• 東京都に関連のある仕事人
  • 1968年 生まれ

    出身地 神奈川県

さいばんかん裁判官

桃崎ももさき つよし

  • 仕事内容

    法律ほうりつ的な争いを中立的な立場で判断はんだん解決かいけつ

  • 自己紹介

    明るく好奇心こうきしん旺盛おうせいで前向きなタイプ。仕事もプライベートも一生懸命いっしょうけんめい。サイクリング(ロードバイク),落語,クラシックやジャズなどの音楽鑑賞おんがくかんしょう美術館びじゅつかんめぐり,茶道をつま一緒いっしょに楽しんでいます。

  • 出身高校

    神奈川県立茅ヶ崎北陵高等学校

  • 出身大学・専門学校

    早稲田大学 法学部

  • 【このページに書いてある内容は取材日(2015年12月09日)時点のものです】

桃崎 剛


仕事人記事

中立的な立場で判断はんだんしめ

中立的な立場で<ruby><rb>判断</rb><rp>(</rp><rt>はんだん</rt><rp>)</rp></ruby>を<ruby><rb>示</rb><rp>(</rp><rt>しめ</rt><rp>)</rp></ruby>す

いろいろな事件じけんについて中立的な立場で判断はんだんしめすのが裁判官さいばんかんの主な仕事です。裁判さいばんの種類は大きく分けると,民事・刑事けいじ・家事の3つです。民事は,たとえばお金のりをめぐる争い,物の売買をめぐるトラブルなどについての判断はんだんをしたり,両方の言い分を聞いて,中立的な立場から意見をべ,一番良い解決かいけつ方法を調整し,話し合いで紛争ふんそう解決かいけつしたりします。刑事けいじは,その人がつみおかしたかどうかについて判断はんだんします。もしつみおかしているとしたら,ばつとして刑務所けいむしょに入れた方がいいのか,入れない方がいいのか,刑務所けいむしょに入れるとしたらどのくらいの期間がいいのかなどを判断はんだんします。家事は,離婚りこんした方がいいのかどうか,遺産いさん金額きんがくがどれくらいあって,だれにどのように分けたらいいのかなどを判断はんだんします。

法廷ほうていが開かれる日は仕事内容ないようちが

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法廷ほうていが開かれる日は,日にもよりますが,午前中は10時半から12時前くらいまで,午後は1時半から4時頃じごろまで,公開の法廷ほうていで,裁判所さいばんしょ事件じけんの当事者が集まり,当事者が提出ていしゅつした言い分を記載きさいした書面の陳述ちんじゅつ主張しゅちょう確認かくにん)をし,言い分をうらづける証拠しょうこも調べた上で,反対当事者に反論はんろん証拠しょうこ提出ていしゅつをお願いするなど次回までの宿題を決め,事件じけんの進行を決めたり,事件じけんの当事者や関係者から経験けいけんした事実を聞くといった証拠しょうこ調べを行ったりしています。一方,法廷ほうていが開かれない日は,準備じゅんび書面という,当事者から提出ていしゅつされている言い分が書かれた文書や証拠しょうこ書類などを読んだり,書類の作成や文献ぶんけん調査ちょうさをしたり,事件じけん担当たんとうする3人の裁判官さいばんかんで,その事件じけんの手続の進め方や結論けつろん等について合議という話合いをしています。夜は7時くらいまで仕事をして,家に帰って夕飯を食べ,家で1,2時間調べ物をしたりします。
また,わたしは,週に1回法科大学院に行って,法律家ほうりつかを目指す学生に身近な契約けいやくについての法律ほうりつや民事裁判さいばんの手続,判断はんだんの仕方などを教えています。

たくさんの勉強とたくさんの時間が必要

たくさんの勉強とたくさんの時間が必要

わたしはこれまでほとんど民事事件じけん担当たんとうしてきました。過去かこの同じような事件じけん裁判さいばん例(判例はんれい)を調べたり,専門せんもん的な問題ならその分野の学者が書いた本をたくさん調べたりします。その事件じけん沿った勉強は大変ですが,必要なことでもあります。以前原発の事件じけんあつかった時は何ヶ月もその事件じけんにかかりきりになりました。関係する書類は膨大ぼうだいな数になり,それらを読んだりまとめたりするのは簡単かんたんではありませんでした。もっとも,そのような大きな事件じけんではなくても,当事者にとっては裁判さいばんをする機会は一生に1回あるかないかです。両者の話を聞いて考え,その結論けつろんを決めるというのは大きな責任せきにんがあることです。しかし,同時に,自分で考えた紛争ふんそう解決策かいけつさくしめすことができるので,大変ですが非常ひじょうにやりがいがあります。

単独たんどく判断はんだんを行う事件じけんと3人合議の事件じけん

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裁判さいばんには裁判官さいばんかん1人で判断はんだんを行う単独たんどく事件じけんと,3人で判断はんだんを行う合議事件じけんとがあります。むずかしい判断はんだん,新しい判断はんだんになりそうな事件じけんは,合議で判断はんだんします。お金のりなどの比較ひかく的争点が分かりやすい事件じけんは,単独たんどくで行います。合議の事件じけんの場合,経験けいけん年数がちが裁判官さいばんかんと組むことがありますが,対等・公平な立場で議論ぎろんします。それぞれの裁判官さいばんかんは,一つの事件じけんに対してさまざまな見方をしていることもあるので,議論ぎろん慎重しんちょうに重ねます。しかし,これまでのわたし経験けいけんでは,最初は結論けつろんちがっていても議論ぎろんを重ねていくうちに自ずと同じ結論けつろんとなり,最終的に結論けつろんが分かれたことはありません。最後は3人が納得なっとくして落ち着くところに落ち着きます。合議はとても勉強になるので,裁判官さいばんかん醍醐味だいごみの一つですね。

