頼られる,縁の下の力持ちのような存在なんですよ。自分の頑張りが,社員全員の働きやすさを守るために必要なんだという思いを持って,仕事をするようにしています。
トラックでルートを回っていたドライバー時代
実は私はもともと,トベ商事にはドライバーとして入社したんです。ドライバーは,軽トラックや大型トラック,荷台の側面が大きくはね上がるように開く「ウイング車」などに乗って取引先を回って廃棄物を回収します。深夜にコンビニや居酒屋を回ってびんやペットボトルを回収したり,朝から生ゴミを回収したりと,担当によって仕事内容はさまざまです。飲食店などが担当だと,ゴールデンウィークや年末年始にはたくさんの飲み物が消費されて回収する量が増え,特に忙しくなりますね。
ドライバーをしていたころは,集中力を切らさず効率的に回れるよう,運転のスキルを磨くようにし,いかに効率的にコースを回れるかを常に意識していました。当時はカーナビもありませんでしたから,地図を見ながら,自分の中でより効率的なルートを選び,1日50か所しか回れなかったところを80か所,100か所と回れないかと,いろいろと考えたものです。
地球環境を守ることにつながる大切な仕事
ドライバー時代は,廃棄物の回収先で「ありがとうございます」と言ってもらえることが一番の喜びでしたね。自分の仕事が誰かの役に立っていると実感できる瞬間です。あとは,単純に運転することが大好きなので,トラックに乗っていろいろな場所を回ることにやりがいを感じていました。
現在の総務の仕事では,他の社員に依頼されたことに素早く対応して「ありがとう」と言ってもらえると,やりがいを感じます。社員が働きやすい環境を作るためにも,効率よく仕事をこなして対応できるように頑張っています。
そして何より,私たちの仕事が地球環境の保護に貢献しているということにはやりがいを感じています。びんやペットボトルをそのままゴミとして燃やしたり,埋め立てたりすると,環境や人の健康に悪い影響を与えてしまうだけでなく,限りある天然資源を無駄にすることにもなってしまいます。資源をリサイクルして有効活用することは,地球を守るためにも重要なことですから,自分のしている仕事が地球のためになっているというのは,働くうえでの充実感につながっていますね。
自分の「好き」から仕事を選んだ
高校を卒業し,どんな仕事をしようか考えた時,どうせなら自分の好きなことを仕事にしたいと思いました。そうして考えると,私は子どものころから車が好きで,同時に車を運転することも大好きだということに気づいたんです。そこから,自分の目標が明確になりました。職業訓練校に通った後,車を運転することが仕事になる,ドライバーという職業を選んだのです。そうしてトベ商事に入社したのですが,そこからはドライバーとして,とにかく毎日ひたすら車の運転をしました。好きなことを仕事にできて,毎日とても充実していましたよ。
ドライバーとして経験を積む中で,いつしか他のドライバーたちのスケジュールやシフトを管理するリーダーの立場になり,その後,もっと会社全体のサポートをしてほしいと会社から言われ,現在の総務という仕事にチャレンジすることになりました。同じ会社で働く仲間の役に立てるこの仕事は,運転することとはまた違った楽しみがあって,飽きませんね。
好きなことに全力で打ちこんだ子ども時代
私が子どものころは,今みたいにテレビゲームがどの家にもあって,という状態ではありませんでしたから,外で遊ぶことが多かったですね。鬼ごっこをしたり,サッカーをしたり,野球をしたり,とにかく体を動かす遊びが好きな子どもでした。中学・高校では部活でバレーボールをしており,毎日遅くまで練習していました。それなりに強いチームで,東京の都大会まで進出したこともあるんですよ。部活仲間もたくさんいましたから,練習が終わってから,みんなでよく遊びに出かけたりもしたものです。
勉強は正直そこまで得意ではありませんでしたが,地理の授業だけはとても楽しんでいたように思います。知らない土地に行くことを想像したり,地図を見たりすることに楽しさを感じていたのだと思います。これがドライバーという仕事を目指すきっかけの一つになったかもしれませんね。
ちょっとした心がけで,地球はもっときれいになる
みなさんには,子どものうちからたくさん勉強をして,いろいろな知識を身につけておいてほしいと思います。その知識が自分の選択肢を広げて,将来の職業を選ぶきっかけになるかもしれません。
あとはぜひ,普段からゴミの分別を心がけてみてください。「捨てればごみ,分ければ資源」という言葉があります。いつもはあまり意識することもないかもしれませんが,家の前に出したびんや缶が回収され,また新しいびんや缶になって帰ってくるまでには,とてもたくさんの人の努力が隠れているんです。みなさんが大人になった時に,今よりも街が汚れてしまっていたら悲しいですよね。目の前にあるゴミを正しく分別すれば,間違いなく地球環境のためになります。私たちのような仕事をしている人たちがいるということを想像しながら生活してもらえるとうれしいですね。