仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

東京都に関連のある仕事人
1979年 生まれ 出身地 東京都
廣澤ひろさわ 淳也じゅんや
子供の頃の夢: F1レーサー
クラブ活動(中学校): サッカー部
仕事内容
お客さまを大切に、社員が楽しく協力し合うしょくをつくる。
自己紹介
細部までこだわるせいかくです。日々笑顔えがおでいることを心がけています。休みの日はゴルフに行ったりするほか、家族とごす時間を大切にしています。
出身高校

※このページに書いてある内容は取材日(2024年10月15日)時点のものです

「商品をちんれつするたな」を作る仕事

「商品を陳列する棚」を作る仕事

わたしが社長をつとめている「モアコーポレーション」は、木工じゅうとアクリルじゅうせいぞうはんばいしている会社です。「じゅう」というのは、もともとは「にちじょうてきに使用する家具や道具、食器」という意味の言葉ですが、てんや会社などで使用する家具や道具のことを指すことも多く、当社があつかうのはこちらの意味の「じゅう」です。てんで使用するじゅうは「てんじゅう」、 会社で使用するじゅうは「オフィスじゅう」とばれます。当社では、てんじゅうのうち、商品をちんれつするたなあつかっています。
わたしたちが主に作っているじゅうは、みなさんがドラッグストアやデパートでよく目にするしょうひん売り場や時計売り場、家電りょうはんてんなどで使われています。いちばん多いのは、ドラッグストアのしょうひん売り場で使われるじゅうせいぞうせっです。ドラッグストアのしょうひん売り場にはさまざまなメーカーの商品がならびますが、メーカーやブランドによって商品のサイズがちがうので、たなの形も変えなくてはいけません。しかし、たなのデザインがバラバラだったり、ブランドやメーカー名のかんばんもバラバラだったりすると、てんとういつかんがなくなってしまいます。そのため、わたしたちはドラッグストアかららいを受け、てんたなせっけいせいぞうし、ブランド名のかんばんなどもとういつしたデザインで作り、てんせっしていきます。
たなはどの店やチェーンでもいくつかのとういつしたサイズで作られ、その中に各メーカーが自分たちで「カセットじゅう」とばれる小さなカセットをせっし、最終的にたなが完成します。メーカーによっては、このカセットじゅうせいぞうわたしたちがいます。

らいが来れば日本全国のお店にせっ

依頼が来れば日本全国のお店に設置

こういったじゅうあつかう会社は、あつかうのは木工じゅうだけ、もしくはアクリルじゅうだけ、というところが多いのですが、わたしたちは両方をあつかっています。そのため、つうじょうきんぞくで作ることが多いアクリルじゅうたなの下部を木工で作る、といったこともできます。アクリルと木工を組み合わせることで高級感を出すことものうですし、お客さまにさまざまなていあんができるのがモアコーポレーションの強みです。昔は街のしょうひんてんから注文を受け、お店のないそうとしてたなせいさくせっっていましたが、今はドラッグストアの多くがチェーン店となりました。そのため、北は北海道から南は沖縄まで、仕事の発注は全国から入ります。
また、もう一つのモアコーポレーションの強みは、図面作成からじゅうせいさく、最終的なせっまで、すべて社内で完結するということです。てんかららいが来ると、まずはお店の大きさや完成イメージ、要望などを聞き、図面を作り、せいさくに入ります。たなが完成すると、てんに運んでせっまですべてわたしたちが行います。わたしも以前はげんたんとうしていましたので、全国あちこちを飛び回っていました。今は、本社にいて社員たちからのていあんや書類をチェックする仕事がメインとなっています。

テクノロジーの力でより仕事をスムーズに

テクノロジーの力でより仕事をスムーズに

2023年から、社内のDX化を進めています。具体的には、受注した仕事のないようや作成中の図面、工場作業のしんちょくなどをすべてパソコンに入力し、社内からだれもがかくにんできるようなシステムを今、作っています。これまでは、てんとの打ち合わせを何度も重ね、その上で図面を作成し、せいさくたんとうする工場には最終的な図面しかわたすことができませんでした。しかしこの方法だと、工場のほうでは「今どういうじょうきょうになっているのか」というのがわかりづらく、いつまで待てばいいのか、いつ作業がどのくらい入るのかという見通しが立ちません。いそがしい月は新たな作業のらいが50〜60店分ほど入ることもあるので、その「見通しの立たなさ」がげんの不満となっていました。でもこのシステムがあれば、今どのくらいの仕事がどんな進行じょうきょうかをつねかくにんでき、自分たちのペースで仕事ができます。そうすると仕事を「やらされている」のではなく、自分たちので主体的に仕事を調整していけるように変わっていくのではと思っています。

会社にいる時間を「楽しい」と思ってもらいたい

会社にいる時間を「楽しい」と思ってもらいたい

会社としてほこりに思っているのは「社員がめないこと」です。モアコーポレーションは、社員のしょくりつじょうに低いです。わたしは社員には、「会社にいる時間は“楽しい時間”にしてほしい」とつねごろから言っています。せっかく同じ会社にいるのですし、会社は一日の中でとても長い時間をごす場所です。だったら楽しくあってほしい、と思うのです。そのためにも、全社員の面談を年に3回行っています。以前は「はなれている工場どうでコミュニケーションを取ることでこうりつはかれるのでは」という発想から、工場で働くかんどうのミーティングを行っていました。けれども、おたがいに作業ないようちがうことや、かんの話だけを聞いていてもげんの声とはちがっていて、なかなかむずかしいなというげんじつがありました。そのため、わたし自身がちょくせつ社員の生の声を聞くような形に変えました。いそがしいと面談の時間を取るのは大変なこともありますが、ほんの少しの時間でも社員の声を聞くことによって、げんかいぜんできたり、社員一人一人のじょうきょうあくできたりするのはとてもメリットが大きいです。それがしょくりつの低さとなって表れているのでは、と思います。また、社員からいいアイデアやていあんがたくさん出てくるようになったのも、とてもうれしいこうだと思っています。