中立公正が一番大事

中立公正が一番大事

裁判官さいばんかんは中立公正なのが一番大事です。どちらかに味方していると思われないように言動には気をつけています。ちょっとした態度たいどや仕草でも,自分の話を聞いてもらえなかったのではないか,相手の味方をしているのではないかとの印象をあたえてしまう可能かのうせいがあるためです。また,当事者の話をよく聞くことも心がけています。裁判さいばんになる前にほとんどの争いは解決かいけつしているので,裁判さいばんになってしまったということは,争い事がこじれたり,当事者の感情かんじょうがもつれてしまったりしていることが多いのです。その事件じけんの争いのポイントとなる点を明らかにする手続や,双方そうほうの話し合いで事件じけん解決かいけつ方法を決める手続では,非公開ひこうかいの部屋でじっくり話を聞くこともあります。手続として淡々たんたんと進めるのではなく,それぞれの立場に立って聞く姿勢しせいが,紛争ふんそう解決かいけつにはとても大事なことであると感じます。

きっかけは中学生の時に読んだ新聞記事

きっかけは中学生の時に読んだ新聞記事

中学3年生の時に,悪徳あくとく商法でこまっている人たちを救う弁護士べんごしの記事を新聞で読み,法律家ほうりつかこころざすようになりました。たのんでいない寿司すし100人前をその弁護士べんごしの家に配達されるなどいやがらせを受けながらも,被害者ひがいしゃを救うために立ち上がる弁護士べんごしあこがれました。司法試験に合格ごうかくし,司法修習しゅうしゅうという研修けんしゅうが始まると,弁護士べんごし検察官けんさつかん裁判官さいばんかんそれぞれについて現場げんばで深く学びます。裁判所さいばんしょでの修習しゅうしゅう中に,双方そうほうの話をよく聞き,文献ぶんけん納得なっとくのいくまで調べる裁判官さいばんかん姿すがたを目の当たりにし,自分の頭でよく考えて最終的な結論けつろんを出す仕事を,自分の一生の仕事にしたいと思うようになりました。また,修習しゅうしゅうをした当時の裁判さいばん所の所長が,職員しょくいんだれからも愛される大変立派りっぱ魅力みりょく的な方で,こういう人がいる職場しょくばで働きたいと思ったことも,裁判官さいばんかんの道を選ぶ決め手となりました。

外で遊ぶことが多かった子ども時代

外で遊ぶことが多かった子ども時代

わたしは,かなりやんちゃで元気な子どもでした。幼稚園ようちえんまでは広島県の三原という自然ゆたかなところに住んでいました。田んぼでつかまえてきたヤモリをとなりのおばさんにあげるいたずらをして喜んだりしていました。小学校のころは,野球をやったりサッカーをやったりと,外で遊ぶことが多かったですね。小学校3年生のころ,放課後,友達5~6人をさそって,工場見学を企画きかくして,近所のジュースやウイスキー,レコードを作っている工場を突然とつぜん訪問ほうもんしたこともあります。当時工場のみなさんはとても親切で,ことわられることはなく,機械の説明をしてもらったり,お土産ももらったりしました。工場から学校に連絡れんらくがいったこともあったそうですが,特に先生におこられることはありませんでしたね。

あきらめないことが,どの道に進んでも財産ざいさん

<ruby><rb>諦</rb><rp>(</rp><rt>あきら</rt><rp>)</rp></ruby>めないことが,どの道に進んでも<ruby><rb>財産</rb><rp>(</rp><rt>ざいさん</rt><rp>)</rp></ruby>

以前担当たんとうした事件じけんで,お母さんが目をはなしたすきにお子さんが道路に飛び出し,車にひかれてくなり,車を運転していた加害者に対して,損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうしているという事件じけん担当たんとうしたことがありました。そのお母さんは,目をはなしてしまった自分をずっとめていました。わたしは,この事件じけん解決かいけつするためには,お母さんをこの交通事故じこから気持ちの上で解放かいほうすることが大切だと思い,裁判官さいばんかんとして何ができるかと考え,1ヶ月に1回お母さんの話を聞く場をもうけました。1年くらいって,お母さんは,ようやく自分をゆるせるようになり,心が落ち着いたとお話になりましたので,わたし和解わかい提案ていあんをしました。お母さんも加害者の方も納得なっとくして,話し合いで解決かいけつすることができました。時間をかけてじっくり取り組んだ結果,お母さんも自分と向き合うことができ,それぞれにとって最善さいぜん解決策かいけつさくとなったのです。
みなさんも,何事にも前向きに積極的に取り組んでほしいですね。遊びとか趣味しゅみなども一生懸命いっしょうけんめいやってほしいです。うまくいかないこともあると思いますが,それでもあきらめないことが,どの道に進んでも財産ざいさんになると思います。

  • 取材・原稿作成:株式会社ユニバーサルデザイン総合研究所/東京書籍株式会社

私のおすすめ本

  • もっと遠くへ(私の履歴書)

    王 貞治

    世界のホームラン王の王貞治さんでもプロに入ったばかりの3年間は鳴かず飛ばずだったという話や,高校3年生の時に,当然行けると思っていた甲子園に行けなかった時の挫折の話。そしてこれが逆に頑張るきっかけになったという話など,最後までとても面白く読める本です。