仲間をやすためには、ありのままでいることが大切

仲間を増やすためには、ありのままでいることが大切

わたしが仕事で大切にしているのは「ありのままでいること」です。うらおもてをあまりつくらないせいかくなので、社員にも取引先の方にもしゃべりたいことをしゃべるし、いやなことははっきりと「いやだ」、できないことは「できない」と言います。でも、結局はそのほうがいいのでは、と思うことが多いです。心になにかめているようなタイプの人は、他人とけにくいものですが、仕事というのは「仲間」をやさないとうまくいかないものです。どんなにのうりょくがある社長であっても、一人ではげんかいがあります。やはり助けてくれる人やゆうしゅうな社員がいてこそ、会社が成立する。このことはぜったいわすれてはいけないなと思っています。
実は父から社長をぐときに、父と話し合い、父にはげんから退しりぞいてもらいました。というのも、わたしが社長になり、父が会長になってそのまま会社にいると、会社にけいえいしゃが二人いるようなじょうたいになってしまいます。父はしょくにん気質かたぎわたしとは考え方がことなるタイプだったので、こうしたじょうたいは社員をこまらせてしまうのではないか、と思ったからです。いろいろと大変なこともありましたが、このせんたくは結果的によかったと思っています。

父がそうぎょうした会社をぎ、二代目社長に

父が創業した会社を引き継ぎ、二代目社長に

モアコーポレーションは、わたしの父が1984年にそうぎょうした会社です。わたしが高校3年生のときに社会じょうせいや景気のえいきょうもありけいえいじょうきょうが悪くなったことで、大学生になったころから会社を手伝っていました。通学との両立は大変でしたが、なんとか大学を4年で卒業し、そのままモアコーポレーションに入社することになりました。父としては、やはり息子むすこいっしょに働きたいという思いもあったのだと思います。入社後はえいぎょうをやったり、工場できんしたり、配送やせっをしたりとほかの社員と同じように仕事をし、2020年に社長にしゅうにんしました。
会社自体はわたしが入社してからはしばらくきびしいじょうきょうが続いていたのですが、LED照明付きのじゅうを開発したことが転機になりました。じゅうには商品をきれいに見せるために照明を付けることも多いのですが、じゅうらいけいこうとうは熱と光でどうしてもしょうひんれっしてしまいます。そこでLEDを使ってみたところ、それらの問題がかいけつできたのです。2006年からLED照明付きのせいひんはんばいを始めましたが、最初はなかなか売れませんでした。しかし、2011年の東日本だいしんさいの後にあんぜんせいや節電の観点からLEDの注目が高まったこともあり、注文がたくさん入るようになります。会社が大きく成長していくきっかけになりました。

楽しさでつくるリーダーシップ

楽しさでつくるリーダーシップ

子どものころは、てんけいてきなガキだいしょうでした。4月生まれだったこともあり、体も大きくスポーツばんのうで、目立つタイプでした。でも正直、当時はらんぼうものでもあったと思います。中学校では「もうそういう自分ではいたくないな」と思い、どちらかというとあまり目立たないような「いい子」のタイプでした。このときに、だん目立たない人には人がどういうたいをとるのか、ということを学んだ気がします。高校生になるとその反動で、学級委員長をやったりとまた人前に立つようになります。でも中学校でのけいけんも生かし、人にきびしくするというよりは、みんなに楽しいことをていあんして、みんなで参加したくなるようなクラスにすることを心がけたいと思うようになりました。このころの「楽しい、おもしろいことをていあんして人をまとめる」という体験からた考え方は、今の仕事でも根本は変わっていないように思います。

笑顔えがおでいれば、周りに人はえてくるもの

笑顔でいれば、周りに人は増えてくるもの

これを読んでくれているみなさんにお伝えしたいのは、大切なのは真面目さと、人生を楽しく生きるということ、そして、笑顔えがおわすれないということです。特に笑顔えがおは大事で、笑顔えがおでいることを心がければ、いつしかしゅうに人がってくるものだと思っています。わたし自身、わかかったころはこうはいや部下にもぶっちょうづらせっしていたことがありました。しかし、自分が笑顔えがおでほかの人にせっしていれば、こうはいや部下ともうまく会話できるし、ほかの社員ともコミュニケーションがえんかつになるし、社員が会社をめずにいっしょに働いてくれる、ということに気づいていったのです。なによりも、笑顔えがおでいたほうが人生は楽しいと思います。今よりももっと笑顔えがおになれば、もっと楽しくなり、もっと知り合いもえるはず――そんなふうに考えてもらえたらと思います。

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時間をテーマにしたファンタジー作品です。主人公のモモは人々が時間に追われ、本当の幸せを見失ってしまうのを見て、友達と協力してその原因に立ち向かっていきます。時間をどう使うべきか、本当に大切なことは何か、深く考えさせてくれる本です。

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取材・原稿作成:川口 有紀(フリート)・東京書籍株式会社/協力:城北信用金庫